Round 03フランス
2020年8月29日(土)-30日(日)・決勝
ル・マン24時間
ブガッティ・サーキット
史上初の無観客開催となったル・マン24時間レースが、フランスのブガッティ・サーキットで8月29日から30日にかけて行われました。CBR1000RR-R FIREBLADE SPを駆るF.C.C. TSR Honda Franceは、ジョシュ・フック、フレディ・フォレイ、マイク・ディ・メリオの3名で参戦。優勝を目指して臨みました。
フックが予選前のフリー走行で右足を痛め、決勝前のウォームアップ走行を見合わせるというアクシデントはあったものの、F.C.C. TSR Honda Franceはスタートライダーをフックからディ・メリオに変更して決勝レースへ。
オープニングラップ終了後のストレートでトップに浮上すると、そのまま首位をキープして2番手のフックに引き継ぎます。しかし、レースは序盤から荒れ気味で、フックが走行し始めてしばらくすると、早くも雨が落ち始めます。フォレイに代わった直後には、セーフティカー(SC)の介入や転倒車両も発生。首位のチームも転倒し、フォレイが再びトップに浮上します。
タフな24時間レースが予感される中、ディ・メリオの2スティント目の冒頭で、前を行く首位のマシンが転倒するアクシデント。108周目で再びトップに立ったディ・メリオは、そのまま次のフックに交代。続くフォレイと、その後はトップを譲ることなく、そのまま優勝を遂げました。
レース運びは極めて順調に見えましたが、実際には突然の降雨に対するタイヤチョイスや交換のタイミング、ほかにもいろいろな場面でマイナートラブルなども出現。その都度チーム全体で柔軟に対応し、ピット作業も速さより確実性を重視するなど、全員で乗りきりました。
F.C.C. TSR Honda Franceは、8時間経過、16時間経過時点の順位に対して与えられるボーナスポイントを、それぞれ1位で10ポイントを得たほか、優勝の40ポイント、予選順位の2ポイントを加え、計62ポイントを獲得。トータル87ポイントで、ランキングは2位に浮上しました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、EWCのスケジュールも大幅に変更され、次戦は9月27日(日)のエストリル12時間レース(ポルトガル)。これがシーズン最終戦となる予定です。
藤井正和|F.C.C. TSR Honda Franceチーム総監督
「今回のレースについての思いはさまざまあります。もちろん、今回のル・マンは勝ちたかったレースで、なにより新型CBR1000RR-R FIREBLADE SPのEWC初参戦、初の24時間レース、そして世界初優勝を達成できたことは自負したいと思います。しかし、レースやマシンとは全く異なるコロナ禍、しかもパンデミックという世界的な流行の中で、果たしてレースなんてできるのか? (新型マシンを組み上げてスタートラインに並べ)一体たどり着けるのか? そんなものを乗り越えて自分たちのマシンが組み上げられる喜び、自分たちのマシンでレースができる喜び、チームがこうして集まって一緒になって戦う喜びを、多くの皆さんと分かち合って乗り越えていきたい、そんな思いがとても強く感じられます。皆さん一緒にがんばりましょう」
ジョシュ・フック|F.C.C. TSR Honda France(優勝)
「信じられないレース展開でした。新型マシンとここにやって来て、チームは準備の時間が1~2カ月しか取れずに、会場に到着してから準備が完了するような状況でした。Honda CBR1000RR-R FIREBLADE SPはすばらしく、ピットを出てすぐに競争力を感じられ、僕らライダーとチーム全員にとって驚きでしたし、このマシンが最速でした。そこからさらに進化を続け、勝てるマシンでル・マンへやって来たので、スタートからそれを実感していました。この新しいマシンを走らせるために懸命に取り組んでくれたチームと関係者の皆さんに心から感謝しています。みんなで勝ち取った勝利ですし、フレディ(フォレイ) 、マイク(ディ・メリオ)とともに成し遂げられてうれしいです」
フレディ・フォレイ|F.C.C. TSR Honda France(優勝)
「あとから振り返ったときに、これがCBR1000RR-R FIREBLADE SPの第一歩になりますし、そこで勝利を挙げることができました。レースウイークが始まる前には、いきなり速さを発揮できるとは予想していなかったので、すばらしいパフォーマンスに導いてくれたチームに感謝しています。チーム、チームメートとこの喜びを共有できるのはすばらしいことです。いい走りを見せてくれたマイク(ディ・メリオ)と、ケガを抱えながらも最後までやり切ったジョシュ(フック)を称えたいと思います。このチームでル・マン2勝目を挙げられて最高の気分です。コロナ禍で、数週間前はレースができるかも分からなかったのに、僕らがいまここにいて、レースに勝てたなんて、魔法にかかったような気持ちです」
マイク・ディ・メリオ|F.C.C. TSR Honda France(優勝)
「すごいレースでした。スタートしてすぐに、レースペースがかなりいいと感じ、新型マシンでのスタートでしたが、ライバルたちを引き離そうとしました。いいスタートが切れて、グレッグ・ブラックの後ろについていましたが、自分のペースでレースをしようと思っていました。こんなにギャップを築けて驚いたので、最初のスティントでは少し冷静になるように努めました。難しいコンディションになり、ミスをするチームも出てきたので、我々はペースを守ることに注力しました。夜間走行でマシンがどうすれば機能するのか理解が進み、楽しめるようになってきて、ラップタイムも好調でした。チームは、新型CBR1000RR-R FIREBLADE SPをすばらしい仕事ぶりで作り上げてくれましたし、僕らもコロナ禍の中でできる限りトレーニングを積み、今日の勝利という成果をつかむことができました」
順位 | No. | チーム | マシン | 周回数/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | F.C.C. TSR Honda France | ![]() | 816 |
2 | 1 | WEBIKE SRC KAWASAKI France TRICKSTAR | カワサキ | +2Laps |
3 | 2 | Suzuki Endurance Racing Team | スズキ | +3Laps |
4 | 7 | YART - YAMAHA | ヤマハ | +5Laps |
5 | 333 | VRD IGOL PIERRET EXPERIENCES | ヤマハ | +17Laps |
6 | 36 | 3ART BEST OF BIKE | ヤマハ | +22Laps |
29 | 70 | ATLANTIC RACING TEAM | ![]() | +128Laps |
36 | 41 | RAC41 CHROMEBURNER | ![]() | +582Laps |
38 | 55 | National Motos | ![]() | +763Laps |
順位 | No. | チーム | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | Suzuki Endurance Racing Team | スズキ | 127 |
2 | 5 | F.C.C. TSR Honda France | ![]() |
87 |
3 | 7 | Yamalube Yamaha EWC Official Team by YART | ヤマハ | 82 |
4 | 37 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW | 82 |
5 | 1 | TEAM SRC KAWASAKI FRANCE | カワサキ | 80 |
6 | 77 | Wójcik Racing Team | ヤマハ | 70 |
12 | 88 | Honda Asia-Dream Racing with SHOWA | ![]() |
28 |
15 | 55 | National Motos | ![]() |
22 |
25 | 26 | Zuff Racing Honda Swiss Team | ![]() |
8 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | ヤマハ | 147 |
2 | スズキ | 114 |
3 | カワサキ | 98 |
4 | ![]() |
94 |
5 | BMW | 91 |
6 | ドゥカティ | 12 |