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勝利の味 佐野教授の「60's Honda F1物語」

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テストランもままならずに臨んだイタリアGPを前に。画面左端が佐野さん。RA300はそのデビュー戦で思いがけない優勝を飾った。
目の前で見た2勝目
(佐野彰一×高木理恵) 

Hondaが初めてF1で優勝したのは、1965年の10月でした。それからおよそ2年後の1967年9月10日、ジョン・サーティース選手が操るマシンがイタリアのモンツァで1位になります。
メキシコでの初勝利の時は日本にいて、そして会社をズル休みしていた(笑)という佐野さん。
でも、このイタリアでの勝利は、ご自分の目で確かめることができました。さあ、その時の感動はいかに?

――今度は現場にいらしたわけですよね。で、そこで見た「勝ち」はものすごく感動的だったのでは?

「……私はモンツァで勝った現場に、本当にいたんですけどねえ(笑)」

――あら? 現場にはいたけれどもって、何かあったのですか?

「いや。ああ、実際に勝つときというか、勝利するっていうのは、こんなに簡単なものなのかと思って……」

――あの、このイタリアが“初ナマ”のグランプリではなかったんですよね?

「ええ。66年のアメリカGP、メキシコGPには行ってますからね。67年の1月には、南アフリカにも行ったし。そして、その後、ローラに行ったわけですけど」

――でも、そのローラで設計したマシンが勝ったわけですよね。興奮してチーム・スタッフと抱き合ったりとか、そういう感動秘話はないんですか〜? 

「いやあ、なんかね、あっけなかったなあ……(笑)。勝つときっていうのは、あんなもんなんでしょうけど」

――ピット内では、みなさん興奮してなかったんですか?

「あ、国会議員だとかいう人がピットに来て、『これは表彰するように提案する』とか、そんなことをわめいていましたが」

――ウーン、ワタシだったら大騒ぎしそう(笑)。佐野さんは、勝利の瞬間はピット内に?

「いましたよ。でも、『あ、勝った……』それだけだったな(笑)」

――でも、レース中、激しいバトルがあったとも聞いてますし、このグランプリは、レース自体もすごかったんですよね?

「それが……。あの、レースって、クルマがワーッと走り出しちゃうと、もうゴチャゴチャになってしまうじゃないですか(笑)。だから、どうなっているのか、よくわからなくてね。
……そうですねえ、私は、勝負そのものにはそれほどこだわってないんですね。だから、チェッカーの瞬間を見たかどうかも、実は覚えていないんです。
もちろん、クルマがいいことはわかっていました。でも、レースをちゃんと把握していたかということになると、ちょっと……(笑)。
クルマをしっかり作るってこと、それには関心があるんだけど、ちゃんとできてしまったら、その先は人の仕事――こういう感じもあってね。」


「どうも私は、申し訳ないんですけど、レースそのものの勝ち負けには、あまり興味がないんだな」

――あー、映画『グランプリ』の見方と通じるものがあって、それはすごく納得できます!(笑) で、イタリアで、特別な打ち上げとか祝賀会は?

「覚えてないです……。まあ、まったくやらなかったということはないと思うけど……」

ということで、勝利にこだわらない佐野さんでしたが、しかし、そんな佐野さんのクールなハートを動かすようなことが、サーキットを離れてから起きたのでした。
さて、「勝つっていいものだな!」と佐野さんに思わせたイタリアでの粋な出来事とは、果たして何だったのでしょうか?

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