Honda Racing F1 Teamは今週、イタリア・モンツァでの3日間のテストを終了した。これは来週から始まる北米2連戦、カナダ・モントリオールでのカナダGPと、アメリカ・インディアナポリスでのアメリカGPに備えたものであった。
アンソニー・デビッドソンとジェームズ・ロシターがRA106のステアリングを握った初日火曜日は、強い日差しとかなりの暑さに見舞われた。午前中の2人は、ブレーキ評価テストから本格的な走行をスタート。午後にはインディアナポリスに向けたミシュランタイヤのテストを行った。デビッドソンのマシンは午前中エンジントラブルが発生したが、合計128周、距離にして741kmを走行。モンツァは初めてのロシターも、117周677kmをこなした。
ロシターに代わってジェンソン・バトンが合流した2日目も暑く、路面温度は54℃に達した。デビッドソンは、数周の慣らし走行の後、きれいになった路面で、来週からの2連戦に向け、空力の比較テストと車体セットアップを行った。一方のバトンも、新しい空力パーツをテストした。午後は2人とも、インディアナポリス用のタイヤ比較を実施。デビッドソンは120周695kmと、初日並みの周回をこなす。バトンはセッション終盤エンジントラブルに見舞われたが、ほぼデビッドソン並みの117周678kmを走行した。
最終日はバトンとルーベンス・バリチェロが参加。車体セットアップや空力開発、そしてタイヤ構造の開発プログラムに集中した。バトンはこの週の最速タイムである、1分22秒917をマーク。周回数も136周787kmと、充実した1日となった。一方のバリチェロは駆動系の細かいトラブルで、コース上にストップ。しかし89周515kmを走って、全般的な車体セットアップ作業を終了した。
3日間合計で707周、4094kmを走行し、さらにバトンが最速タイムをたたき出すなど、満足なテストを終えた。
■ルーベンス・バリチェロ
「今日はいいテストができた。盛りだくさんのメニューを消化しないといけなかったけど、それも何とかこなしたしね。マシンのバランスには、すごく満足してる。ラップタイムも悪くない。カナダに向けて、みんな違う形状のウイングで走ってるから、他のマシンと比べて、どれほど速いのかが今ひとつ見えない。でも来週のカナダに向けて、僕らはいい仕事ができたと思ってるよ」
■ジェンソン・バトン
「今週のテストは順調で、僕だけでも2日間で250周以上周回できた。モントリオールに向けての空力パッケージはいい感じだし、タイヤテストの結果もきわめてよかった。他にもいくつか別の開発プログラムを実施して、こちらもいい結果が出たしね。それだけに、水曜日のエンジントラブルは残念だった。でも全体的には、いいテストだったよ」
■アンソニー・デビッドソン
「非常に生産的なテストだった。僕だけでも2日間で1400km以上走ったしね。モンツァで試せたダウンフォースを減らしてのセットアップでは、クルマがすごくいい感じだった。その後、よりモントリオールの特性に近いものに変えた時も、バランスの良さはキープできたしね。今回は2連戦に向けて、相当たくさんのアイデアを試した。その結果を見る限り、僕らは正しい方向に進んでるようだ」
■ジェームズ・ロシター
「1日だけとはいえ、実に有意義なテストだった。高い信頼性のおかげでテストメニューをすべてこなせ、その結果カナダに向けての貴重なデータが得られたよ。インディアナポリス用のタイヤテストもずいぶんやったから、レースドライバーがテストに合流した時に、すぐにそれらを試してもらえた。118周を走って、いい結果も出せた1日だったね」
■マーク・エリス チーフエンジニア
「3日間にわたって、非常に生産的なテストになった。モントリオールとインディアナポリスはミディアムダウンフォースが要求されるのだが、それに向けて、空力セットアップで確実な進化が見られたしね。マシンの信頼性が高かったおかげで、予定したメニューもこなすことができた。それからアメリカGPに向けてのタイヤテストも順調に終えられ、こちらの結果にも満足しているよ」
■中本修平 Honda Racing F1 Team シニアアドバイザー
ホンダ・レーシング・ディベロップメント エンジニアリングディレクター
「次の2戦は、エンジン関係に特に負荷のかかるレースですから、今回は主に、信頼性を試すことが主なメニューでした」
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