サン・ミゲル・デ・トゥクマン~サン・サルバドル・デ・フフイ間で行われたラリー3日目は、リエゾン(移動区間)416km、スペシャルステージ(競技区間)364kmの総走行距離780kmと長い一日となりました。南米大陸に舞台を移して以来、通過するルートの特徴となっている高地が含まれ、この日の最高標高は4895m。気温変動も大きく、スタートして間もない標高が低い場所では、最高気温が36℃だったものの、4000mを超えたエリアでは一部で降雨があり、5℃まで低下するという四季の旅を思わせる中、参加者たちは走り続けました。
ホアン・バレダ
パウロ・ゴンサルヴェス
この日のスペシャルステージは、前半240km、後半124 kmと2部構成で設定されました。途中で通過する標高5000m近いエリアを含む148km区間では競技を行わず、リエゾンとして移動しました。前半パートの標高は2000m~2500m程度。自らが道を切り開くようなトリッキーなナビゲーションと難しい地形、砂の路面など、ライダーたちを翻ろうします。後半パートは標高3500mからフィニッシュに向けて継続的に上がり続け、ライダーたちの体力を奪いました。初日・2日目とは比較にならない難易度、ダカールラリーがいよいよその本性をむき出しにしました。
このスペシャルステージで圧倒的なスピードをみせたのがMonster Energy Honda Teamのホアン・バレダでした。9番手からこのステージを走り始めたバレダは、CRF450 RALLYを完ぺきに操ります。前半パートに5つ用意されたWP(ウエイポイント:GPSで設定されたルート上の通過点)のうち、最初のWP1を49分23秒で通過し、先にスタートしたライバルやチームメートよりも5分から18分も早いタイムを記録。終始このリードを保ち、このステージで今大会最初のステージウインを飾りました。これにより二輪部門総合でも1位となり、総合2位のサム・サンダーランド(KTM)に対し、10分20秒のリードを築きました。
ホアン・バレダ
ホアン・バレダ
スペシャルステージを3番手でスタートしたチームメートのパウロ・ゴンサルヴェスも出だしから快調なペースで走りました。先行した2台のライバルをWP1までに追い抜き、序盤の30km~180kmまですばらしいペースをみせ、このステージを5番手タイムでフィニッシュ。総合では3位となります。総合2位のサンダーランドとは、3分22秒差となっています。
今年でダカールラリー2年目となるアメリカンライダーのリッキー・ブラベック(Monster Energy Honda Team)は、安定したペースでステージ3を走り、4時間47分57秒でフィニッシュ。ステージで10位、総合では9位のポジションとなっています。
パウロ・ゴンサルヴェス
リッキー・ブラベック
昨日のステージ2からサポートに徹したマイケル・メッジは26番手からのスタートながら、快調なペースをつかみ、13位でステージ3をクリア。総合でも15位へと順位を上げています。
このステージ3で注目されたのが、Honda South America Rally Teamのライダー、フランコ・カイミでした。前半のチェックポイントを、バレダに次ぐ2番手で通過する快走をみせ、ステージで7位、総合でも12位となりました。
マイケル・メッジ
フランコ・カイミ
標高1000mほどの場所にあるフフイのビバークは、気温は高いものの湿度が今までよりも低く、多少過ごしやすい環境で、Monster Energy Honda Teamのメカニックたちは、高地での砂丘がルート上に現れる明日のステージに向け、CRF450 RALLYのメンテナンスに余念がありません。明日はボリビアの中でも、ラリーの初舞台となるトゥピサへと向かいます。
※レポートは暫定結果に基づくものです。
STAGE 4
サン・サルバドル・デ・フフイ~トゥピサ
リエゾン(移動区間):105km スペシャルステージ(競技区間):416km 総移動距離:521km
標高は3500m付近で、ダカールラリーはこれから6日間を過ごす。知る人は少ないが、この高度での砂丘越えはかなりの技量が要求される。またナビゲーターも、めまぐるしいロードブックの指示に休む暇はない。それがボリビアのステージだ。
ホアン・バレダ(ステージ3 優勝 / 総合1位)
「すばらしい一日でした。私たちの立てたプラン通り、完ぺきにうまくいってとてもうれしいです。タフな一日でした。一日中攻めなければならなかったし、ミスも許されない中で序盤はコースが難しくナビゲーションに100%集中しなければなりませんでした。40km地点のウエイポイントを探しているとリッキー(ブラベック)が現れて位置を教えてくれました。その後は非常に速いペースでうまく走れました」
パウロ・ゴンサルヴェス(ステージ3 5位 / 総合3位)
「難しいライディングとナビゲーションを強いられた長い一日でした。最初の40~50kmはとてもタフでした。ウエイポイントを探すのに少し時間をロスしましたが、なんの問題もなく私は最後までレースを続けることができました。重要なことは、明日のステージがうまくいくことです。なにしろ長く過酷なレースの、まだ4番目のステージなのですから」
リッキー・ブラベック(ステージ3 10位 / 総合9位)
「ステージ3はすべてがテクニカルでした。私はいくつかのミスを犯しました。砂ぼこりの中を少し速いスピードで走っていました。木を見つけたのですが、そのスピードではジャンプするしかありませんでした。幸いなことにフロントから突っ込むことなく、リアのフェンダーを吹き飛ばされただけでした。正確にはマシンになにが起こったのかは分からないのですが、私の後ろにいた(ステファン)ソヴィッツコ(KTM)がクラッシュしました。私は向きを変えて彼のところに行きました。私が着いたときには彼は起き上がっていましたので、自分のマシンを停めて修理をしました」
マイケル・メッジ(ステージ3 14位 / 総合19位)
「今日のナビゲーションは複雑でした。前半部分はさまざまなウエイポイントが用意されていて、とても難しかったですね。砂ぼこりがすごかったのですが、私は多くのライダーを追い抜きました。WRCのようなコースを通過したあと、標高が上がり頭痛に見舞われました。2番目のセクションでは嵐のため、あまりにもたくさんのライダーがいました。これがなければ今日はいい日でしたよ。それでもホアン(バレダ)がこのステージで優勝できて満足しています」
本田太一|Monster Energy Honda Team ラリー・プロジェクト・リーダー
「ステージ3はボリビア入国を前にした前半のアルゼンチン最終ラウンドでした。ナビゲーションが難しいと言われていた、このステージで4人のライダーは確実かつ、いいペースで走り抜いてくれました。このシーズンオフに、ライダーたちが行ったナビゲーショントレーニングも結果につながっていると思います。なかでもバレダ選手はステージ3で優勝、総合でもトップに立ったことで、これからにつながると思います。このステージでは標高5000m付近を通過しました。ゴンサルヴェス選手が高地で軽い頭痛を経験したそうですが、4人とも元気に走りきっています。総合でも上位につけていることで、今後もいいレースをすべく、チーム全体、気を引き締めて、明日からもラリーと戦っていきます。引き続きMonster Energy Honda Teamへの応援をよろしくお願いいたします」
※コメントは暫定結果に基づくものです。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | ホアン・バレダ | ![]() | 04:23'41 | - | 00:01'00 |
2 | 14 | S.サンダーランド | KTM | 04:36'10 | 00:12'29 | - |
3 | 31 | P.アレクサンドレ・レネ | ハスクバーナ | 04:39'11 | 00:15'30 | - |
4 | 3 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 04:39'43 | 00:16'02 | - |
5 | 17 | パウロ・ゴンサルヴェス | ![]() | 04:40'01 | 00:16'20 | - |
6 | 6 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 04:43'21 | 00:19'40 | - |
7 | 67 | フランコ・カイミ | ![]() | 04:43'50 | 00:20'09 | - |
10 | 9 | リッキー・ブラベック | ![]() | 04:47'57 | 00:24'16 | - |
14 | 15 | マイケル・メッジ | ![]() | 04:57'07 | 00:33'26 | 00:06'00 |
41 | 50 | ダニエル・ノシリア | ![]() | 05:38'29 | 01:14'48 | - |
44 | 66 | ウォルター・ノシリア | ![]() | 05:39'31 | 01:15'50 | - |
51 | 68 | シモーネ・アガッツィ | ![]() | 05:49'49 | 01:26'08 | - |
64 | 75 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 06:13'57 | 01:50'16 | - |
68 | 159 | リチャード・フリッター | ![]() | 06:20'36 | 01:56'55 | 00:00'30 |
123 | 158 | グレゴリオ・カセラーニ | ![]() | 09:14'57 | 04:51'16 | - |
総合順位
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | ホアン・バレダ | ![]() | 07:36'30 | - | 00:01'00 |
2 | 14 | S.サンダーランド | KTM | 07:46'50 | 00:10'20 | - |
3 | 17 | パウロ・ゴンサルヴェス | ![]() | 07:50'12 | 00:13'42 | - |
4 | 3 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 07:51'26 | 00:14'56 | - |
5 | 1 | T.プライス | KTM | 07:52'49 | 00:16'19 | - |
6 | 6 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 07:58'30 | 00:22'00 | - |
9 | 9 | リッキー・ブラベック | ![]() | 07:59'43 | 00:23'13 | - |
12 | 67 | フランコ・カイミ | ![]() | 08:05'00 | 00:28'30 | 00:05'00 |
19 | 15 | マイケル・メッジ | ![]() | 08:20'52 | 00:44'22 | 00:06'30 |
54 | 68 | シモーネ・アガッツィ | ![]() | 10:03'06 | 02:26'36 | - |
56 | 75 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 10:04'33 | 02:28'03 | 00:01'30 |
64 | 159 | リチャード・フリッター | ![]() | 10:21'43 | 02:45'13 | 00:01'30 |
68 | 50 | ダニエル・ノシリア | ![]() | 10:38'21 | 03:01'51 | - |
76 | 66 | ウォルター・ノシリア | ![]() | 10:56'50 | 03:20'20 | - |
117 | 158 | グレゴリオ・カセラーニ | ![]() | 13:12'31 | 05:36'01 | 00:01'00 |
※ リザルトは暫定結果に基づくものです
Dakar Rally 2017 ステージ3
J SPORTS×Honda Dakar Rally 2017 Day03