Honda Racing F1 Teamは、前回のテストから夏休みを挟み5週間を経て、イタリア・モンツァで、本格的なテスト走行を再開した。今回のテストは、伝統あるこのサーキットで、来週末開催されるイタリアGPを見据えてのものだった。
チームは、イタリアGP用のマシンセットアップに限らず、終盤4戦に向けてのタイヤテストも行った。初日の火曜日は、サードドライバーのアンソニー・デビッドソン、そしてジェームズ・ロシターがステアリングを握った。デビッドソンは午前中、空力プログラムから始め、その後イタリアGP用のタイヤ選択に集中。この日は101周を走った。ロシターも同じくイタリアGP用タイヤ選択に専念し、114周を周回した。
2日目に合流したジェンソン・バトンは、午前中マシンバランスの向上に努め、午後は集中的にタイヤテストをこなした。赤旗中断が頻発する状況だったにもかかわらず、バトンはこの日107周を走行。一方、もう1台は、ルーベンス・バリチェロがドライブし、午前中のセットアップ作業に続いて、タイヤと電気系プログラムの開発などをこなし、計75周を走った。
最終日の木曜日も、2人のレギュラードライバーが引き続きテストに参加した。しかし午前中、2人に、エンジントラブルが発生。原因は調査中である。とはいえバトンはタイヤ、バリチェロは電気系と空力開発をそれぞれ担当し、かなりの進歩を遂げた。午後も、午前同様の作業が行われたが、バトンは最終パラボリカコーナーを走行中、リアサスペンションのトラブルでコースから飛び出し、バリアに激突するアクシデントに見舞われた。
■ジェンソン・バトン
「モンツァの2日間は、次戦に向けてかなり集中的な走り込みができた。主なメニューは、ミシュランとともに行う、イタリアGP用のタイヤデータの収集と選択。モンツァは最近、再舗装されており、新しいアスファルトは今までと違った構造になっている。そのためタイヤ選びは、かなりむずかしい作業になった。でも、今回ここで収集したデータを分析すれば、必ず最適なタイヤが選べると信じてるよ。最終日にいくつかトラブルが出てしまったのは、ちょっと残念だったね。チームの分析結果を待って、対応したいと思ってる」
■ルーベンス・バリチェロ
「実際のレース直前に、同じサーキットでテストができるのは、すごく助かるね。今回もタイヤや制御システムに関して、かなり実践的なデータが収集できた。その意味では、実りあるテストだった。残念ながら2日目は予定していた周回をこなせなかったけど、クルマの感触は悪くない。ペースもそこそこいいし、レースで好結果を出せるようがんばるよ」
■アンソニー・デビッドソン
「今回は初日だけで、タイヤやセットアップ作業をこなしながら、100周以上を走りきった。コースは第2区間が新しい舗装になっているために、奇妙な感じだった。GPに向けてのタイヤ選択は、かなり面白いことになるかもしれない。モンツァは他とはまったく違ったコースだけに、ここを走るのは大好きだ。毎周、思い切って踏む覚悟が必要なサーキットだよ。低ダウンフォース仕様でも、クルマのフィーリングはよかった。かなりの戦闘力が発揮できると思う」
■ジェームズ・ロシター
「僕らの走った初日は、まったくトラブルフリーの1日だった。おかげで予定していたプログラムをすべて消化し、かなりの周回をこなせたよ。メニューは主に、イタリアGPに向けてのタイヤと空力評価だった。クルマはいい感じだった。なにより長い夏休みのあと、久しぶりにF1マシンを運転できて、すごくいい気分だ」
■マーク・エリス チーフエンジニア
「最終日にトラブルが相次ぎ、路面コンディションも厳しかったとはいえ、テスト自体からは大きな収穫が得られた。ドライバーたちはクルマのバランスとペースの速さに、満足していたしね。車体面では、空力、足回り、制御系で、進歩が確認できた。総合的なタイヤテストができ、ミシュランがイタリアGP用に、素晴らしいスペックを投入してくれたと信じてるよ。ここ数戦の勢いを、次もぜひ継続させたいね」 |
