2016年FIM CEVレプソルインターナショナル選手権の最終戦が、スペイン・バレンシアのリカルド・トルモ・サーキット(バレンシア・サーキット)で開催されました。このサーキットは、全長は4.005km、左コーナー9、右コーナー5の中速コーナーがレイアウトされ、パッシングシーンのほとんどを観客席から見ることができる人気の高いコースです。
Moto2クラスにはアジアロードレース選手権に参戦している羽田太河(M.García)がスポット参戦。山田誓己(H43 Team Nobby Talasur)はトレーニング中に左鎖骨を骨折し欠場となりました。このクラスはすでにタイトルが決定しているため、アラン・ティーチャー(NTS T Pro project)と長島哲太(Ajo Motorsport A.)のランキング2位争いに注目が集まりました。今大会のMoto2クラスは1レース開催で行われました。
長島哲太(#45)
長島哲太
予戦、ポールポジション(PP)はタイトルを決めているスティーブン・オデンダル(AGR TEAM)、2番手に長島、3番手にティーチャー、羽田は16番手となりました。決勝で飛び出したのはPPのオデンダル、長島は3番手で1コーナーをクリアし、激しいトップ争いに加わります。5ラップ目、2番手を走行していたディマス・プラタマ(ASTRA Honda Racing Team)はトップに躍り出ますが、6ラップ目には、ここまでのファステストラップを叩き出しながら追い上げた長島がディマスを抜き去りトップに立ちます。それをこの周で2番手までポジションを上げていたリカルド・カルダス(Promoto Sport)が執ように追いかけますが、長島はポジションを守り続けます。カルダス、オデンダル、エリック・グラナド(Promoracing)、プラタマらが追いかけ、トップ争いは5台へと絞られました。
長島哲太(中央)
9ラップ目、トップ争いをしていたプラタマが転倒でリタイア。また2番手を走行していたオデンダルがコースアウトし、トップを走る長島はさらにリードを広げます。2番手争いはグラナド、カルダス、そして、ファステストラップを記録しながら追い上げたティーチャーが加わり3台でバトルを展開します。そこからグラナドが抜け出て単独で2番手を走行、3番手争いはカルダスとティーチャーが最終ラップまで激しく争いました。長島はトップに立ってからは一度もポジションを明け渡すことなく堂々と初優勝のチェッカーを受けました。2位にはグラナド、3位にはカルダス。スポット参戦の羽田は12位でレースを終えました。長島はこの優勝によって逆転でランキング2位となりました。3位にアランが入り、ディマスは7位、山田は18位でシーズンを終えました。
Moto3クラスは2レース開催。ランキングトップのロレンソ・デッラ・ポルタ(ハスクバーナ)と、2位のマルコス・ラミレス(KTM)のタイトル決定戦となりました。Honda勢は、鳥羽海渡(Asia Talent T.)がランキング3位、真崎一輝(Asia Talent T.)はランキング7位からジャンプアップを目指します。ランキング5位の佐々木歩夢(Asia Talent T.)は大会前に体調不良となり参戦を断念。しかし、アジア・ドリーム・カップでチャンピオンを決めている中村大輝と、全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでランキング2位となった栗原佳祐がHonda T.Asiaからスポット参戦し、日本人の活躍が期待される大会となりました。
真崎一輝
真崎一輝
予選PPを獲得したのはラミレス、鳥羽は5番手、真崎は10番手、栗原は23番手、中村は34番手となりました。レース1は波乱のスタートとなり、ランキングトップのポルタのマシンがグリッド上で火を噴き、ピットに移動するという混乱が起き、レースはディレイ。1周減算となってスタートが切られました。ホールショットを奪ったのはトニー・アルボリーノ(SIC 58 SQUADRA CORSE)。序盤から激しいポジション争いが繰り広げられ、転倒者も続出する荒れたレース展開となります。首位を走っていたアルボリーノも転倒。これでラミレスがトップに立ち、カレル・ハニカ(KTM)、ラウル・フェルナンデス(ハスクバーナ)が2番手争いを繰り広げました。
鳥羽海渡(#32)
4番手争いも5、6台の激しいバトルが展開され、その争いを鳥羽が抑えながら、前の集団を追いかけます。11ラップ目、セカンド集団から前に出ようとしていた真崎はクラッシュに巻き込まれて痛恨のリタイア。鳥羽も激しい争いの最中に転倒してしまいます。優勝したのはラミレス、2位にフェルナンデス、3位にハニカが入りました。栗原は23位でチェッカーを受け、中村はオープニングラップの波乱に巻き込まれ、一周もすることができませんでした。42台がスタートし、完走したのは27台という波乱の展開となりました。
レース2はジェレミー・アルコバ(Estrella Galicia 0,0)がホールショットを奪いますが、すぐにポルタがポジションを奪ってトップに立ち、ラミレス、フェルナンデスらと激しいトップ争いを繰り広げます。オープニングラップで鳥羽は5番手、真崎は11番手となり、ここからポジションアップを目指します。トップ争いは大きな集団となり、その争いの中で、鳥羽も真崎も周回を重ねました。鳥羽は、集団から抜け出そうとしますが、10ラップ目に転倒しリタイアとなりました。
鳥羽海渡
レース2の優勝はフェルナンデス、2位はポルタとなり僅差でタイトルを決めました。3位にはデニス・フォッジャ(KTM)。真崎は12位、栗原は20位、中村は24位でチェッカーを受けました。鳥羽はノーポイントが響きランキングは4位に後退、佐々木も6位となり、真崎は11位でシーズンを終えました。
真崎一輝(Moto3 リタイア/12位)
「初戦で走行したサーキットだったので気持ち的にとても楽で、練習からうまく攻めることができました。予選順位は10番手でしたが、上位とタイム差があまりなく、いいレースができると考えていました。レース1は、スタートがうまくいきましたが、接触などがありポジションを下げてしまいました。その後、追い上げていきましたが、2コーナーの接触で転倒してしまいました。レース2はスタートがうまくできずポジションが少し下がってしまいました。またトップグループにいたのですが、思うようにペースが上げられずに集団と離れてしまい、悔しいレースになりました。オフの間に、しっかりと自分の足りない部分を見直して来年に備えたいと思います」
鳥羽海渡(Moto3 リタイア/リタイア)
「1レース目は、タイヤの選択でミスをしてしまい、序盤からペースを上げることができませんでした。トップグループとの差が開いてしまったので、4番手争いの中、ペースを抑えながら4位でフィニッシュできるように走行していましたが、タイヤに合わして走ることができず転倒しました。2レース目は、トップグループにいましたが、ミスにより大きく順位を落としてしまいました。これで開いたトップとの差を徐々につめている中、後続から追突されてしまい転倒しました。今回は、ウイーク通して転倒が多かったので、原因をしっかり考え、今後に生かしたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 19 | 30'48.057 |
2 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 19 | +1.773 |
3 | 48 | リカルド・カルダス | Transfiormers | 19 | +4.117 |
4 | 89 | アラン・ティチャー | NTS NH-6 | 19 | +4.160 |
5 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 19 | +8.795 |
6 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 19 | +14.252 |
7 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 19 | +33.702 |
8 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 19 | +33.939 |
9 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | Kalex | 19 | +34.304 |
10 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 19 | +35.073 |
11 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 19 | +35.494 |
12 | 41 | 羽田太河 | NTS Tpro | 19 | +37.509 |
13 | 24 | ミゲル・ポヤトス・アラルコン | SUTER | 19 | +42.578 |
14 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 19 | +42.853 |
15 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 19 | +43.190 |
16 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 19 | +47.323 |
17 | 46 | マルセル・ブレナー | Kalex | 19 | +48.060 |
20 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 19 | +51.540 |
22 | 12 | アリ・ルフミプトロ | Kalex | 19 | +1'13.626 |
23 | 2 | アナ・カラスコ | SUTER | 19 | +1'13.651 |
- | 43 | マノウ・アントヴァイラー | H43 | 14 | +5Laps |
- | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 12 | +7Laps |
- | 4 | ギヨーム・レイモンド | FTR | 11 | +8Laps |
- | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 10 | +9Laps |
- | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 9 | +10Laps |
- | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 8 | +11Laps |
- | 33 | ジェレミー・バーネット | Ariane |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 42 | M.ラミレス | KTM | 17 | 28'34.117 |
2 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 17 | +1,370 |
3 | 92 | K.ハニカ | KTM | 17 | +8.354 |
4 | 11 | A.アレナス | マヒンドラ | 17 | +21,372 |
5 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 17 | +21.493 |
6 | 67 | G.リウ | KTM | 17 | +21.525 |
8 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 17 | +29.336 |
11 | 86 | チャーリー・ネスビット | ![]() |
17 | +30.021 |
23 | 51 | 栗原佳祐 | ![]() |
17 | +1'01.619 |
24 | 19 | ルフィノ・フロリド | Beon | 17 | +1'01.706 |
26 | 27 | マヌエル・ゴンザレス | ![]() | 17 | +1'28.323 |
- | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() | 16 | +1Lap |
- | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 13 | +4Laps |
- | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 12 | +5Laps |
- | 54 | リカルド・ロッシ | ![]() |
11 | +6Laps |
- | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 11 | +6Laps |
- | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 10 | +7Laps |
- | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() |
10 | +7Laps |
- | 41 | マーク・ガルシア | ![]() |
||
- | 50 | 中村大輝 | ![]() |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 18 | 30'18.532 |
2 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 18 | +0.011 |
3 | 71 | D.フォッジャ | KTM | 18 | +0.503 |
4 | 92 | K.ハニカ | KTM | 18 | +3.365 |
5 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 18 | +3.393 |
6 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 18 | +3.395 |
7 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 18 | +6.765 |
12 | 31 | 真崎一輝 | ![]() |
18 | +14.616 |
16 | 86 | チャーリー・ネスビット | ![]() | 18 | +29.947 |
20 | 51 | 栗原佳祐 | ![]() |
18 | +39.906 |
24 | 50 | 中村大輝 | ![]() |
18 | +41.337 |
25 | 54 | リカルド・ロッシ | ![]() |
18 | +42.613 |
26 | 27 | マヌエル・ゴンザレス | ![]() | 18 | +43.740 |
- | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 13 | +5Laps |
- | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 9 | +9Laps |
- | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 9 | +9Laps |
- | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 8 | +10Laps |
- | 41 | マーク・ガルシア | ![]() |
5 | +13Laps |
- | 19 | ルフィノ・フロリド | Beon | 3 | +15Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 206 |
▲ | 2 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 162 |
▼ | 3 | 89 | アラン・ティチャー | NTS NH-6 | 162 |
- | 4 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 129 |
- | 5 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 98 |
- | 6 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 79 |
- | 7 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 66 |
- | 8 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 63 |
▲ | 9 | 77 | リカルド・カルダス | Transfiormers | 61 |
▼ | 10 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 59 |
▲ | 11 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 50 |
▼ | 12 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 46 |
▼ | 13 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 46 |
▲ | 14 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 42 |
▲ | 15 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 41 |
▼ | 16 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex | 39 |
▲ | 17 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 32 |
▼ | 18 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 32 |
- | 19 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 26 |
- | 20 | 46 | マルセル・ブレナー | Kalex | 22 |
- | 21 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 20 |
- | 22 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 12 |
▲ | 23 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | Kalex | 10 |
▼ | 24 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 9 |
▲ | 25 | 24 | ミゲル・ポヤトス・アラルコン | SUTER | 7 |
▼ | 26 | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | 6 |
- | 27 | 41 | 羽田太河 | NTS Tpro | 4 |
- | 31 | 13 | アンソニー・ウェスト | FTR | 1 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 214 |
- | 2 | 42 | M.ラミレス | KTM | 205 |
▲ | 3 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 137 |
▼ | 4 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 103 |
▲ | 5 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 87 |
▼ | 6 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 83 |
▼ | 9 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 75 |
▼ | 10 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 72 |
▲ | 11 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 71 |
▼ | 15 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 34 |
▼ | 17 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 33 |
▲ | 21 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 23 |
▼ | 26 | 19 | ルフィノ・フロリド | Beon | 9 |
▲ | 30 | 86 | チャーリー・ネスビット | ![]() | 5 |
▼ | 32 | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 4 |
長島哲太(Moto2 優勝)
「今回は事前テストに参加することができなかったので少し焦りもありましたが、フリー走行から決勝に向けて組み立てていき、予選ではなんとか2番手を獲得できました。一周のタイムアタックではトップと少し差がありましたが、アベレージタイムはよかったので焦りや不安はなく、決勝を迎えることができました。決勝当日は曇り空で、ウイークの中でも気温が低く、日差しもないので路面温度がかなり低いコンディションでのレースでした。バレンシアは右コーナーが少なく、左コーナーが続き、タイヤが冷えたころに右コーナーが来るので、序盤はしっかりタイヤを温めることに専念し様子を伺いました。後半に攻めていこうと決めていて、その通りのレースができ、自分の中でも満足のいくレースでした。今年一年は何度も優勝できそうなチャンスがありましたが、ものにできず悔しい思いばかりしていましたが、テルルの中込社長をはじめ、Honda様、アライヘルメット様、RSタイチ様、多くのファンの方々のサポートや応援のおかげで、最後に優勝することができました。心より感謝しています。来年は世界選手権にステップアップするので、このままの勢いでつき進めるように全力でがんばります。今回もたくさんの応援ありがとうございました」