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佐野教授の手紙

イギリスからその4
 さてその次ですが、今週は御招待が多く、今度はジョンさんからです。日曜日に家に来て、犬に会って、晩ごはんをたべろとの事です。日曜にローラに来るので車であとをつけて来いと云うわけで、来られるかと聞くのでOKと云ったら、スイスイと走るので閉口しました。相手はなにしろチャンピオンドライバーで車はミニクーパーS、しかもロンドン近郊は我が家のごときと来ているのですが、こちらは一番安いガソリンを入れたばかりのコルチナにノーライセンスドライバーなのです。しかも道はまったくわかりません。狭い近道を50マイルで走り、前の車をスイスイ抜いて行くのです。こちらは必死でついて行きました。あとで速くて苦労したといったら、それはもうしわけなかった。ミスターナカムラはいつも速いので、といわれましたが、片道45マイルなんとか無事につきました。途中すばらしく景色の良い所がありましたが、ちらっと見るのがやっとでした。
 ジョンさんの大邸宅にはロンドンへ来てすぐに行ったので犬の方がおぼえていました。大きなブル系の犬が二頭いて顔までなめかねない歓迎に往生しました。まったくすばらしい良い家です。写真をとっておきましたが大きな芝生に、色とりどりの花が満開です。土地は広く、林があります。境から南はなだらかな丘陵になっていて牛が草をたべています。「まったく良い環境ですね。日本でもめったにない所です」と云ったら、まったく静かだがロンドンまで列車だと30分で行かれるし、スラウにもそう遠くない。こんな家はロンドンでも多くないので、これを買えたのは全く運が良かったといっていました。彼は道路での車の運転は全く楽しくない。新しい車で優勝出来たら、ミスターホンダにヘリコプターを買ってもらうんだと冗談をいっていました。道に自信が無いので明るいうちにフラットに帰りたいといって、食事后すぐに失礼しました。帰りの道は中村さんと夜地図をたよりにねむい眼をこすりこすり通ったことがありましたが、明るいので楽しいドライブが出来ました。行きにすっかりきたえられたので、帰り道は鼻歌まじりのドライブです。こちらの交通にも馴れたので、彼らと全く互角に或はそれ以上で走れます。あまり自信を持つと危いのはわかっていますので御安心を。ロンドン郊外はいたる所に良い景色のところがあり、長くロンドンに来ることがあったら又行ってみたいと思っています。
 さて、今は日曜の夜10時30分。テレビのサンデープロムナードでベートーベンの第5協奏曲が始ります。では又、失礼します。

10:30PM 20 AUG '67 S. Sano


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