2016年FIM CEVレプソルインターナショナル選手権第7戦はスペインのヘレス・サーキットで開催されました。ヘレス・サーキットはスペイン南部の都市ヘレス・デ・ラ・フロンテーラにあり、全長4.423km、合計13のコーナーが連続する中低速のテクニカルなコースです。
長島哲太
長島哲太
Moto2では、前戦でスティーブン・オデンダル(AGR TEAM)がタイトルを決めており、今大会はランキング2位のアラン・ティーチャー(NTS T Pro project)と3位の長島哲太(Ajo Motorsport A.)の争いに注目が集まりました。長島はロードレース世界選手権(MotoGP)第14戦アラゴンGPのMoto2クラスに参戦し、続く第15戦日本GPにもワイルドカード参戦を予定しているだけに、今大会には万全の体制で臨みました。また、MotoGP第13戦サンマリノGPのMoto2クラスにドミニク・エガーターの代役で参戦したイケル・レクオーナ(RACE EXPERIENCE)も今大会に参戦しました。
長島哲太
長島哲太
予選ポールポジション(PP)はオデンダル、2番手はわずかの差で長島、3番手にはティーチャーが入り、フロントローに並びました。ディマス・プラタマ(ASTRA Honda Racing Team)は5番手、山田誓己(H43 Team Nobby Talasur)は10番手につけました。
山田誓己
山田誓己
そして迎えた決勝レース、ホールショットを奪ったのはPPスタートのオデンダル。2番グリッドの長島はマシンを浮かせてしまいスタートで遅れますが、すぐにばん回し、オデンダル、ティーチャーに次ぐ3番手につけます。山田はスタート直後の混乱で他車に追突されてしまい転倒、そのままリタイヤとなってしまいます。序盤は抜け出した上位3台がトップ集団を形成していましたが、4番手を争っていたプラタマ、アウグスト・フェルナンデス・グエッラ(TARGOBANK CNS MOTORSPORT)が、その集団に迫り、5台によるバトルとなります。
山田誓己
その後、予選でフロントローにつけたオデンダル、ティーチャー、長島が速さをみせ、再び集団から抜け出して3台のトップ争いへと持ち込みます。レース中盤にティーチャーがトップを奪いレースを牽引。長島はオデンダルを抑え、一時2番手に浮上しますが、再びオデンダルが順位を奪い返すという接戦が続きました。レース終盤では長島がトップ争いから遅れ、オデンダルとティーチャーの2台による激しいトップ争いとなり、最終ラップに突入。この時点でトップを奪っていたのはオデンダルですが、最終コーナーで仕掛けたティーチャーとラインがクロス、一瞬早くティーチャーが抜け出てフィニッシュ。大接戦の結果はティーチャーが優勝、2位にオデンダル、長島は3位となりました。4番手争いを制したのはグエッラ、5位はプラタマが入りました。
Moto3クラスは、2レース開催。日本人ライダーの鳥羽海渡(Asia Talent T.)はフロントローの3番手スタート。レッドブル・ルーキーズ・カップでタイトルを獲得した佐々木歩夢(Asia Talent T.)は8番グリッド、真崎一輝(Asia Talent T.)は13番グリッドからスタートしました。
真崎一輝
真崎一輝
レース1は鳥羽がホールショットを決めてレースを引っ張り、ラウル・フェルナンデス(ハスクバーナ)、マルコス・ラミレス(KTM)らとのトップ争いを繰り広げます。ですが、レース中盤、鳥羽は転倒を喫しトップ争いから脱落。代わってフェルナンデスがレースを引っ張ります。8ラップ目にはラミレスがトップを奪い、11ラップ目には追い上げてきたロレンソ・デッラ・ポルタ(ハスクバーナ)がラミレスを交わすなど、次々に順位が入れ替わります。しかし、14ラップ目には再びラミレスがトップを奪うとその順位をキープしてチェッカー。2位にデッラ・ポルタ、3位はフェルナンデスとなり表彰台に登りました。真崎は佐々木との5番手争いを制して5位。佐々木は6位となりました。
真崎一輝
佐々木歩夢
レース2はグリッドが変わりPPにカレル・ハニカ(KTM)、5番手に佐々木、6番手に鳥羽、14番手に真崎でスタートが切られました。ハニカがホールショットを奪い、それを数珠つなぎの集団が追いかけます。追い上げたラミレスとハニカのトップ争いにトニー・アルボリーノ(SIC 58 SQUADRA CORSE)が加わると、その後、鳥羽、佐々木、真崎も追い上げてきて、大きな集団となって周回を重ねました。トップを争うアルボリーノ、ラミレス、ハニカは激しくポジションを入れ替えながらバトルを続けます。その争いに加わろうと鳥羽は集団の後ろをピタリとマーク。佐々木も追随し、デッラ・ポルタら9台が上位争いを繰り広げました。終盤になると、その争いからラミレス、アルボリーノ、ハニカ、鳥羽が抜けて4台のトップ争いに。最終ラップに、アルボリーノがトップを走るラミレスの背後に迫り、オーバーテイクを仕掛け、真っ先にチェッカー。初優勝を飾りました。0.059秒差でラミレスが2位、0.208秒差でハニカが3位。鳥羽は0.387秒差の4位となりました。5位に佐々木、10位にナカリン・アティラットプワパット(AP Honda Racing Thailand)、14位に真崎が入りました。
鳥羽海渡(Moto3 リタイア/4位)
「ヘレスは好きなサーキットの一つです。優勝することだけを考えていました。レース1では、激しいバトルの中、序盤トップに立つなど2、3番手の順位をキープすることができていましたが、ラスト10ラップのバックストレートエンドのブレーキングで、判断ミスにより他者と接触。転倒してしまいました。レース2でも、序盤から激しいバトルでしたが、路面温度も高くなっていたので、タイヤの消耗が早いと考え3、4番手の順位をキープし最後に仕掛けていこうと考えましたが、ラストラップに順位を上げることができず、4位で終えてしまいました。バレンシア戦は優勝を目指します」
佐々木歩夢(Moto3 6位/5位)
「今回は木曜日から練習走行があり、焦らずにゆっくりセットアップすることができました。マシンのセットはいい感じになっており、決勝に向けていいかたちで予選を終えることができました。レース1ではスタートしてから7台のトップグループについていけたものの、抜くことができずに6、7番手で進めてしまいました。残り7周で5番手のライダーが転倒してトップグループと離れてしまいました。レース2では、セッティングを変えて挑みましたが、ブレーキングで意図しない挙動が出てしまい前に行くことができませんでした。でも、マシンのフィーリングはよくなってきているので最終戦バレンシアは優勝目指してがんばりたいと思います」
真崎一輝(Moto3 5位/14位)
「今回も初めてのサーキットでした。Moto3のビデオなどを見てサーキットのレイアウトを覚えました。ですが、考えていた以上に難しく、初日はタイムが出なくてとても苦労しました。2日目は、感覚をつかみタイムが出始め、セットアップが上手くできました。レース1はスタートが上手く決まりトップグループについていくことができました。しかし、ついていくのが精一杯。残り3周でアタックができるようにタイヤ温存しようと作戦を変えたのですが、転倒者が出てしまい5位。レース2では、気温の変化などがあり、上手く自分の走りができず14位に終わってしまいました。最終戦では、気温の変化を考え自分の走り方を変えて挑みたいと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 89 | アラン・ティチャー | NTS NH-6 | 17 | 29'51.492 |
2 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 17 | +.075 |
3 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 17 | +1.796 |
4 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 17 | +9.589 |
5 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 17 | +9.804 |
6 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 17 | +12.201 |
7 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 17 | +14.803 |
8 | 46 | マルセル・ブレナー | Kalex | 17 | +15.150 |
9 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 17 | +23.440 |
10 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 17 | +36.876 |
11 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 17 | +36.948 |
12 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 17 | +37.471 |
13 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | Kalex | 17 | +46.094 |
14 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 17 | +46.919 |
15 | 24 | ミゲル・ポヤトス・アラルコン | SUTER | 17 | +51.543 |
17 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 17 | +1:02.835 |
20 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 17 | +1:12.998 |
21 | 2 | アナ・カラスコ | SUTER | 17 | +1:13.978 |
22 | 33 | ジェレミー・バーネット | ARIANE | 17 | +1:14.816 |
23 | 4 | ギヨーム・レイモンド | FTR | 17 | +1:21.846 |
RT | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 10 | +7Laps |
RT | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 3 | +14Laps |
RT | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 3 | +14Laps |
RT | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 1 | +16Laps |
RT | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | - | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 42 | M.ラミレス | KTM | 16 | 29'03.317 |
2 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 16 | +.862 |
3 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 16 | +1.053 |
4 | 71 | D.フォッジャ | KTM | 16 | +1.993 |
5 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 16 | +5.383 |
6 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 16 | +5.595 |
9 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 16 | +10.538 |
13 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 16 | +11.490 |
14 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 16 | +11.573 |
17 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 16 | +15.545 |
20 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 16 | +25.066 |
21 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 16 | +25.574 |
22 | 13 | ワリド・ソッペ | ![]() | 16 | +28.757 |
24 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() | 16 | +31.018 |
25 | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 16 | +31.034 |
27 | 14 | マッテオ・ギディーニ | CR016H | 16 | +38.656 |
30 | 27 | マヌエル・ゴンザレス | ![]() |
16 | +50.964 |
31 | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() | 16 | +56.898 |
33 | 66 | エクトル・ガルソ | ![]() | 16 | +57.957 |
36 | 29 | リヴァン・ルーチェル | TSR Honda | 16 | +1:46.588 |
RT | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 6 | +10Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 16 | 29'06.045 |
2 | 42 | M.ラミレス | KTM | 16 | +0.059 |
3 | 92 | K.ハニカ | KTM | 16 | +0.208 |
4 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 16 | +0.387 |
5 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 16 | +1.120 |
6 | 12 | マルコ・ベッツェッキ | マヒンドラ | 16 | +1.242 |
10 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 16 | +13.211 |
14 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 16 | +14.947 |
15 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 16 | +14.957 |
17 | 13 | ワリド・ソッペ | ![]() | 16 | +22.467 |
18 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 16 | +22.832 |
19 | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 16 | +22.841 |
20 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 16 | +23.465 |
27 | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() | 16 | +1:01.599 |
28 | 66 | エクトル・ガルソ | ![]() | 16 | +1:01.608 |
31 | 29 | リヴァン・ルーチェル | TSR Honda | 16 | +1:47.818 |
RT | 27 | マヌエル・ゴンザレス | ![]() | 13 | +3Laps |
RT | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 7 | +9Laps |
RT | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() | 2 | +14Laps |
RT | 14 | マッテオ・ギディーニ | CR016H | - | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 206 |
- | 2 | 89 | アラン・ティチャー | NTS NH-6 | 149 |
- | 3 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 137 |
- | 4 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 109 |
- | 5 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 87 |
- | 6 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 79 |
- | 7 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 66 |
▲ | 8 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 54 |
▼ | 9 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 54 |
- | 10 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 46 |
▲ | 11 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 46 |
▼ | 12 | 77 | リカルド・カルダス | Transfiormers | 45 |
▲ | 13 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 42 |
▼ | 14 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex | 39 |
▲ | 15 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 36 |
▼ | 16 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 32 |
▼ | 17 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 31 |
▼ | 18 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 31 |
- | 19 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 26 |
▲ | 20 | 46 | マルセル・ブレナー | H43 | 22 |
▼ | 21 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 18 |
- | 22 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 12 |
- | 23 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 9 |
- | 24 | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | 6 |
- | 26 | 24 | ミゲル・ポヤトス・アラルコン | SUTER | 4 |
- | 27 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 3 |
▼ | 29 | 50 | ラフィド・トパン・スキプト | Honda | 2 |
▼ | 31 | 13 | アンソニー・ウェスト | FTR | 1 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 191 |
- | 2 | 42 | M.ラミレス | KTM | 177 |
- | 3 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 103 |
- | 4 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 92 |
▲ | 5 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 83 |
▲ | 6 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 75 |
▲ | 7 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 68 |
▼ | 9 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 65 |
▼ | 12 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 61 |
- | 14 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 34 |
- | 15 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 33 |
▼ | 24 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() | 9 |
▼ | 26 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 6 |
▼ | 27 | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 4 |
長島哲太(Moto2 3位)
「ヘレス・サーキットは、とても好きなサーキットなので万全の状態でレースに臨んだのですが、結果的には最後にトラブルが出てしまい、3位で終わってしまいました。レース前には3台の争いになると思っていたので、ポルティマオの反省を生かし、序盤は様子を見ていたのですが、最後はトラブルが出て勝負をできる状態ではなく我慢のレースになってしまいました。今回はアラゴンGPで得た課題を少しずつこなしていき、よくなっていったので、得られるものも多かったので、日本GPで巻き返せるようにがんばっていきます」
山田誓己(Moto2 リタイア)
「テスト無しでレースウイークに入りましたが、へレスはリズムがつかみやすいサーキットで、最初から比較的いいペースで走ることができました。予選まで順調に進んでいて、決勝でもトップ6を狙えそうでしたが、2周目に前を走るライダーを抜こうとした際に強引に被せられ、接触してしまい転倒でレースを終えることになってしまいました。ウイークを通していいフィーリングがあったのでこのようなかたちになってしまったのは残念です。最終戦のバレンシアはいい結果で終えられるようにがんばります」