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序盤は5、7番手を走行したB・A・R Honda勢だったが、残念ながらポイントゲットならず |
スペインGP決勝レースで、Lucky Strike B・A・R Hondaのジェンソン・バトンは9位完走。ジャック・ビルヌーブは13周目にマシントラブルによりリタイアとなった。
「快晴で暑くなる」という前日の天気予報とは裏腹に、決勝当日の朝は曇りがちの天候となった。それでもレース開始が近くなるにつれ、サーキット上空は徐々に青空が広がって行き、午後2時の時点で気温は24℃。路面温度も昨日の同時刻より10℃近く低い。
レースはスタート直後から波乱の展開。8列目グリッドのA・ピッツォニア(ジャガー)のマシンがスタート出来ず、そこへ最後尾スタートのK・ライコネン(マクラーレン)が追突。一方トップ集団では、2列目のJ・トゥルーリ(ルノー)が2コーナーでスピン、タイヤバリヤへ。これでレースは開始早々セイフティカーの先導となった。B・A・R Honda勢は、この混乱を2台とも上手くくぐり抜け、ジェンソン・バトンは5番手をキープ。そしてジャック・ビルヌーブは4つ順位を上げ、7番手にポジションアップする。
5周目にレース再開。バトンは1コーナーのブレーキングでJP・モントーヤ(ウィリアムズ)に抜かれ、順位を一つ落としてしまう。ビルヌーブは依然7番手にポジションをキープ。2台ともポイント圏内のまま、レースは中盤へと入った。ところが13周目にビルヌーブは大きくペースを落としピットイン。エンジンルーム内で起きた火災の為、そのままリタイアとなった。そして14周目にはバトンが最初のピットインし、順調にピット作業を済まし、12番手でコースイン。その後8番手までポジションを上げるが、背後から迫ってきたD・クルサード(マクラーレン)と1コーナーで激しくバトル。ブレーキングで両車が絡んで、クルサードはコースアウト。バトンもマシンのフロント部分にダメージを負って、急遽2度目のピットインをすることに。これで最下位の15番手まで落ちてしまう。
レースが折り返し点を過ぎた33周目。他車のピットインなどもあって、バトンは11番手までポジションをアップ。その後、45周目に3度目のピットイン。10番手でコースに復帰し、ポイント獲得を目指しプッシュを続ける。終盤の54周目に、バトンの前を行くN・ハイドフェルド(ザウバー)の青旗(周回遅れの際の追い越し優先指示)無視によるピット通過のペナルティーで、ポイント圏内目前の9番手にポジションアップ。続いてバトンは8番手のR・ファーマン(ジョーダン)の猛追を開始。その差僅かコンマ3秒に迫り、数ラップに渡りプッシュするも、終盤になって発生したトランスミッショントラブルと、このコースレイアウトでは結局抜くことが出来ず9位でフィニッシュ。惜しくもポイント獲得にはならなかった。優勝は、ポールポジションからスタートしたM・シューマッハ(フェラーリ)。地元の大声援を受けたF・アロンソ(ルノー)を押さえ、前戦に続きシーズン2勝目をあげた。
●中本修平 エンジニアリング・ディレクター Honda Racing Development
「ずっと調子が良かっただけに、今日はもっと良い結果を期待していました。ジャックは良いスタートだったのですが、それをトラブルで台無しになってしまいました。エンジンの配線部分に火災が発生し、エンジンが止まったのですが、これまでのところ火災の原因は分かっていません。サンマリノGPで起きたトラブルとは関係ありません。ジェンソンも本当に頑張ってくれたのですが、結果に結びつかず、全くフラストレーションの溜まる週末になってしまいました」
●ジェンソン・バトン(9位)
「今日のレースは散々で、後一歩でポイントを逃したところまで追い上げる事が出来ただけでもラッキーだったね。スタートは最高の出来とは言えなかったけれども、その後タイヤが温まるのに時間がかかってしまい、ウィリアムズの後ろになってしまった。最初のピットストップの後、デビッド・クルサードの後ろに着けたんだけど、彼はちょっとてこずっているように見えたんだ。第1コーナーで彼のイン側に並んだ際に、急に彼が曲がり込んで来て、接触してしまった。これで、今日のレースは終わったようなものだね。フロントウィングにダメージを受け、左フロントタイヤがパンクしてしまったために、ピットインせざるを得なかった。ダメージのためにマシンの下にジャッキを入れる事が出来なくて、タイヤを交換するのに時間がかかってしまった。それでもまだ7位か8位には入れる可能性があったから、残りのレースは全力でプッシュしたんだ。でもレース終盤にはギヤシフトにトラブルが出てしまい、残り3周のところで3速、そして後2周というところで4速が使えなくなってしまった。完走出来ただけでもラッキーだった。レースウィーク中、チームの皆は素晴らしい仕事をしてくれていただけに、本当に残念だよ」
●ジャック・ビルヌーブ(12周リタイア)
「何て言えばいいんだい?ジェンソンよりも燃料搭載量が多かったから、結構自信はあったんだ。彼は3ストップ作戦で僕は2ストップだったんだけれど、セイフティカーが入った時には彼のすぐ後ろにいたからね。レース運びは順調で、僕たち2人とも、まさにトップ争いに加わる事が出来る可能性があったんだ。僕はバリチェロと同じピットストップ作戦だったから、恐らく同じタイミングでピットインしていたと思う。モントーヤとも良い戦いが出来たと思うよ。でも毎レース同じようなトラブルが続いて、本当に残念だよ。決勝をにらんでずっと準備をして来て、予選順位を少し下げてでも決勝で良い成績を残そうと頑張っているのに、日曜日に最後まで走り切る事が出来ないんじゃあ、がっかりだよね」
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