FIM CEVレプソルインターナショナル選手権の第6戦は、ポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキットで開催されました。コースは2008年に完成。全長4.658km、合計15のコーナーがあり、高低差のあるコースは、ブラインドコーナーが多く、スリリングなレースが展開します。
Moto2は、長島哲太(Ajo Motorsport A.)が今季2度目のポールポジションを獲得し、初優勝を目指しました。山田誓己(H43 Team Nobby Talasur)は、「2016 FIM世界耐久選手権シリーズ第3戦 "コカ・コーラ ゼロ"鈴鹿8時間耐久ロードレース 第39回大会」(以下、鈴鹿8耐)のテストで負った右さ骨の骨折で同大会を欠場。そこからの復帰レースとなった今回は、予選18番手からのスタートとなりました。
長島哲太(#45)
長島哲太(左から2人目)
決勝は晴天に恵まれ、青空の下で熱戦が繰り広げられました。レース1はスティーブン・オデンダル(AGR TEAM)がホールショットを奪い、長島が続きますが、バランスを崩した長島が立て直している間にオデンダルが逃げます。ですが、長島は2周目にはタイムを上げてオデンダルの背後に迫り、6ラップ目にはトップを奪います。トップ争いは、この2台に絞られました。長島はオデンダルを突き離そうとしますが、その差は変わらず、息詰まる攻防が続きます。そして、最終ラップの最終コーナーでオデンダルが動き、2台は並んでコントロールラインを通過しました。結果は、0・099秒差で長島は涙を飲み、オデンダルがウイナーとなりました。3台による激しい3位争いを制したのはアラン・ティーチャー(NTS T Pro project)。鈴鹿8耐で活躍したディマス・プラタマ(ASTRA Honda Racing Team)は5位でチェッカー。山田は20位となりました。
長島哲太
山田誓己
レース2のホールショットを奪ったのはフェデリコ・フリーニ(Team Ciatti)ですが、ジャンプスタートによるペナルティーでポジションを落とします。変わってトップに立った長島が、2番手以下を突き離します。そこにオデンダルが追いつき、レース1と同様に2台によるトップ争いが繰り広げられます。9ラップ目にオデンダルが首位に立ち、長島が僅差で続きました。そこに、セカンド集団から抜け出したティーチャーが迫り、3台によるトップ争いへと発展します。ティーチャーは12ラップ目に長島を捕らえて2番手に浮上。長島は激しくプッシュしてティーチャーに襲いかかり、2番手争いはコーナーごとにポジションを入れ替える激しさとなります。
結局、オデンダルがティーチャーを突き離してダブルウインを果たし、2大会を残してシリーズチャンピオンに輝きました。レースは2位にティーチャー、3位に長島となりました。プラタマは8位。山田はスタート直後の1コーナーで追突され、転倒リタイアとなりました。
Moto3クラスの予選では、鳥羽海渡(Asia Talent T.)が予選5番手、佐々木歩夢(Asia Talent T.)が8番手、真崎一輝(Asia Talent T.)が15番手となりました。
鳥羽海渡(#32)
鳥羽海渡(#32)、佐々木歩夢(#33)、真崎一輝(#31)
決勝でスタートダッシュを決めたのはラウル・フェルナンデス(ハスクバーナ)で、それを数珠つなぎの集団が追いかけます。鳥羽は3番手につけ、トップ争いを繰り広げます。その鳥羽は3ラップ目には2番手に浮上し、佐々木が5番手、真崎が9番手でトップ集団に食らいつきます。ですが、その集団からマルコス・ラミレス(KTM)、ロレンソ・デッラ・ポルタ(ハスクバーナ)、フェルナンデスの3台が抜け出してトップ争いを展開。鳥羽は6台による4番手集団を引っ張りながら、トップに追いつこうとします。
真崎一輝
佐々木歩夢(#33)、鳥羽海渡(#32)、真崎一輝(#31)
それでも上位陣は逃げ続け、激しくポジションを入れ替えながら周回を重ねます。佐々木と真崎もセカンド集団のバトルに加わりポジションアップを狙いますが、多重クラッシュに巻き込まれて転倒。真崎はコースに復帰しますが、佐々木はリタイアとなりました。トップ争いを制したのはラミレス。鳥羽は6位で、ナカリン・アティラットプワパット(AP Honda Racing Thailand)は10位、真崎は17位でチェッカーを受けました。
鳥羽海渡(Moto3 6位)
「レースは大きなトップグループになると予想していたので、3番手辺りのポジションをキープしようと思いました。いったんトップに立つこともできましたが、ミスをしてしまい、トップの3台を逃がしてしまいました。後半は5番手でトップを追う中、ラスト2ラップの1コーナーで、6番手を走行中のライダーと接触してオーバーランしてしまいました。すごく悔しいレースになりました。ポジションをキープできず、自分のリズムが崩れてしまい、いい結果を残せませんでした。次戦は落ち着いて優勝を目指します」
真崎一輝(Moto3 17位)
「アップダウンが激しくて最初はうまく走れませんでしたが、走れば走るほど楽しくなるサーキットでした。でも、予選はよくなかったので、一周目はたくさんのライダーを抜くことだけを考えていました。スタートがうまく決まり、トップグループに追いついてファステストタイムを出せました。しかし、残り5周ぐらいで佐々木(歩夢)選手と元Moto3ライダーの(カレル)ハニカ(KTM)選手の転倒に巻き込まれてしまいました。とても悔しいですが、気持ちを切り替えて次のレースは最初から攻めたいです」
佐々木歩夢(Moto3 リタイア)
「これまでの反省を生かし、初日からいいペースで走れました。メカニックと相談して完ぺきなマシンを仕上げることができたのですが、転倒してしまい、予選8番手という結果になってしまいました。決勝朝のウォームアップ走行ではロングランをすることができ、決勝に備えられました。スタートもうまくいき、トップ集団に加われましたが、トップ3が逃げ、追いかけようと5番手まで上がったときに追突されてしまいました。調子がよかっただけに残念ですが、トップ争いについていけなかったことを認めて、次に生かせるようにがんばります」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 | |||||||||||||
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1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 17 | 30'28.203 | |||||||||||||
2 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 17 | +0.099 | |||||||||||||
3 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS NH-6 | 17 | +4.127 | |||||||||||||
4 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 17 | +4.257 | |||||||||||||
5 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 17 | +10.978 | |||||||||||||
6 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 17 | +11.252 | |||||||||||||
7 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 17 | +11.457 | |||||||||||||
8 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 17 | +19.665 | |||||||||||||
9 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 17 | +26.281 | |||||||||||||
10 | 46 | マルセル・ブレナー | H43 | 17 | +26.585 | |||||||||||||
11 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 17 | +27.043 | |||||||||||||
12 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 17 | +30.664 | |||||||||||||
13 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 17 | +30.725 | |||||||||||||
14 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 17 | +42.240 | |||||||||||||
15 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 17 | +44.841 | |||||||||||||
16 | 24 | ミゲル・ポヤトス・アラルコン | SUTER | 17 | +50.108 | |||||||||||||
17 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 17 | +51.031 | |||||||||||||
19 | 4 | ギヨーム・レイモンド | FTR | 17 | +54.386 | |||||||||||||
20 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 17 | +57.563 | |||||||||||||
22 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 17 | +1'11.849 | |||||||||||||
DNF | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 11 | +6Laps | |||||||||||||
DNF | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 4 | +13Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 17 | 30'42.138 | |||||||||||||
2 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS NH-6 | 17 | +0.055 | |||||||||||||
3 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 17 | +1.647 | |||||||||||||
4 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 17 | +3.594 | |||||||||||||
5 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 17 | +7.197 | |||||||||||||
6 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 17 | +10.025 | |||||||||||||
7 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 17 | +12.036 | |||||||||||||
8 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 17 | +16.503 | |||||||||||||
9 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 17 | +31.909 | |||||||||||||
10 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 17 | +32.987 | |||||||||||||
11 | 46 | マルセル・ブレナー | H43 | 17 | +33.478 | |||||||||||||
12 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 17 | +41.162 | |||||||||||||
13 | 24 | ミゲル・ポヤトス・アラルコン | SUTER | 17 | +48.651 | |||||||||||||
14 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 17 | +52.581 | |||||||||||||
17 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 17 | +1'12.649 | |||||||||||||
18 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 17 | +1'12.775 | |||||||||||||
19 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 17 | +1'15.917 | |||||||||||||
DNF | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 15 | +2Laps | |||||||||||||
DNF | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 12 | +5Laps | |||||||||||||
DNF | 4 | ギヨーム・レイモンド | FTR | 5 | +12Laps | |||||||||||||
DNF | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 1 | +16Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 42 | M.ラミレス | KTM | 16 | 29'56.037 |
2 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 16 | +0.003 |
3 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 16 | +0.043 |
4 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 16 | +2.418 |
5 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 16 | +4.395 |
6 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 16 | +6.282 |
7 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 16 | +6.322 |
10 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 16 | +12.430 |
12 | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 16 | +23.858 |
17 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 16 | +1'00.218 |
18 | 19 | ルフィノ・フロリド | BE ON | 16 | +1'09.916 |
20 | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() | 16 | +1'18.591 |
21 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 16 | +1'44.215 |
22 | 29 | リヴァン・ルーチェル | TSR Honda | 16 | +1'54.164 |
24 | 61 | マッテオ・ロメオ | ![]() | 15 | +1Lap |
DNF | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 11 | +5Laps |
DNF | 14 | マッテオ・ギディーニ | CR016H | 8 | +8Laps |
DNF | 66 | エクトル・ガルソ | ![]() | 1 | +15Laps |
DNF | 13 | ワリド・ソッペ | ![]() |
- | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 186 |
- | 2 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS NH-6 | 124 |
- | 3 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 121 |
- | 4 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 99 |
▲ | 5 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 74 |
▼ | 6 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex-Honda | 70 |
▲ | 7 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 55 |
▲ | 8 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 54 |
▲ | 9 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 50 |
▼ | 10 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 46 |
▼ | 11 | 77 | リカルド・カルダス | Transfiormers | 45 |
▲ | 12 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 40 |
▼ | 13 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex-Honda | 39 |
▼ | 14 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 37 |
- | 15 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 32 |
- | 16 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 31 |
- | 17 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | H43-Honda | 31 |
▲ | 18 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 29 |
▼ | 19 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 26 |
▼ | 20 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 18 |
▲ | 21 | 46 | マルセル・ブレナー | H43-Honda | 14 |
▼ | 22 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 10 |
▼ | 23 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 9 |
▼ | 24 | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | 6 |
- | 26 | 24 | ミゲル・ポヤトス・アラルコン | Suter | 3 |
▼ | 29 | 13 | アンソニー・ウェスト | FTR | 1 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 163 |
- | 2 | 42 | M.ラミレス | KTM | 132 |
- | 3 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 90 |
▲ | 4 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 67 |
▼ | 5 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 65 |
▼ | 6 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 62 |
▲ | 7 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 58 |
▼ | 9 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 55 |
▲ | 10 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 50 |
▲ | 14 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 26 |
▼ | 15 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 25 |
▼ | 23 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() | 9 |
▼ | 25 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 6 |
- | 27 | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 4 |
長島哲太(Moto2 2位/3位)
「今回はテストの段階から昨年の自己ベストを更新できていて、サマーブレイク中にもしっかりトレーニングできたので、自信を持ってレースに臨めました。コースはアップダウンが激しく、ほとんどのコーナーが先の見えないブラインドコーナーでした。路面の荒れは昨年よりひどく、コンスタントにラップを重ねるのが難しい状況でした。レース1では(スティーブン)オデンダル選手とけん制し合いながらの走行になり、3番手の選手に追いつかれそうだったので、前に出てペースをキープ。ラスト2周でスパートをかけましたが、離しきれず、最終コーナーの立ち上がりからで抜かれてしまい2位でした。レース2では、序盤に逃げようと決め、想定通りのレースができそうでしたが、今回はタイヤへのストレスが大きく、後半にペースを上げられませんでした。タイヤをなんとかキープしながらの走りで、3位でチェッカーを受けました。今回は、自分でペースを作ることができ、あと一歩で勝てる位置まで来れました。しかし、常に全開での走行で何度も転倒しそうになり、ロスした部分が多かったです。次戦のへレスでは、レースウイークでの組み立てをしっかり行い、余裕を持ってレースをコントロールできるようにがんばります」
山田誓己(Moto2 20位/リタイア)
「今回のアルガルベは昨年にMoto3で走っているので、攻略が難しいコースだと分かっていました。また、今回はテストなしでのレースだったので、セットアップを短時間で進める必要がありました。ですが、セットアップがいい方向に進まず、思うようなライディングが全くできませんでした。レース1では完走するのがやっとで、レース2ではスタート後の1コーナーでぶつけられて転倒してしまい、レースを終えることになってしまいました。次回のヘレスまでに時間があるので、しっかり気持ちを切り替えて、レースに向けて準備していきます」