2013年1月10日(木)ダカールラリー 第6ステージ
ロドリゲス選手が総合順位を9位に上げ、トップ10入り
現地時間1月10日、ダカールラリーの第6ステージが、チリのアタカマ砂漠を舞台に行われました。アタカマ砂漠は、アンデス山脈の西側と太平洋の海岸線に挟まれ、南北に細長く広がる平原の一部で、その距離はおよそ1000kmにも及びます。また、美しい砂丘や塩湖など壮大な景観とともに、世界で最も乾燥した場所の一つであり、高温の場所として知られています。
ステージ:移動区間(リエゾン)313km、競技区間(スペシャルステージ)454km
日を追うごとに過酷さを増すダカールラリー。この日、アリカ~カラマの移動距離は767km。リエゾン(移動区間)313km、スペシャルステージ(競技区間)454kmと長いものでした。アタカマ砂漠へと参加者を導いたスペシャルステージの特徴は、途中に100kmのリエゾンを挟む、前後半で分かれた、2部構成となっていること。前半は海抜0mエリアに広がる巨大な砂丘地帯からスタートし、後半では最高3200mの高さまで上がるという、標高差が大きいのも特徴の一つです。この日のビバーク地、鉱山の町カラマは標高2200mの高地にあります。
それだけに、ライダーの体力やマシンに対するストレスは少なくありません。そんな状況の中で、ライダーはロードブックから情報を得て、ナビゲーションに集中して走り続けたのです。
今大会で最初のチリでのステージを制したのは、“チャレコ”の愛称で知られる地元ライダーのフランシスコ・ロペス選手(KTM)。以下、2位に2分34秒差でルベン・ファリア選手(KTM)、3位に3分48秒差でシリル・デプレ選手(KTM)が続きました。
TEAM HRCのエルダー・ロドリゲス選手は、このステージをロペス選手と6分58秒差の7位でフィニッシュ。ハビエル・ピゾリト選手もいいペースで走りきり、11分37秒差のステージ16位でした。また、第4ステージでの転倒で痛めたろっ骨をいたわりながら走ったジョニー・キャンベル選手は、第6ステージを24位で終えています。
この結果、ロドリゲス選手は総合順位を前日から3つアップし9位。いよいよトップ10入りとなりました。ピゾリト選手は総合で13位。第3ステージでのメカニカルトラブルで大きく遅れたキャンベル選手も、連日の快走で77位まで順位を戻しています。

STAGE 6 選手・スタッフへのインタビューなど
(2分58秒)

(4分15秒) ※動画内の順位は暫定版です。詳細はレースレポートをご確認ください。
エルダー・ロドリゲス選手(スペシャルステージ6 / 7位、総合9位)「今日は長いステージでした。ルートは長い上りが続くもので、今年のダカールラリーで初めて、これほどの標高差を経験しました。明日は3400~4000mの標高になるので、もっとタフになるでしょう。4時間ほど眠って十分な休息を取り、明日の“マラソンステージ”(※1)に備えます」
ハビエル・ピゾリト選手(スペシャルステージ6 / 16位、総合13位)「ダカールラリーはまだまだ先が長いです。ですので、ミスをしないことが重要です。今日のステージも、あまりリスクを冒さないよう集中してライディングしました。そんな中でも、砂丘での走りは楽しめました。明日の長い“マラソンステージ”への準備はできています」
ジョニー・キャンベル選手(スペシャルステージ6 / 24位、総合77位)「前半ステージの序盤に現れた、大きな砂丘は楽しめました。後半ステージでは、標高が上がるにつれて、呼吸をすることがつらくなってきました。それと同様に、マシンも標高が上がっていることを感じさせる挙動をみせました。明日のルートでは、標高約3900mまで上がります。今夜は十分な休息を取ることが重要ですね」
※1
第7ステージのビバーク地では、チームからのサポートが受けられず、第8ステージ後のキャンプ地まで、ライダーたちは1泊2日の長いステージを走ることになります。参加者同士のサポートは認められているので、トラブルが起きた場合は助け合いながら走ることになります。
かつて、1000kmを軽く超える過酷なステージで行われていたダカールラリーですが、安全性の観点から、そういったステージは行われなくなりました。その代わりに登場したのが、“マラソンステージ”です。これは、「膨大な物量戦略によって、巨大ワークスチームしか勝利することができなくなった」と言われるようになったダカールラリーに、アマチュアイズムを取り戻す意味で、取り入れられています。そして、今なお冒険の旅をベースとする、ダカールラリーのスピリットの表れでもあるのです。
参加者たちは、ビバークで休息を取れますが、大がかりなサポートを受けることができないため、チームは第6ステージを終了した段階で、2ステージ分のメンテナンスを施します。マラソンステージ中、ライダーたちはタイヤの摩耗やホイールリムへのダメージ、転倒によるダメージを負わないよう、慎重に走ることになります。
それだけに、このステージがライバルとのタイム差を縮めるチャンスとみて、ペースアップするライダーもいます。そのためマラソンステージでは、ドラマが起こるケースが多いのです。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 7 | F.ロペス | KTM | 03:36:21 |
2 | 11 | R.ファリア | KTM | +00:02:34 |
3 | 1 | C.デプレ | KTM | +00:03:48 |
4 | 29 | K.キャッセリ | KTM | +00:04:48 |
5 | 92 | J.エスケール | Honda | +00:06:13 |
7 | 3 | エルダー・ロドリゲス | Honda | +00:06:58 |
16 | 30 | ハビエル・ピゾリト | Honda | +00:11:37 |
24 | 33 | ジョニー・キャンベル | Honda | +00:23:41 |
総合順位
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 9 | O.ペイン | ヤマハ | 15:35:23 |
2 | 1 | C.デプレ | KTM | +00:02:22 |
3 | 10 | D.カストー | ヤマハ | +00:04:48 |
4 | 7 | F.ロペス | KTM | +00:06:06 |
5 | 11 | R.ファリア | KTM | +00:08:35 |
9 | 3 | エルダー・ロドリゲス | Honda | +00:25:23 |
13 | 30 | ハビエル・ピゾリト | Honda | +00:29:49 |
77 | 33 | ジョニー・キャンベル | Honda | +05:23:18 |