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2017.01.01  Dakar Rally 2017 プロローグ パラグアイアスンシオン

2017年ダカールラリーのスタートを待つ
Monster Energy Honda Teamをリポート

2017年、今年も新しい挑戦が始まりました。世界一過酷なラリーと言われるダカールがスタートします。今年で39回目を迎えた伝統のラリーは、パラグアイの首都アスンシオンで、元旦にセレモニアルスタートを切ります。翌2日からは本格的に長距離移動と競技を開始し、ボリビアでのステージを経て1月14日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスをゴールとします。13日間、用意された12のステージでの合計タイムで勝者が決まります。17年のラリーが移動する距離は9000kmに迫り、そのうち競技区間となるスペシャルステージの合計は4000kmを越えます。

南米大陸へとダカールラリーが移って以来、ハイライトとの一つになっているのが高地での戦いです。17年のラリーでは、標高3000m以上の高地にルートが設定された日程が6日間にも及びます。その中には、真夏の太陽が照りつける厳しい砂丘のステージも含まれています。ライダーはスキルばかりではなく、フィジカル面でも試されるのです。1月8日、ラリーのレストデイ(休息日)であるボリビアのラパスでも、選手たちは標高3500mの高地で過ごすことになります。こうした毎日のルート設定が長いラリーの行方を終盤まで分かりにくくしている点も、このラリーが“世界一過酷なラリー”と呼ばれる所以となります。

13年に24年ぶりの復帰を果たし、今年もファクトリーチーム体制でこのラリーに挑むMonster Energy Honda Teamは、ホアン・バレダ(スペイン)、パウロ・ゴンサルヴェス(ポルトガル)、マイケル・メッジ(フランス)、リッキー・ブラベック(アメリカ)の4名のライダーで参戦します。当初Monster Energy Honda Teamからエントリーを予定していたケビン・ベナバイズ(アルゼンチン、昨年のダカールラリーに、Honda South America Rally Teamからエントリーし4位入賞を果たした)は、直前の練習中に負ったケガにより今回の出場を断念しています。

2017年のラリーに向け、Monster Energy Honda Teamはチーム体制を強化し、実戦での経験や16年中に参戦したラリー後に行うテストなどで、実戦に近い環境の中、ラリーマシンであるCRF450 RALLYの進化と熟成を図ってきました。地形、気候ばかりか、天候によりさまざまな状況が生み出されるダカールラリー。そんな状況の中、チーム一丸となってゴールを目指し、スタートを切ります。

アスンシオンで選手たちは明日からのスタートに備え、ジムで汗を流し、コンディションを整えるなど最終調整を行い、CRF450 RALLYも徹底した最終整備が施されました。Monster Energy Honda Teamは、12時間後に迫ったラリーのスタートに向け、秒読みへと入りました。

1月2日に行われるステージ1のスペシャルステージ(競技区間)は39km。現地時間8時にスタートする短いこのステージの結果で、翌3日から始まる、本格的な戦いのスタート順が決まります。

Monster Energy Honda Teamは謹んで新年のお慶びを申し上げます。

本田太一|Monster Energy Honda Team ラリー・プロジェクト・リーダー
「2017年のダカールラリーに向けた周到な準備を終え、ここ南米パラグアイへとMonster Energy Honda Teamはやって来ました。ここまでの長い準備を終え、ライダー、そしてCRF450 RALLYは参加に必要な書類審査や車検にパスし、約9000kmの厳しいラリーへと走り出す準備も整いました。残念ながら、ケビン・ベナバイズ選手がラリー直前のケガのために欠場することになりましたが、4名のライダーで戦う準備はできています。我々へのサポートに心より感謝いたします」

マルティーノ・ビアンキ|Monster Energy Honda Team ゼネラルマネージャー
「スタートまで、あと1日となりました。このレースがいかに厳しくタフなものかは理解していますし、チームは十分に準備を重ねてきました。ケビン選手の欠場は残念ですが、我々はそれを乗り越えるでしょう。前半、雨・熱波など気象条件によって、ラリーは複雑で難しくなるでしょう。スタートはもう目の前です。ついにこのすばらしい世界一のラリーが始まろうとしています。Monster Energy Honda Teamは万全の準備ができています」

ロベルト・ボアッソ|チーム監督
「私はMonster Energy Honda Teamの一員として、明日に迫った2017年のダカールラリーのスタートに、とても興奮しています。我々は昨年のラリー後、最高のチーム作りと最高のマシン作りのために努力をしてきました。ホアン選手、パウロ選手、リッキー選手、マイケル選手、そしてCRF450 RALLYも挑戦への準備を整えました。残念ながらケビン・ベナバイズ選手は欠場となりましたが、早期のケガの回復を祈ります。皆さん、2017年、明けましておめでとうございます!」

ホアン・バレダ
「チームはだれもがワクワクしてダカールが始まるのを楽しみにしています。そして今年、この日のために努力してきたことをしっかりと示したいと考えています。過去に経験した問題の記憶が遠のくようなすばらしいレースができるでしょう。そして序盤から上位に位置するように集中します。長いレースではなにが起こるか分かりません。長いラリーの日々を考え、初日からは攻めすぎないようにします。ただチャンスがあれば先行することもあります。ラリー2週目からの後半戦は厳しいものになりますが、熱くならず冷静に判断し戦いに臨みます」

パウロ・ゴンサルヴェス
「ダカール2017を戦うためのできる限りの準備ができたと、私たちは確信しています。もうすぐ今年最大のチャレンジが始まります。Hondaのチームにとってすべてがうまくいくことを、私はなによりも望んでいます。願わくば、私たちが数年前から追い続けてきたことを祝いたいですね。問題が起こらない限り、私たちはそれを達成するための正しい道を進むことができるでしょう。私たちのように標高の低いところで暮らすライダーたちは、今回のような高度でのレースを戦うための訓練をしてきました。今年は標高3000mを超えるステージが前回の2倍もありますから、そのための準備をしました。普通の標高と同じようにライディングできず、私が苦しむのではないかと思っているかもしれませんが、HRCのスタッフはうまくいくと確信しています。戦う準備はできています」

リッキー・ブラベック
「パラグアイでダカールの準備をしました。今年は2度目のダカールです。経験値も上がっています。私は、これまでカリフォルニア、アフリカ、そしてチリで長い時間マシンに乗り、トレーニングをしてきました。今年、私は自信を持っています。明日は最初の一日です。そして今日は休息と準備のための最終日なのです。準備は終わったと思っています。ダカールには、困難な日や易しい日があり、長い日や短い日があります。標高に関して言えば、約4000mでレースをするのは危険がともないます。酸素の少ない中で、私たちは攻めようとしますが、呼吸が苦しく、低酸素で判断力が低下するかもしれません。とてもタフで、カリフォルニアで経験してきたデザートレースとはまるで違います。昨年、私はラリーマシンにはほとんど乗った経験がありませんでした。今回は、カリフォルニアで本田太一さんやジョニー・キャンベルと一緒に、多くの時間をテストに費やしました。そしてダカールで入賞経験を持つジミー・ルイスとナビゲーションのトレーニングもしました。またHondaの人たちとはアフリカやチリでテストをしました。昨年より多くの経験を積みました。私は今、それらを生かせることにとてもエキサイトしています」

マイケル・メッジ
「今年のダカールは今までとは違い、体力が重要な要素になると思います。ボリビアでの標高の高さが重要な影響を与えるのでしょう。高地で過ごすレストデイもとても厳しいかもしれません。私たちは多くの困難に直面するでしょうが、これから始まる長いスペシャルステージを戦う準備をしなくてはなりません。とにかく今までで最も厳しいダカールになるでしょう。しかし、私たちはこのチャレンジのために準備をしてきたのです。マシンは本当によく仕上がっています。できる限りトライし、そして楽しみます」