Honda Racing F1 Teamは今週、バーレーン・インターナショナル・サーキットでテストを行った。
同サーキットでは3週間後に2006年シーズンの開幕戦が開かれるだけに、今回の走行は実に重要なテストとなった。バーレーン・インターナショナル・サーキットは全長5.417kmで、技術的に難易度の高いコースである。冬のヨーロッパに比べればはるかに温暖な気候の中、4人のドライバーが合計854周4638kmを走行し、今シーズン開幕に向けて入念な準備を行った。
初日月曜日は、アンソニー・デビッドソンと若手ドライバーの一人であるジェームズ・ロシターが参加。この日が初走行となる、仕上がったばかりのRA106-3号車を走行した。デビッドソンが基本セットアップを終えたのち、タイヤや空力評価に専念。114周を走って、2006年モデルの中では最速タイムをマークした。
ロシターは午後から、ショートランでの空力評価を行い、合計68周を走行。RA106に迅速に適応し、かなり早い段階から競争力のあるタイムを叩き出していた。
ジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロの両レースドライバーは、翌火曜日からテストに合流。各自のマシンでの習熟走行を終えた午後からは、タイヤと空力の評価プログラムを行った。バトンは88周、バリチェロは105周を走って、ともにほぼ同タイム。この日もHonda勢は、2006年マシンの中で最速のタイムを記録した。
水曜日も両レースドライバーがステアリングを握り、タイヤと空力評価のテストを続けた。さらに午後には、レース・シミュレーションも実施。バトンは実に140周をこなして、総合2番手。バリチェロも104周を走行した。
最終日の木曜日も、成果の多い1日となった。バトンはタイヤ評価に集中したほか、午後にはピットストップの実践練習や、車体のセットアップも行った。この日は133周を走行し、V8勢としては3日連続の最速タイムを記録した。バリチェロは、2度目となるレース・シミュレーションを終了し、サスペンションと空力テストを行い、101周を走行した。
■ルーベンス・バリチェロ:ベストタイム1分31秒483(火曜日)
「今週のバーレーン・テストは、とても有意義だった。ここに来ようと決めたことは、大正解だったよ。タイヤやエンジンに関する作業をかなりこなして、周回数もずいぶん稼げた。いくつか細かいトラブルも出たけど、今の時点ではそれはむしろ歓迎すべきものだ。どんな問題なのか、そしてそれを開幕までにどう解決するか学べるからね。テストしたタイヤは戦闘力のあるもので、今回も僕は距離を走ることに全力を注いだよ。今週の結果には全て満足してるし、3週間後にまたここに戻ってこれるのが楽しみだよ」
■ジェンソン・バトン:ベストタイム1分31秒248(木曜日)
「この数日間のテストは、非常にうまく行った。多くの周回をこなしたし、主目的のタイヤテストだけじゃなく、バーレーンでの本番に向けての信頼性向上やセットアップ作業もずいぶん進んだからね。暑い中で走ることで、体力的な準備もできた。クルマはより高い信頼性を示せたし、ミシュランとの作業もかなりの進歩を見せてる。とても充実した1週間だったよ」
■アンソニー・デビッドソン:ベストタイム1分32秒571(月曜日)
「マシンは初日月曜日から、素晴らしい信頼性の高さを発揮した。おかげで114周を走って、順調そのものだったよ。コースコンディションも、走り始めの初日としては悪くなかった。おかげでタイヤと空力に関して、有意義なテストができた。クルマ自体も、全般的に速いペースで、悪くなかった。僕は今回のテストに来るまで、バーレーンでは2004年の金曜セッションで50周走ったことがあるだけだった。あの時に比べると、第3コーナーが若干変わってたね。いつもスペインでばかりテストをしてるから、別のサーキットを走るのは新鮮だった。おまけに天気は良かったし、テストとしては完璧だったね」
■ジェームズ・ロシター:ベストタイム1分32秒864(月曜日)
「RA106を初めて今回走らせられたのは、すごくいい経験になった。そして僕の第一印象は、実に素晴らしいクルマだと言うことだ。この1日はマシンに慣れることに費やし、同時に午前中はセットアップ作業、午後は空力評価もこなした。バーレーンは2004年末にF3でレースしたことがあるけど、同じサーキットをF1で走れたなんて最高だよ」
■マーク・エリス Honda Racing F1 Team チーフエンジニア
「ここバーレーンで初めてテストを行ったことの意義は、いくつもある。まず3週間後の開幕戦が開かれるコースを走れたこと。そしてマシン評価をする上で、ここのコースレイアウトが非常に素晴らしいものであること。もちろん気候がヨーロッパよりずっと暖かいのは、言うまでもないことだ。今週はマシンとタイヤに関して、実に多くのことを学べた。開幕戦に向けて、最高の準備ができたよ」
■中本修平 Honda Racing F1 Team マネジメントボード、ホンダ・レーシング・ディベロップメント エンジニアリング・ディレクター
「バーレーン・インターナショナル・サーキットは、エンジンに非常に厳しいサーキットです。そこでできるだけ高回転を維持しつつ、最大限長い距離を走らせました。当然、いくつかの問題が出ています。しかし一方では、両方のエンジンはともに1000km以上を、いっさいのトラブルなしで走りきりました。進むべき方向性は、間違っていないはず。次のバルセロナでは、さらなる進化を期待しています」 |
