RestDay
ラパス
1月6日にリマ(ペルー)をスタートし、ここまで6つのステージを終えたダカールラリー。その前半パートを終えた各チームが、昨日、ボリビアの首都ラパスに到着しました。選手たちは、世界一過酷なラリー期間中、唯一の安息日となるレストデイをここで過ごします。ライダーはたっぷりと休養を取り、メカニックたちは後半戦に迎える8つのステージを見据え、CRF450 RALLYのメンテナンス作業を隅々まで進めています。
ラリーの前半は厳しいものでした。ペルーの砂漠は柔らかく、ときには登るのも下るのも難しい箇所を走破する必要がありました。ナビゲーションも複雑で、ダカールラリーらしい序盤となったのです。2輪、ATV(クワッド)、4輪、トラックなど各カテゴリー合わせて335台がリマを出発しましたが、ここラパスにたどり着いたのは233台。この数字も、ラリーの厳しさを物語ります。
この難しい6日間を通して力強い走りを見せてくれたMonster Energy Honda Teamのライダーたちは、5名揃ってラパスへと到着しています。ホアン・バレダは持ち前のスピードで2度のステージ優勝を果たし、自身のダカールラリーでのステージ優勝記録を21へと更新しました。現在、総合では4位。後半戦でも優勝を目指してレースに挑みます。
ケビン・ベナバイズは、現在総合1位。ここまで、ステージ優勝を果たしたライダーは4名、総合首位を飾ったのもベナバイズで4人目となっており、リーダーボードは目まぐるしく変化しています。そんな中、ベナバイズはここまでの6ステージでトップのライダーから最大でも12分20秒差、最短では30秒差にまとめており、すべてのステージでトップ10フィニッシュ。ラリーライダーらしい冷静な走りで堅実な結果を残しています。べナバイズにとっての母国であるアルゼンチンも通過する後半戦ではどんな走りを見せてくれるのか、期待がさらに膨らみます。
リッキー・ブラベックも実力を発揮し、現在総合11位。ナビゲーション機材のトラブルによりウエイポイントを通過できず、ペナルティーで総合24位になっているマイケル・メッジも、しっかりと自身の仕事をこなしています。
チリ出身の若手ライダー、イグナシオ・コルネホは、ラリー直前のケガにより出場を断念したパウロ・ゴンサルヴェスの代役として出場。自身にとって未知のマシンであるCRF450 RALLYをうまく操り、総合12位とポジティブな結果で前半戦をまとめています。
この先、ラリーはボリビア、アルゼンチンでの厳しい8つのステージを残しています。標高3500mを越える高地での戦いとなるボリビアでは、低温と雨が予想され、ルートも泥道となるでしょう。アルゼンチンでは一転して、フィアンバラ、サン・ファンでの高温な砂漠ステージが、また別の厳しい表情をライダーに向けることになりそうです。
明日からの後半戦は、2ステージ連続でチームサポートが受けられないマラソンステージが開始されます。チームとライダーが再会するのは日曜日、トゥピサのビバークです。ゴールへの道のりはまだ長く、リーダーボードのタイム差も接戦が続いています。そんな中、Monster Energy Honda Teamは着実に力強く、明日から始まる後半戦に挑みます。
ペルーからボリビアへと国境を跨いだラリー。参加者はそれに合わせた心の準備が必要となる。後半戦最初のステージ7、そしてステージ8はマラソンステージ。兵舎を使ったウユニのビバークはもちろん、トゥピサのビバークまでサポートチームからの援助は受けられないため、問題が起こればライダー自身で解決するしかない。ステージ7は、標高が3700mから3800mの高地がメインに設定された土のルート。続くステージ8では、高地での砂丘を通過する。ライダーたちは、明日から合計1300kmを超える距離をノーサポートで走ることになる。
ケビン・ベナバイズ(総合 1位)
「とてもいい週で、総合的に見てもとてもポジティブな位置で前半戦を終えることができたと思います。ペルーはとてもハードで、場所によってはかなり危険でもあったため、無理せず自分をケアすることを心がけました。予想通り、ペルーでは複雑なナビゲーションが設定されていましたが、うまくクリアしていくことができました。私は総合首位でボリビアに到着しました。すばらしいことです。しかし、明日からは、いろいろな地形のあるボリビアを抜け、私の生まれ故郷である最愛のアルゼンチンへとレースは続いていきます。まだ長い道のりがあり、私たちは冷静でいなければなりません」
ホアン・バレダ(総合 4位)
「ここまでの1週間と、これからの1週間はまるで違うものになるでしょう。これまでのような広大な砂丘ではなく小道を走りながらも、今まで以上の距離が設定されているステージが始まります。私たちは天候によって左右されるでしょう。水や泥がステージを複雑にする可能性がありますからね。いいペースを維持し、タイムを縮めるために集中しなければなりません。ただ、あまりそのことばかりに執着したくはありません。この先にはさまざまなステージが待ち構えていて、中には複雑なナビゲーションが求められるものもあるでしょう。このようなステージでは、まだタイムに大きな違いが生まれる可能性が残されているので、注意して後半戦を走りきります」
リッキー・ブラベック(総合 11位)
「今回のダカールは今までとは違いましたが、私は砂丘の中で、肉体的にもとてもいい感じがあり、100%の力を出すことができました。チームはとてもうまくやっています。低い気温と雨の中を走った、長い昨日のステージのあとで、レストデイを楽しんでいます。泥の多い路面でマシンを操るのはたいへんで、さらにスペシャルステージのあとのリエゾンでも苦労しました。ただ技術的なことは要求されないし、ほとんどナビゲーションの必要もありませんでした。ゴールのコルドバに向けて、明日からの準備をすることにしましょう」
マイケル・メッジ(総合 24位)
「ケビンが総合首位で、ホアンもいい順位にいるのでとてもうれしいです。私は愚かなミスをしてしまいましたが、常に上位に位置することができている自分のスピードには満足しています。1時間のペナルティーに関しては、私はGPS機器の機能を失っていたと報告したものの、ペナルティーの取り消しにはなりませんでした。あのとき、私はほかのライダーに付いていきながら、ウエイポントから数メートルの所を通過していたのです。私にはもはや失うものはないので、続く1週間はさまざまなことを試し、すべてを出しきります。そして、チームが最終目標を達成するための手助けをします」
本田太一|Monster Energy Honda Team ラリー・プロジェクト・リーダー
「レストデイです。ライダーたちは後半戦に向けてマッサージを受けたり、リラックスして過ごすなど、ここまでの疲れを取り、後半戦へと備えています。サポートチームは後半戦に向け、そして明日とあさってに控えたマラソンステージを見据えて、いつにも増して内容が濃く、細かな部分までCRF450 RALLYのメンテナンスを行っています。ラパスのビバークも3500mほどの標高があるので、急いで作業をすると息が切れます。レストデイですが、スタッフは大忙しで作業を行っています。厳しいペルーのサンド・ステージでしたが、その中をマシンは大きな問題もなく走って来ました。後半もこのリズムを維持したいと思います。ここから数日間、ラリーは高地で過ごします。ライダー、スタッフとも体調管理を万全にして、ラリー後半戦に挑みます。Monster Energy Honda Teamへの応援をよろしくお願いいたします」