伝統のモナコGP初日予選で、Lucky Strike B・A・R Hondaのジェンソン・バトンが、3番手のタイムをマークし、前戦に続く好調ぶりをアピールした。ジャック・ビルヌーブは、セッション中盤にエンジンブローしたマシンが撒いたオイルで路面が汚れていたこともあって、12番手とやや奮わなかった。
5月末の南仏コート・ダジュールは、ほとんど夏のような陽気となった。初日は朝から快晴。気温も午前中の時点で、既に27℃まで上がった。4チームが参加した8時半からの特別テスト走行では、ガードレールにぶつかるマシンが続出したが、同11時からのフリー走行は比較的平穏なセッションとなった。
コースは今年大きな改修を受け、最終コーナー手前のラスカスコーナーへの進入が緩やかになった他、全長も30メートル程短縮された。そのせいもあって、午前中のセッションで昨年JP.モントーヤ(ウィリアムズ)が出したポールタイムを、上位4人までのドライバーが破ってしまった。B·A·R Honda勢では、ジェンソン・バトンが2番手のタイムを叩き出し、順調な滑り出しを見せた。
午後2時の初日予選開始時間の気温は29℃、路面温度は39℃まで上昇した。当然、午前中のセッションに比べて、ハンドリングは変化しているはずだ。最初に出走した上位陣では、K.·ライコネン(マクラーレン)やF.アロンソ(ルノー)らが、マシンを大きくスライドさせて、かなりのタイムロスを喫している。
開始後23分。ジェンソン・バトンがアタックに出ていく。1コーナーを、ほとんどガードレールまで数ミリという際どさでクリア。最初の区間を、フェラーリの2台に次ぐ3番手のタイムで駆け抜けた。次のローズヘヤピンやトンネル内の超高速コーナーもミスなくこなし、この時点で、トップタイムのM.シューマッハ(フェラーリ)との差は、僅かコンマ1秒あまり。最後の区間でそのギャップはやや広がったものの、それでもマクラーレンやウィリアムズを制して、堂々暫定3番手のタイムを記録した。
ビルヌーブがコクピットに坐ってアタックを待つ間、11番手出走のHH.フレンツェン(ザウバー)がエンジンブロー。セッションは約25分間の中断となる。路面はかなりの長さにわたってオイルが撒き散らされ、除去作業をしたとはいえ、後続の走行に影響が出そうな状況となった。
M.ウェバー(ジャガー)に続いて、ジャックがアタック開始。しかし、いたるところにオイル除去剤が撒かれており、まともなグリップは期待出来ない。結局チームメイトのバトンから1秒2遅れの12番手に終わった。初日トップは、M.シューマッハ(フェラーリ)だった。
●中本修平 エンジニアリング・ディレクター
Honda Racing Development
「今日のジェンソンのパフォーマンスは嬉しいですね。朝の練習走行も含めて速さを見せつけることも出来ましたしね。残念ながらジャックはコース上のオイルのために、実力を出し切る事が出来ませんでした。エンジンのセットアップに関しては、両者共にまだ改良する余地がありますので、明後日の最終予選、決勝共に期待出来ると思いますよ」
●ジェンソン・バトン 3番手 1分16秒895
「3番手はすごく嬉しい。今朝は新しく舗装された部分、特にラスカスコーナーへの進入がとても滑りやすかった。でも直ぐに慣れる事が出来たし、むしろ前のコースレイアウトよりも好きなくらいだよ。今日の初日予選ではタイヤの温度が上がり過ぎないように気を使ったので、第1コーナーはオーバーステア気味だった。最終コーナーまでにタイヤのコンディションが悪化してしまったために、タイムロスしてしまった。スイミングプール・コーナーの後半の縁石にかなり激しく乗り上げてしまったんだけど、それはタイムにそれほど影響しなかったようだね。むしろアンダーステアが強かったラスカスコーナーの方が、タイムロスが大きかったと思う。土曜日の予選に向けて3番手というのは良いポジションだよね。それに、我々が十分速いって事も分かったし、レース戦略にも色々と可能性が増えるね。レース毎にマシンが良くなって行くのは。トップチームになるには必要な事だね」
●ジャック・ビルヌーブ 12番手 1分18秒109
「僕のタイムアタックは、フレンツェンのエンジンが壊れた直後で、コース上にはオイルやその処理に使うセメントの粉がまだ残っていたんだ。それを避けるために走行ラインを変えなければならないので、どうしてもタイムが遅くなってしまうんだ。マシンの競争力はあるには違いないんだけれど、僕の場合は予選用にTカーに乗り換えたために、セットアップがまだ不十分で、ジェンソンのマシンのセットアップを参考にしないといけないね」
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