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ダカールとは

ダカールラリーは、砂漠や山岳地帯などの悪路を走破する「ラリーレイド」といわれる競技大会の一つです。全く舗装されていない地を舞台に、約2週間で8000km以上を走破しなければならず、世界一の過酷さで知られています。
二輪(モト)、四輪(オート)、トラック(カミオン)の3つの部門でそれぞれ競われます。

スピードのみを競うレースではない

マシンには、スピードはもちろんのこと、砂漠や泥地などさまざまな路面状況への対応力と、長時間にわたって走り続けられる耐久力が必要とされます。そして、ライダーは、効率よく目的地にたどりつくためのナビゲーション能力、過酷な環境を走りぬく体力に加え、非常に高度なライディングテクニックが求められます。

また、ダカールラリーは、チームでの戦いでもあります。想定外のマシントラブルにも対処できるメカニック(マシンの整備担当者)、チームを正しい方向に導く監督、最適なコースを考える専門家など、多くのスタッフがライダーとともに戦います。

マシンの性能、ライダーの力量、そしてチーム力と、すべてが求められる中で競う姿が見られるのが、ダカールラリーの魅力です。

その歴史は30年以上

第1回大会が開催されたのは1979年。フランスのパリを出発し、アフリカ・セネガルの首都ダカールまでの約1万kmに及ぶコースで行われる「パリ・ダカール・ラリー」として始まりました。大会創始者であるフランス人のティエリー・サビーヌは、スタッフ集め、スポンサー探し、ルール設定、計測シス テム、さらにはラリーの進行に合わせて移動しなければならないスタッフの輸送手段の手配や、通過する国でのレース開催許可取得などに奔走し、この壮大なラリーのすべてをゼロから作り上げました。

第2回大会からは、大手自動車メーカーや二輪メーカーがワークス参戦直営チームによる参戦を開始し、1981年の第3回大会以降は、FIA(国際自動車連盟)とFIM(国際モーターサイクリズム連盟)の公認を受け、公式レースとして開催されるようになりました。以降、中止となった2008年を除いて毎年開催され、2014年は第36回大会となります。

世界一過酷なモータースポーツ

例年、全部門合わせて500台以上が参戦する中、完走車は参加台数の半分ほどで、少ないときには約3分の1しかいないという厳しいレースのため、ダカールラリーは「世界一過酷なモータースポーツ」と言われています。

砂漠地帯では連日40℃以上の気温となる中を走り、アンデス山脈を越えるステージでは雪がちらつくこともあるなど、厳しい環境の中を進まなければなりません。また、広大な砂漠や急流の川といった自然環境の中では、大きな穴が開いていたり、いきなり急傾斜が現れたりと、予想もつかない事態が頻発します。ライダーたちは、コースを読み間違えれば転倒のみならず、遭難の可能性まであるという、命がけのレースに臨みます。

Hondaのチャレンジ

第3回大会からモト部門に参戦を開始したHondaは、1989年までの9年間で、5回の優勝を果たしています。

初参戦となった第3回大会では、第1回・第2回を連覇したシリル・ヌヴーら4台が出場し、最高6位の成績を残しました。そして翌年、第4回大会でヌヴーが雪辱を果たし、Hondaとしての初勝利を挙げました。

その後、第5回から第7回までは、ほかのメーカーのワークス参戦も増えて競争が激しくなり、2位、3位、5位と優勝から遠ざかりました。しかし、1986年にヌヴーの優勝を筆頭にHonda勢が1-2-3フィニッシュを飾ると、そこから1989年まで4連覇を達成しました。

開催年 参戦台数 最高順位
1981年 4台 6位
1982年 4台 優勝
1983年 4台 2位
1984年 5台 3位
1985年 2台 5位
1986年 6台 優勝
1987年 4台 優勝
1988年 7台 優勝
1989年 4台 優勝

24年ぶりのワークス参戦

2012年7月、Hondaは24年ぶりとなるダカールラリーへのワークス参戦を発表。そのわずか半年後のダカールラリー2013年にライダー3名体制の「TEAM HRC」として参戦しました。マシンは市販車「CRF450X」をベースに「CRF450 RALLY」を開発し、プロジェクト発足時の目標だった全車完走を達成。さらに、総合順位でエルダー・ロドリゲス選手(ポルトガル)が7位、ハビエル・ピゾリト選手(アルゼンチン)が8位と、2選手がトップ10入りを果たしました。

翌年のダカールラリー2014には、ロドリゲス選手、ピゾリト選手のほか、ホアン・バレダ選手(スペイン)、パウロ・ゴンサルヴェス選手(ポルトガル)らが加入し、ライダー5名体制となったTEAM HRC。全13ステージで6勝を挙げるなど躍進を遂げ、安定した走りを披露したロドリゲス選手が総合5位、大会最多の5ステージで優勝を飾ったバレダ選手が総合7位と、前年を上回る成績を記録しました。

  • 選手には、たった一人で集中して走り続けられる強い精神力も要求される選手には、たった一人で集中して走り続けられる強い精神力も要求される
  • 当初はバリからダカールを目指すルートだったが、現在は南米大陸が戦いの場となっている当初はバリからダカールを目指すルートだったが、現在は南米大陸が戦いの場となっている
  • 2013年は、チリからアルゼンチンを経てペルーへ。8420kmの長い道のりを走破した2013年は、ペルーからアルゼンチンを経てチリへ。8420kmの長い道のりを走破した
  • 5度のチャンピオンに輝いたヌヴーは、ダカールラリーを代表する選手の一人5度のチャンピオンに輝いたヌヴーは、ダカールラリーを代表する伝説の選手の一人
  • ダカールラリーのために開発されたNXR750は、1986年のデビューから4年連続優勝を達成ダカールラリーのために開発されたNXR750は、1986年のデビューから4年連続優勝を達成
  • ダカールラリー2013では、出場178台中、完走97台という過酷な状況の中、TEAM HRCは3台とも完走ダカールラリー2013では、出場178台中、完走97台という過酷な状況の中、TEAM HRCは3台とも完走

悲願の総合優勝へ

Hondaにとって、復帰から3年目となるダカールラリー2015も、ライダー5名体制で参戦。前年に引き続きロドリゲス選手、バレダ選手、ゴンサルヴェス選手のほか、前回大会で女性ライダーの過去最高順位となるステージ7位を記録し、総合16位と活躍したライア・サンツ選手(スペイン)と、チリ人ライダーのジェレミアス・イスラエル選手(チリ)が加わります。ダカールに先立って参戦中の2014年クロスカントリーラリー世界選手権では、アブダビとカタールで総合優勝、イタリアとブラジルで総合2位と好調で、ダカールでの総合優勝に向けて全力で準備に取り組んでいます。

MAP

2015 スケジュール

  START FINISH
1月4日 アルゼンチン ブエノスアイレス アルゼンチン ビージャ・カルロス・パス
1月5日 アルゼンチン ビージャ・カルロス・パス アルゼンチン サン・フアン
1月6日 アルゼンチン サン・フアン アルゼンチン チレシト
1月7日 アルゼンチン チレシト チリ コピアポ
1月8日 チリ コピアポ チリ アントファガスタ
1月9日 チリ アントファガスタ チリ イキケ
1月10日 休息日
1月11日 チリ イキケ ボリビア ウユニ
1月12日 ボリビア ウユニ チリ イキケ
1月13日 チリ イキケ チリ カラマ
1月14日 チリ カラマ アルゼンチン サルタ
1月15日 アルゼンチン サルタ アルゼンチン テルマス・デ・リオ・オンド
1月16日 アルゼンチン テルマス・デ・リオ・オンド アルゼンチン ロサリオ
1月17日 アルゼンチン ロサリオ アルゼンチン ブエノスアイレス