カナダ、アメリカと続いた北米2連戦を終えて、Honda Racing F1 Teamは集中的なテストを行った。
7月はフランス、ドイツ、ハンガリーと、ヨーロッパを舞台とする3つのGPが控えている。それに先駆けてチームは先週、スペイン・ヘレスで3日間のテストを敢行した。主なメニューは空力開発、ミシュランタイヤの評価、そして最新型エンジンの実走テストの3つだった。今回、チームの4人のドライバー全員が参加し、合計489周、2171kmを走行した。
初日火曜日を走ったのは、アンソニー・デビッドソンとジェームズ・ロシター。ともにフランスGP用の新しい空力パッケージを装着したRA106をドライブした。空力以外にも、マニクール用のさまざまなタイヤオプションをテスト。2台とも午前中に機械的なトラブルが出たが、すぐに解決してからはデビッドソンが70周を走って、この日トップタイムを出した。ロシターも74周を走行した。
水曜日にはルーベンス・バリチェロが合流し、空力評価や車体セットアップに専念した。バリチェロは午後のセッションが始まってすぐ、第10コーナーでスピンを喫し、車体にわずかな損傷を負った。さらにエンジンにもトラブルが発生し、予定より早い47周でテストを終えた。
一方のデビッドソンは、より生産的な1日が送れた。車体セットアップやドイツGPを見据えたタイヤ評価で、合計110周を走ることができた。
最終日の木曜日には、デビッドソンに代わってジェンソン・バトンがステアリングを握った。バトンはまずタイヤテスト、中でも数種類のリアタイヤの評価に集中。その後車体セットアップに移った。午後に入ってすぐ、バトンにもエンジントラブルが発生。それでも94周を走って、この日2番手の速さを見せた。バリチェロはさらに空力パッケージの改良に取り組んだ。同時にフランスGP用のタイヤテストも行い、同じく94周をこなした。
■ジェンソン・バトン
「エンジントラブルが出たのは残念だったけれど、それ以外はきわめて順調なテストだった。いくつか新しいパーツを試して、いい結果も出たしね。ただしトップチームと互角に戦うには、まだスピードが足りない。フランスGPまでにやることは多いけど、膨大なデータは収集できたよ」
■ルーベンス・バリチェロ
「初日はデータこそ取れたけど、納得いく距離はこなせなかった。今日はマニクールで使う予定の空力パーツを試して、タイム自体は大したことないけど、いくつか面白いものは見つかったね。ジェンソンはもう1台で違うメニューをこなして、はるかにいいタイムが出ている。この2日間、フランスGP本番を前にして多くの情報が得られたし、いいテストだったと思う」
■アンソニー・デビッドソン
「今週はフランスとドイツに向けて、膨大なタイヤテストをこなした。サーキットは灼熱地獄で、いくつかのチームには問題が出たようだ。でも僕らはその辺はうまく対処して、いい結果が出せたね。クルマはバランス自体悪くなく、ハンドリングも良好だ。車体セットアップも進歩できて、おかげで走行ペースも上がっている。いくつか信頼性の問題が出たけど、僕のエンジンは2日間走ってまったくトラブルフリーだった。かなりの周回をこなせたよ」
■ジェームズ・ロシター
「いくつか機械的なトラブルが出たために、火曜日のプログラムはすべてこなすことはできなかった。でもフランスGPに向けての空力テストは全部でき、結果も悪くない。タイヤテストも、いい感触を得られたね」
■マーク・エリス Honda Racing F1 Team チーフエンジニア
「車体も空力もテストすべきことが山ほどあって、実に忙しい3日間だった。滅多に出ない機械的トラブルにより、プログラムが中断したけど、全般的なペースや安定性には、満足している。この勢いを、次戦のフランスGPにつなげたいね」 |