 |
数周に渡って激しいプッシュをしのぐバトン
|
シーズン2戦目のマレーシアGP決勝レースで、Lucky Strike B・A・R Hondaのジェンソン・バトンが7位入賞。待望の初ポイントを獲得した。ジャック・ビルヌーブは、スタート直前にトラブルが発生し、出走出来ずリタイアとなった。
決勝日の朝は前日同様に快晴。気温もすぐに35℃前後まで上昇した。ところが午後になるとサーキット上空は雲に覆われ始め、路面温度は10℃以上も下がってしまう。レースが始まる午後3時頃には天候は持ち直したものの、この時点では途中に雨が降ってくることも十分に考えられた。
通常のGPより1時間遅い午後3時からフォーメーションラップが始まった。ところがビルヌーブのマシンは、グリッド上で車体制御系にトラブルが発生しスタート出来ず、そのままリタイアになってしまった。
スタート直後も波乱が続き、2コーナーでM・シューマッハ(フェラーリ)、J・トゥルーリ(ルノー)らが多重クラッシュ。グリッド9番手のバトンは、その混乱を上手くくぐり抜け、5番手にジャンプアップした。その後3周目には2位を走っていたD・クルサード(マクラーレン)がリタイアし4位に上がったものの、次の周にR・バリチェロ(フェラーリ)に抜かれて再び5番手に。
序盤10周を終えた時点で、バトンは6番手。前を行くO・パニス(トヨタ)との差をジリジリと詰めている。そして13周目、パニスがピットイン。次の周には4位を走っていたN・ハイドフェルド(ザウバー)もピットに向かい、バトンは再び4位に。さらにトップのF・アロンソ(ルノー)もピットインしたため、ついに表彰台圏内の3位に上がった。しかし直後の19周目にバトン自身もピットインした結果、5番手まで下がった。
レースの折り返し地点である28周目。バトンは依然5番手。しかし背後からフロントローからスタートしたトゥルーリが激しく迫る。しかしジェンソンは数周にわたってそれをしのぎ、逆に前を行くR・シューマッハ(ウィリアムズ)との差を縮めていった。
33周目。背後のトゥルーリとの差は、僅かコンマ3秒。しかし6秒以上あったラルフとの差も、2秒まで縮まった。その後ジェンソンは35周目に2回目のピットに入り、6番手に下がったものの、すぐに5番手のポジションを回復。
レース終盤は再び、トゥルーリとのバトルとなった。バトンとの差はコンマ5秒前後。僅かなミスで、あっという間に順位は逆転してしまう。しかしバトンはその猛攻をしのぎ、トゥルーリは51周目の最終コーナーで自らスピン。これでバトンの5位入賞がほぼ確定したかに思われたが、最終周にタイヤの劣化によるオーバーステアでスローダウンした隙にトゥルーリとM・シューマッハに抜かれ、7位となった。それでもバトンはB・A・R Honda移籍後2戦目にして、チームに2ポイントをもたらした。優勝はキミ・ライコネン(マクラーレン)。デビュー以来36戦目の初勝利だった。
●中本修平 エンジニアリング・ディレクター
Honda Racing Development
「う〜ん、残念!と言うところでしょうか。ジェンソンは、この高温の中、最後まで本当に良く頑張ってくれたと思います。我々にとっての初ポイントを獲得する事が出来て良かったですね。今日のレースペースを見ても、これからの自信になりました。毎年の事ですが、エンジンにとって非常に過酷なレースでしたが、最後まで走りきる事が出来て良かったです。ジャックにとっては残念な一日となってしまいました。次のブラジルでは、更に頑張ります」
●ジェンソン・バトン(7位)
「マシンがとにかく運転しづらくて、本当に疲れるレースだった。今日はルノーよりもはるかに遅かったし、あれだけマシンが運転しづらいと、抜かせないようにするのは中々難しいよね。リアだけじゃなく、フロントのグリップも低くて、終盤にかけてどんどんオーバーステアがひどくなっていった。タイヤがだめになってしまったんだ。出来るだけヤルノを抑えようと頑張ったんだけど、最終コーナーでいつも通りのブレーキングをしたら、タイヤがロックしてしまい、真っ直ぐ行ってしまった。その間にマイケルにも抜かれたんだ。5位を維持しようと頑張っていただけに、本当にガッカリだったよ。でも何とかポイントも獲得する事が出来たし、それが大事だよね。次のブラジルでは、もっと上を狙うよ」
●ジャック・ビルヌーブ 出走出来ずリタイア
「この週末の全てをレースセットアップと燃料戦略に集中してきただけに、とても残念だ。予選は、あまり上手く行ったようには見えなかったけれど、でもレース本番には自信があったんだ。そのことを電気系のトラブルのおかげで証明することが出来なかった。運が悪かったよ。でも、仕方ないよね」
|