新しい予選システムが導入され、初めての雨のセッションとなった初日予選。Lucky Strike B・A・R Hondaのジャック・ビルヌーブは、難しいウェットコンディションの中、7番手タイムを叩き出した。一方でチームメイトのジェンソン・バトンはアタック中にスピンし、最下位に終わった。
ブラジルGP初日は、午前中から時折激しい雨が降るウェットコンディション。午前中のフリー走行セッションでは濡れた路面でスピン、コースアウトするクルマが続出した。インテルラゴスサーキットは今年、全コースの25%の舗装をやり直しており、ただでさえグリップが低い。そこへ雨も加わって、各ドライバーはかなりの苦戦を強いられた。終了15分前にはA・ピッツォニア(ジャガー)がクラッシュ、約15分間の赤旗中断という事態も発生した。そんな中ジェンソン・バトンは、M・シューマッハ(フェラーリ)、D・クルサード(マクラーレン)に次ぐ3番手のタイムをマーク。一方ジャック・ビルヌーブは15番手で、午前中のセッションを終えた。
予選開始時間の午後2時時点でも雨は降り続いている。新しい予選システムが採用されて、初めての雨のセッションとなった。現在ポイントランキング首位のK・ライコネン(マクラーレン)が最初に出走。1分24秒607というタイムを出す。昨年のポールシッター、JP・モントーヤ(ウィリアムズ)はアタックを失敗し、それより3秒以上も遅いタイム。さらにM・シューマッハ(フェラーリ)も、コースインした周にスピンしてしまう。
開始後21分。ジェンソン・バトンがコースイン。午前中に好タイムを出していただけに上位グリッド獲得が期待された。ところがアタックラップ中、バトンは第5コーナーでスピンし、コースアウトしてしまう。バトンはコースに復帰したものの、リヤウィングを破損しており、そのままピットに戻ることを余儀なくされ、残念な結果となってしまった。
そして12番手で出走したジャック・ビルヌーブ。雨はほぼ止んだものの、路面はまだ濡れている。ともすればスピンしそうになるマシンを見事にコントロールし、M・シューマッハに次ぐ暫定5番手の1分25秒672というタイムを出す。
もしこのまま路面コンディションが変わらなければ、ジャックが5番グリッドを確保する可能性は高かったが、雨は止み路面は次第に乾いて行く。そのため後続のドライバーが、明らかに有利な状況となった。そして最後から2番目にスタートしたM・ウェバー(ジャガー)が1分23秒111の初日予選トップタイムを獲得。そして20番手に出走したO・パニス(トヨタ)が、ビルヌーブのタイムを僅か100分の6秒上回り、ジャックは7番手タイムで明日の2回目予選に臨むことになった。
●中本修平 エンジニアリング・ディレクター
Honda Racing Development
「ジャックは難しいコースコンディションの中、頑張って良いタイムを出してくれましたね。ジェンソンは午前中3番手のタイムを出すなど、良い仕事をしていただけに残念です。明日はジェンソンがセッション開始早々、そしてジャックが14番目のタイムアタックとなりますので、非常に面白くなりますね。予想しづらい天気ですから、それも悪くないかもしれません。終わってみるまで分かりませんね」
●ジャック・ビルヌーブ 7番手 1分25秒672
「今日の予選ラップには満足している。今朝はマシントラブル修復のため、ピットに長い間とどまっていたおかげで、コースコンディションが良い時間帯には走る事が出来なかった。同じ事がメルボルンでも起きたんだけれども、その時も予選は上手く行ったから、いっそのこと金曜日の朝のセッションはスキップしちゃおうかな!予選の時のコンディションは良かったし、何も問題は無かった。何人かのドライバーは、今日の午後は走行には危険すぎると思っていたようだけど、僕達はショーを見せに来ているんだから、やはり走って正解だよね。これでウェットタイヤにも一つ以上の選択肢が必要な事が誰の目にも明らかになったと思うよ」
●ジェンソン・バトン 20番手
「とても波乱に満ちたセッションだった。本当にびびってしまったよ!朝のセッションに比べオーバーステアが強く、アタックラップの最初で突然振られてしまった。第5コーナーを抜けたところで白線を踏んでしまい、コースアウトしてしまった。立て直そうとしたけれど、あんなに濡れている路面では不可能だった。コース脇のマーカーを幾つか吹き飛ばしてしまった時にリアウイングを壊してしまい、アタックラップを諦める以外に選択の余地はなかった。今日みたいなコンディションの中でも、僕らは全力を尽くさなければならないんだ。でも、問題は限界が分かりにくいことだよね。コースは朝に比べたら乾いていたけれど、でもまだ十分水浸しの状態だった。このコンディションだったら、絶対にもう1セットウェットタイヤが必要だね」 |