2012年10月17日(水)モロッコラリー 第3ステージ
ロドリゲス選手が、波乱のステージで総合首位に返り咲く

大会3日目、TEAM HRCのエルダー・ロドリゲス選手は、気温が42℃、距離291kmという過酷なステージを終え、総合首位に返り咲きました。この日、3番手でスタートをしたロドリゲス選手は、マルク・コマ選手(KTM)を捕らえるべく力走を続けていました。ロドリゲス選手が単独で走行を続けていると、キャメルグラスが自生するコース上で、大破したマシンの脇に横たわるコマ選手を見つけ、マシンを止めて、後続のチャレコ・ロペス選手(KTM)とダヴィド・キャストゥ選手(ヤマハ)が通るまでの間、転倒して肩を負傷したコマ選手の介抱にあたりました。その後、レースに復帰したロドリゲス選手は、猛追でトップを奪還し、ステージ終盤までリードを守りましたが、最終的にスペシャルステージ(SS)3を2位で終えました。今日のステージを制したのはパウロ・ゴンサルヴェス選手(ハスクバーナ)で、そのタイム差はわずか3秒でした。
10位までのタイム差が10分以内という接戦の中、TEAM HRCのサム・サンダーランド選手にとっても、申し分のない一日となりました。サンダーランド選手は、スタートからフィニッシュまでハイペースを維持し、ロドリゲス選手に遅れることわずか6分で、6位でフィニッシュしました。フェリペ・ザノル選手は、サンダーランド選手から3分55秒差の10位でした。ハビエル・ピゾリト選手は、ダカールラリーに向けてロードブック重視の走りをみせ、16位でフィニッシュしました。日を追うごとにレース感覚を取り戻しつつあるジョニー・キャンベル選手は、21位でこの日を終えました。
ステージ:移動区間(リエゾン)17km、競技区間(スペシャルステージ)291km、移動区間(リエゾン)49km
3日目を迎えたモロッコラリーは、エルフードをあとにして、「パリ・ダカールラリー」のコースにも含まれていたザゴラを目指して南西に向かいました。SS3は長距離の超高速ステージ。難しいナビゲーションを強いられる場面が多いことに加え、ドライレイクや、「フェチフェチ」と呼ばれる粉砂地帯、キャメルグラスの自生地といった、厳しいコンディションを含むセクションが、ライダーたちを待ち構えました。
エルダー・ロドリゲス選手(総合1位、スペシャルステージ3 / 2位)「今日はマルク・コマ選手に続く3番手でスタートを切りました。彼を捕らえようと追い上げを続けていたところ、しばらくして砂煙が上がり、彼の姿を見失いました。砂煙が晴れると、大破したマシンとコマ選手の姿が目に入ったため、そこでマシンを止めて介抱しました。チェックポイントに連絡してメディカルサポートを頼んだあと、ジャケットを脱ぐのを手伝い、少しでも日差しを避けられるように帽子を渡しました。手を貸さずに通り過ぎたライダーも多くいましたが、私にとって、助けるのは当然のことですし、これもレースの一部です。砂漠でだれかが転倒し、ケガがひどそうであれば、私ならマシンを止めて介抱することを選びます。その後、通りがかった2人のライダーにあとのことを託してレースに復帰し、激しく攻めました。総合順位でシリル・デプレ選手(KTM)とのタイム差を縮めたかったからです。現時点では総合首位ですので、CRF450 RALLYで初めての3ステージを終えた段階としては、非常に順調だと思います」
サム・サンダーランド選手(総合10位、スペシャルステージ3 / 6位)「ワダチが全くない場所が多く、ナビゲーションに苦労したため、非常に疲れるステージでしたが、特にミスなく走り終えることができてホッとしています。今日は本当に暑く、埃っぽい気候で、まるでドバイにいるようでした。マシンに問題はありません。サスペンションは、セッティングを見直したら、動きがよくなりました」
フェリペ・ザノル選手(総合8位、スペシャルステージ3 / 10位)「123km地点のチェックポイントで確認を受けることを忘れるというミスを犯し、そのために4~5分のロスをしてしまいました。もう少し順位を上げることもできましたが、今回のラリーでは、マシンをテストして、なるべく多くの情報を収集することと、ナビゲーションが私の重要な仕事ですので、自分の役割に徹しました」
ハビエル・ピゾリト選手(総合13位、スペシャルステージ3 / 16位)「路面が非常に硬い高速ステージでした。また、ナビゲーションの難しいポイントが多くありました。今回のラリーでの最優先事項は、ナビゲーションの精度を高めることです。そのためには、平均スピードが多少遅くなることはやむを得ません。今回はダカールラリーの前哨戦ということもあり、今日のステージの結果には満足しています」
ジョニー・キャンベル選手(総合21位、スペシャルステージ3 / 21位)「これほどの超高速ステージは苦手です。もう少しテクニックを駆使できるステージの方が好きです。硬くてフラットなドライレイクセクションでは、岩が多いにもかかわらず、マシンがトップスピードに達する場面が何度もありました。160km地点でペースの上がらないライダーの後ろについてしまい、土煙を浴びながらの走行になったのは、失敗でした。メディカルサポートを受けているコマ選手には私も気付きました。彼が転倒した場所は、高速セクションというわけではありませんでしたが、キャメルグラスが自生している危険な箇所が多かったです」
山崎勝実| TEAM HRCプロジェクトリーダー「今日もTEAM HRCにとっては、非常にいい一日でした。さまざまな路面状態でのマシンの挙動について、非常に重要なデータが得られました。ダカールラリーへの準備を進める上で非常に役立つはずです。TEAM HRCは世界11カ国の30名からなる国際的チームですが、ライダーだけでなく、エンジニア、メカニック、一般スタッフも含め、チーム全体がいい仕事をしています」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
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1 | 3 | エルダー・ロドリゲス | Honda | 9:29:42 |
2 | 2 | C.デプレ | KTM | +0:11:01 |
3 | 8 | J.バレダ | ハスクバーナ | +0:16:21 |
4 | 5 | P.ゴンサルヴェス | ハスクバーナ | +0:17:35 |
5 | 7 | C.ロペス | KTM | +0:26:35 |
8 | 11 | フェリペ・ザノル | Honda | +0:42:30 |
10 | 17 | サム・サンダーランド | Honda | +0:49:50 |
13 | 25 | ハビエル・ピゾリト | Honda | +1:14:41 |
21 | 22 | ジョニー・キャンベル | Honda | +3:00:48 |