ROUND 04
スロバキア
2017.06.24(土)・決勝
新型CBR1000RR Fireblade SP2を駆るHonda Endurance Racingが、FIM世界耐久選手権シリーズ第4戦スロバキア8時間耐久ロードレースで3位を獲得。表彰台に戻ってきました。
スロバキアリンクでは、日を追うごとにライダーたちのタイムが上がっていました。特にF.C.C. TSR Hondaのジョシュ・フックは予選初日木曜日のナイトセッションで2分4秒9までタイムを上げると、金曜日の最終予選ではそれをさらに上回る2分4秒369、オールオーバーで3番目のタイムをマークしました。
Honda Endurance Racingのフレディ・フォレイ、フリアン・ダ・コスタ、セバスティアン・ジンバートの3人のライダーとチームも、プラクティスと予選で好感触を得ていて、自信を内に秘めて8時間にわたる決勝に臨みました。スロバキアリンクは今期から新たに世界耐久選手権シリーズのカレンダーに加わったサーキットですが3人のライダー、そしてCBR1000RR Fireblade SP2との相性はいいようです。
決勝は現地時間の午後1時半に始まり、フォレイがHonda Endurance Racingのスタートライダーを担当しました。フォレイはいいスタートを切り、1周目を5番手以内で走りました。その後21番手まで順位を落とし、再びトップグループに戻るために奮闘しました。
F.C.C. TSR Hondaはフックがスタートライダーとなりました。チームのレースプランでは、8回のピットストップで9スティントを走り、各スティントで24~26周する戦略が練られ、そのうちフックが半分以上の5スティントを担当することになっていました。若く一番元気、かつタイムも抜群のフックを重用したかたちです。
フックは好スタートを切ると、早速2番手にポジションアップしました。3周目にトップに浮上し、その後は後方から迫ってきた同郷のブロック・パークス(YART Yamaha)とともにテール・トゥ・ノーズの軽やかなポジション争いを展開し、序盤のレースを盛り上げて、場内を沸かせました。
Honda Endurance Racingは耐久ロードレースを得意とするライダーたちの奮闘とチームのスピーディーなピット作業のおかげで、ほどなくしてトップ10に返り咲きました。
ダ・コスタからジンバートにバトンタッチする3回目のピットストップの時点で、4番手を走行。トラックを走るCBR1000RR Fireblade SP2に、観客の視線が集まります。トラックの温度が上昇する中、スピーディーなピット作業の影響もあり着実なラップタイムを刻み続け、Honda Endurance Racingは表彰台に手が届く位置で走り続けました。
F.C.C. TSR Hondaは予定通りダミアン・カドリンにスイッチした後、3番手にポジションを落としました。ポジションをキープして再びフックに交代してトップを追いました。フルタンク+新品タイヤでなかなかペースの上がらなかったフックですが、再びペースアップして周回を重ねます。その後のグレッグ・ブラックも3番手をキープして走行。しかし、ブラックは後半から明らかにタイムが落ち、エンジンから異音が認められたことから、次回の交代でガソリンタンクを交換する作業を行いフックに交代しました。約100周3時間半経過した現地時間17時過ぎ、F.C.C. TSR Hondaは7番手まで後退しました。
しかし、タイムが落ちた原因はガソリンタンクではなかったため、フックが数周した後に再び緊急ピットイン。徹底的に原因究明をすべくピット内ではチームクルー総出でマシンを解体しました。1時間弱の作業で原因が特定されてカドリンが再度コースインしたのが18時10分ごろ。順位は走行している車両の最後尾、26番手まで滑り落ち、このレースでの表彰台はおろか、鈴鹿8耐での逆転チャンプの可能性までなくなってしまいました。
トラブルの原因は、点火系コードの断線という思いがけないものでした。レースはすでに折り返しを過ぎて、5時間を経過しようとしていました。それでも、そのときその場所にいなければ、結果を残すことはできない、という当たり前の思考で諦めることはなく、残り時間の先にあるゴールを目指して、チーム全員が取り組みました。
F.C.C. TSR Hondaの中でも衆目を集めたのが、今回もやはりフックでした。走行に臨み「最速タイムをマークしてみせるよ」とコメントを残したフックが、実に162周目に2分4秒753というレースファステストラップにして、スロバキアリンク初開催の世界耐久選手権シリーズでニューレコードを記録しました。世界耐久選手権シリーズの歴史に名を刻んだことになります。フックは決勝日朝に行われたフリー走行でも、サーキットレコードをブレイクする4秒077をマークしていて、決勝レースでもその自信があったのでしょう。
スロバキアリンクでの8時間耐久ロードレースも終盤に入り、Suzuki Endurance Racing Teamと2番手争いを続けるHonda Endurance Racingのピットは緊張に包まれていました。そして222周、約1315kmを走り切りって3位でフィニッシュ。2016-2017 FIM世界耐久選手権シリーズで初めての表彰台獲得となり、Honda Endurance Racingは第4戦を終えて総合ランキング11位となりました。
F.C.C. TSR Hondaはブラック、再びフックとつなぎ、最後のフィニッシュ担当はカドリンが務め、8時間、201周、トップ差22周という結果でフィニッシュしました。残念ながら鈴鹿8耐での逆転チャンプに必要なポイントを得ることはできず、それどころか下位チームに逆転を許し、ランキングは6位ヘと後退することになりました。
Honda Endurance RacingとF.C.C. TSR Hondaは、7月30日に決勝が行われるFIM世界耐久選手権シリーズ最終戦鈴鹿8時間耐久ロードレースに向けて、準備を進めます。
フレディ・フォレイ|#111 Honda Endurance Racing(3位)
「今日はとてもよかったです。チームの全員が今日のような結果を望んでいました。みんなが努力を続けてきて、その努力が今日報われたのです。完璧なピット作業のおかげで、いいレースができました。スタッフには、感謝してもしきれません。自分の走りについても、いいスタートが切れて満足しています。その後もよかったです。トラックの温度が高く難しい場面もありましたが、落ち着いてオーバーテイクできるチャンスを狙いました。序盤ではつまらないミスをしてしまいましたが、耐久ロードレースなので修正する時間は十分にありました。結果的に表彰台を獲得でき、完璧なレースができたと思っています」
フリアン・ダ・コスタ|#111 Honda Endurance Racing(3位)
「今日の結果に、とても満足しています。チームのみんなが、いい仕事をしました。ピット作業がスピーディーでしたし、トラックでもいいペースで走れました。再び表彰台を獲得できたことが、信じられない気持ちです。ずっと表彰台獲得を望んでいましたし、後は運さえ味方してくれれば可能だと思っていました。チームのスタッフとチームメートのライダーたちの努力に感謝します」
セバスティアン・ジンバート|#111 Honda Endurance Racing(3位)
「再び表彰台を獲得できてとてもうれしいです。今シーズンでは初めての表彰台ですし、とてもいい気分です。いいレースができましたし、楽しんでスロバキアリンクを走りました。CBR1000RR Fireblade SP2はレースを通じて完ぺきで、高い気温の中でもプッシュすることができました。さらに勝利を重ねていきたいと思っています。次は鈴鹿8耐ですが、すでに準備は万全です」
ジョニー・トゥエルヴツリーズ|#111 Honda Endurance Racing総監督(3位)
「新型CBR1000RR Fireblade SP2とともに表彰台に登壇できたことを非常にうれしく思います。1月以降、チーム一丸となってマシンのセッティングに全力を傾けてきました。前戦のオシャースレーベンでは表彰台を狙える位置で走りましたが、惜しくも逃しました。今日は私たちにとって相応しい結果を得ることができました。メカニックとライダーのみんなには感謝してもしきれません。素晴らしい仕事をしてくれました。セッティングが順調だったので、レースウイークに入る時には、このような結果を得ることができると思っていました。世界耐久選手権シリーズの最終戦でもある次の鈴鹿8耐を楽しみにしています。できるだけいいランキングでシーズンを終えたいです」
藤井正和|#5 F.C.C. TSR Honda総監督(21位)
「目標である優勝を含めた上位入賞ははかなく消え去ってしまいました。もちろん、これが今の実力だと認識していますが、トップグループと組み合い、あるいはそれを上回る実力はあるということは確認できましたし、今回までにさまざまに手を加えてきたマシン造りには大きな手応えや可能性を感じています。この先はもちろん鈴鹿8耐に向けて再び態勢を整えて臨むわけですが、さらにその先を見据えて活動を継続できる方法を同時に模索しています。すでに次のシーズンは始まっています。我々はレース活動を続けるために、結果を出し続けなければならなりません」
順位 | No. | チーム | ライダー | マシン | 周回数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 94 | GMT94 Yamaha | D.チェカ N.カネパ M.ディ・ミリオ | ヤマハ | 223 |
2 | 1 | Suzuki Endurance Racing Team | V.フィリップ E.マッソン A.カドリン | スズキ | 222 |
3 | 111 | Honda Endurance Racing | フリアン・ダ・コスタ セバスティアン・ジンバート フレディ・フォレイ | ![]() | 222 |
4 | 7 | YART Yamaha | B.パークス M.フリッツ 野左根航汰 | ヤマハ | 222 |
5 | 48 | Voelpker NRT48 by Schubert-Motors | S.ケルシュバウマー J.ビューン J.プッフェ | BMW | 219 |
6 | 333 | Yamaha Viltaïs Experience | F.アルト B.マッケルズ A.モーリン | ヤマハ | 219 |
7 | 90 | Team LRP Poland | M.レイテルベルガー J.チェルニー M.フィラ | BMW | 218 |
8 | 8 | Team Bolliger Switzerland | H.サイガー R.スタム M.サヴァリー | カワサキ | 218 |
9 | 14 | Maco Racing Team | G.ジュノー M.ジェルマン A.ドス・サントス | ヤマハ | 215 |
10 | 44 | No Limits Motor Team | N.ロッソ K.マンフレディー A.ボスコスキュロ | スズキ | 215 |
21 | 5 | F.C.C. TSR Honda | グレッグ・ブラック ダミアン・カドリン ジョシュ・フック | ![]() | 197 |
27 | 50 | Team April Moto Motors Events | グレゴリー・ルブラン マシュー・ラグリブ グレゴリー・ファストリー |
![]() |
154 |
30 | 61 | MotoTech-EWC | ディディエ・ファンケイミューレン ゴティエ・ドゥベルツ マーティー・デブルーイン | ![]() | 37 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | Suzuki Endurance Racing Team | スズキ | 132 | |
2 | 94 | GMT94 Yamaha | ヤマハ | 131 | |
3 | 7 | YART YAMAHA | ヤマハ | 105 | |
4 | 11 | Team SRC Kawasaki | カワサキ | 92 | |
5 | 14 | Maco Racing Team | ヤマハ | 87 | |
6 | 21 | F.C.C. TSR Honda | ![]() |
84 | |
11 | 111 | Honda Endurance Racing | ![]() | 42 | |
19 | 41 | Rac 41 | ![]() | 13 | |
24 | 26 | Zuff Racing Team | ![]() | 8 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | ヤマハ | 219 |
2 | カワサキ | 160 |
3 | スズキ | 130 |
4 | ![]() | 106 |
5 | BMW | 64 |
6 | ドゥカティ | 1 |