STAGE 05
サン・ファン・デ・マルコナ↓
アレキパ
1月10日、ダカールラリー5日目の行程はサン・ファン・デ・マルコナからアレキパへの774kmで行われました。今回のダカールでは新しい試みもされています。今日のステージ5の競技区間では、二輪ルートと四輪ルートを分け、スタート&フィニッシュを逆転させたようなスタイルを採ったことです。
二輪のステージはサン・ファン・デ・マルコナ周辺から内陸に入ったところから始まりました。スペシャルステージ(競技区間)は266km。そのルートはまず山岳地帯を抜け、再び太平洋岸に戻ります。その途上走りづらく、ライダーを悩ませるフェシフェシ(土がパウダー状に砕けたもの。非常に柔らかく埃が舞い、しかも乾いていても滑る)が姿をみせたのです。その後、ルートは南下し、再び内陸に。そこに現れたのがタナカに拡がる砂丘群でした。ライダー達は海岸線に近いフィニッシュにたどり着くまで、この日はアップダウンのあるルートを走行しました。
ステージ4は海岸線での一斉スタートスタイルでしたが、このステージ5では前日の成績を反映し、1台ずつ時間差をつけてスタートする通常のラリースタイルへと戻し、開始されました。Monster Energy Honda Teamのライダーは、ステージ4で7位だったイグナシオ・コルネホが5時58分に、ケビン・ベナバイズが6時1分、ホアン・バレダは6時4分、マイケル・メッジが6時13分、リッキー・ブラベックが6時31分にそれぞれスタートしていきました。
この日、総合13位だったバレダはトップとの差を縮めるべく序盤からプッシュを開始します。ステージ中に設けられたウエイポイント(GPSで規定されたルート上の通過点)の通過タイムでは、序盤から全体ベストを連続で叩き出す快走を続け、ライバルたちとタイム差を広げていきました。チェックポイント2を通過した時点で、2位との差は10分程まで広がり、そのスピードを終盤まで維持したのです。その結果、バレダはステージ2位のマティアス・ウォークナー(KTM)に10分26秒差、総合首位のアドリアン・ファン・ベヴェレン(ヤマハ)にこのステージだけで14分35秒のタイム差を付けたのです。
バレダは3時間19分42秒のトップタイムでステージ5を制し、今回のダカールで2度目のステージ優勝を飾りました(ダカールでは通算で21ステージ優勝)。総合順位も前日から9つ上げ、総合4位へ。首位とのタイム差も7分33秒差まで短縮しています。
ベナバイズはこのステージをトップのバレダから12分20秒差の3位でまとめ、総合での順位を3位から2位へ。タイム差も3分15秒から1分まで短縮することに成功しています。ブラベックはステージ9位、メッジはステージ12位、コルネホはステージ19位でそれぞれ終えています。総合ではブラベックがポジションを2つあげて10位、メッジはポジションを3つ上げて24位、コルネホは12位となっています。
二輪、四輪ともダカールのエキスパートや上位陣が苦労をしたペルーでのステージ。山場でもあった序盤を終えたMonster Energy Honda Teamのライダーたちは、太平洋沿岸の砂漠に別れを告げ、ボリビアのラパスへと向かいます。明日はステージ6。そこから始まる高地決戦に向けマシンもライダーも準備を整え、ダカールラリーは中盤戦へと入っていきます。
ダカールラリーはペルーの砂漠を離れ、山岳地へと上がる。ルートはより高速化し、ルート沿いに湖沼が見えるまでさほど時間は掛からない。スペシャルステージは国境を跨ぐため二部構成で、その後半パートはチチカカ湖のほとりからスタート。標高2500メートルとなるボリビアの高地は、エントラントに高地でのレースに適応することを求めるだろう。このステージが終わればラパスでのレストデイ。この休みは参加者たちにとって高度に順応する助けとなるはずだ。
ホアン・バレダ(ステージ5 1位/総合 4位)
「今日が最後の砂丘でのステージで、タイムを縮めるために戦わなければならないことはよく分かっていました。すべてを出し切って走り、とてもうまくいきました。何分かの差を取り戻したし、トップ10にもう一度入って、実質的に初日の状況と同じになりました。そのことはとても重要で、もっといいタイムを出せるチャンスです」
ケビン・ベナバイズ(ステージ5 3位/総合 2位)
「作戦は簡単で、攻める、そして戦う、これだけです。しかしこのシンプルな作戦はとてもうまくいきました。燃料系のわずかなトラブルがあり、多少タイムロスがありました。これをばん回する意味でもその後はハードに攻め続けましたが、行き過ぎてしまったことがあり怖い思いをし、それから少し冷静さを取り戻しました。3位でフィニッシュしましたが、難しいステージではあったにもかかわらずこの結果には満足しています。砂丘はとても柔らかく、フェシフェシも多くありました。2つ目のスペシャルステージは、私たちの前を走った四輪やトラックですでに路面が台無しにされていました」
リッキー・ブラベック(ステージ5 9位/総合 10位)
「タフな1日でした。再び砂丘が多いステージとなりましたが、最初のスペシャルステージは目印になる先行車の跡もあり私にはとても良いルートでした。しかし対照的に2つ目のスペシャルステージはひどい物でした。四輪が私たちの前にスタートしたことで路面が荒れており、砂丘にたどり着くのも難しかったですね。タイヤの選定ミスも影響しました。それでも私たちはここにいます。そして明日からの準備はできています」
マイケル・メッジ(ステージ5 12位/総合 24位)
「30キロ付近でウエイポイントを探すために少しタイムロスをして、ちょっとモチベーションがなくなりかけました。それでも、前を走るライダーを捕らえて、失った時間をばん回しました。しかし、砂丘で足首を捻挫してしまいました。あまりの痛さのためにスローダウンを余儀なくされました。スタンディングすることができず、そのため背中にも影響が出ました。同行している整体師のジョルディさんに、明日までにこの痛みを何とかしてくれるようお願いしました」
本田太一|Monster Energy Honda Team ラリー・プロジェクト・リーダー
「ステージ5が終わりました。このステージで、ホアン・バレダ選手が2位に大きく差をつけ、ステージ優勝をしてくれました。これにより総合でも4位に浮上し、トップとの差を7分33秒まで詰めてくれました。数日前にステージ3の後半でナビゲーションミスによって失った時間を、自ら取り戻す素晴らしい走りでした。
ケビン・ベナバイズ選手は、今日も安定した走りでステージ3位、総合では2位となり、総合1位に1分差に迫っています。ベナバイズ選手はコルドバにトップで戻るため、ラリー全体を見据えた冷静な展開を続けています。リッキー・ブラベック選手は昨日の遅れを取り戻し、総合でトップ10に戻ってきてくれました。また、マイケル・メッジ選手、イグナシオ・コルネホ選手はともにステージ中に転倒があったものの、ダメージは少なく順調にステージをこなしてくれました。
今私達がいるアレキパのビバークは標高が2500mあります。サン・ファン・デ・マルコナを早朝に出発したサポートチームも、8時間以上の移動をしながらここまでたどり着きました。明日に向けたマシンのメンテナンス作業をしていて、明日はペルーからボリビアへと入ります。我々サポートはこのビバークからいったん海岸線まで降り、そこから4000m級の高地を抜けてボリビアのラパスを目指します。主催者のアナウンスによるとその移動時間は12時間とのことです。このように、ダカールではサポートも長い移動が必要となります。疲れが出ないように体調をしっかり管理して、ライダー達を全力でサポートします」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | ホアン・バレダ | Honda | 03:19'42 | - | - |
2 | 2 | M.ウォークナー | KTM | 03:30'08 | +00:10'26 | - |
3 | 47 | ケビン・ベナバイズ | Honda | 03:32'02 | +00:12'20 | - |
4 | 19 | A.メオ | KTM | 03:32'42 | +00:13'00 | - |
5 | 4 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 03:34'17 | +00:14'35 | - |
6 | 23 | X.ド・スルトレ | ヤマハ | 03:34'25 | +00:14'43 | - |
9 | 20 | リッキー・ブラベック | Honda | 03:38'58 | +00:19'16 | - |
12 | 14 | マイケル・メッジ | Honda | 03:42'20 | +00:22'38 | - |
19 | 68 | イグナシオ・コルネホ | Honda | 03:49'34 | +00:29'52 | - |
22 | 27 | マーティン・デュプレシ | Honda | 03:51'49 | +00:32'07 | - |
32 | 64 | マーク・サミュエルズ | Honda | 04:05'45 | +00:46'03 | - |
49 | 71 | アルベルト・オンティヴェロス | Honda | 04:39'50 | +01:20'08 | - |
79 | 101 | フランシスコ・ゴメス・パラス | Honda | 05:48'40 | +02:28'58 | - |
109 | 124 | ジェリー・コルノ | Honda | 22:33'13 | +19:13'31 | 12:00'00 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 14:37'40 | - | - |
2 | 47 | ケビン・ベナバイズ | Honda | 14:38'40 | +00:01'00 | - |
3 | 2 | M.ウォークナー | KTM | 14:38'54 | +00:01'14 | - |
4 | 5 | ホアン・バレダ | Honda | 14:45'13 | +00:07'33 | - |
5 | 23 | X.ド・スルトレ | ヤマハ | 14:45'22 | +00:07'42 | - |
6 | 8 | T.プライス | KTM | 14:48'19 | +00:10'39 | - |
10 | 20 | リッキー・ブラベック | Honda | 15:03'28 | +00:25'48 | - |
12 | 68 | イグナシオ・コルネホ | Honda | 15:05'03 | +00:27'23 | - |
24 | 14 | マイケル・メッジ | Honda | 15:57'55 | +01:20'15 | 01:00'00 |
25 | 27 | マーティン・デュプレシ | Honda | 15:59'39 | +01:21'59 | 00:10'00 |
44 | 64 | マーク・サミュエルズ | Honda | 18:24'55 | +03:47'15 | 01:00'00 |
47 | 71 | アルベルト・オンティヴェロス | Honda | 18:41'46 | +04:04'06 | - |
87 | 101 | フランシスコ・ゴメス・パラス | Honda | 25:19'21 | +10:41'41 | 02:00'00 |
109 | 124 | ジェリー・コルノ | Honda | 48:10'40 | +33:33'00 | 14:00'00 |