FIM CEVレプソルインターナショナル選手権の第5戦がスペインのアルバセテ・サーキットで開催されました。アルバセテは1990年にオープン、右が8つ、左が5つものコーナーが全長3.539Kmに配されたテクニカルコースで、熱戦が繰り広げられました。
Moto2はスティーブン・オデンダル(AGR TEAM)がポールポジション(PP)を獲得。長島哲太(Ajo Motorsport A.)が6番手。山田誓己(Nobby H43 Honda)が9番手と、上位に顔を出しました。
長島哲太
長島哲太
決勝レースでは、長島は8番手で1ラップ目を終え、山田はスタートでの出遅れと1コーナーでのミスが響き、15番手まで後退しました。
3周目には、長島がトップ集団に加わり、6台によるトップ争いが展開。その後も長島はぐいぐい追い上げ、6ラップ目には一度3番手に浮上しますが、コースアウトして集団の最後尾である6番手に落ち着きました。
長島哲太(#45)
長島哲太
その後は、トップのオデンダルと2番手のアウグスト・フェルナンデス・グエッラ(TARGOBANK CNS MOTORSPORT)が逃げます。長島は3台のライバルと3番手争いを繰り広げた末、2番手をいくグエッラがリタイアしたことなどもあり、2番手となってトップを追いかけます。一方の山田は、中盤には12番手までポジションをばん回。引き続き前を捕らえようと、アクセルを開け続けました。
山田誓己(#17)
山田誓己
長島はトップとの差をジリジリと詰めますが、惜しくも届かずチェッカー。優勝はオデンダル、長島は2位となり、3位にアラン・ティーチャー(NTS T Pro project)が入りました。ASTRA Honda Racing Teamのディマス・プラタマは6位となり、追い上げた山田は8位でチェッカーを受けました。
Asia Talent Teamから参戦する期待の日本勢は、鳥羽海渡が9番手、佐々木歩夢が10番手、真崎一輝が13番手からのスタートとなりました。
鳥羽海渡
真崎一輝(左)、佐々木歩夢(右)
決勝レースで、ホールショットはアロンソ・ロペス(JUNIOR TEAM ESTRELLA GALICIA 0,0)が奪いますが、早々に転倒して姿を消します。すると、PPスタートのロレンソ・デッラ・ポルタ(ハスクバーナ)がトップに立ち、マルコス・ラミレス(KTM)とのトップ争いを繰り広げます。それを追いかける形で10数台が数珠つなぎとなり、激しい争いが繰り広げられたあと、そこから抜け出した6台がトップ集団を形成。鳥羽は4番手に浮上します。
真崎一輝(#31)
佐々木歩夢
やがて、トップ争いはポルタ、ラミレス、鳥羽、ラウル・フェルナンデス(ハスクバーナ)に絞られます。またセカンド集団では真崎と佐々木がポジションアップを狙っていました。
鳥羽は終盤にかけて激しくプッシュすると、3位でフィニッシュ。表彰台を獲得しました。真崎は8位、佐々木は9位でした。
鳥羽海渡(Moto3 3位)
「予選の順位が悪かったので、スタートを決めて追い上げようとしましたが、うまくいかず、次第にポジションを上げていくレースになりました。5台によるトップ争いは激しいバトルになり、ポジションのアップもキープも難しかったです。何度かミスをしましたが、冷静に対処できました。ラスト4ラップで3番手に浮上しましたが、それ以上は抜けませんでした。レース中にミスが多かったことが反省点です。もう一つは、予選で自分の後ろについてタイムを上げようとするライダーを気にしすぎて、自分のリズムを失ったことです。冷静にポジションを上げていけたのと、コンスタントにタイムを出せていたのはよかったです。次戦では、今回の悪かった点を見直して優勝を目指します」
真崎一輝(Moto3 8位)
「予選でなかなかタイムが出ず、決勝は13番手からのスタートでした。そのため、トップグループについていって、最後の3周でラストスパートをかける作戦でした。でも、スタートの失敗で16番手に落ちてしまい、その後は6番手争いをがんばりましたが、思うような結果にはなりませんでした。予選の組み立てが悪く5列目スタートになってしまったこと、スタートを失敗してトップグループとの差がついてしまったこと、ライバルを抜くことができず出遅れてしまったことなど反省ばかりです。次のレースは初めてのサーキットですが、練習走行の一本目から速いライダーについていき、コースに慣れるようにします。そして今度こそは予選をいい形で終えて、競り合いに勝つレースで表彰台に上がります」
佐々木歩夢(Moto3 9位)
「アルバセテのコースは4月にマシンテストをしたので経験があり、コースレイアウトは覚えていました。今回のレースは木曜日から走行でき、セッティングに集中しました。スタートがうまく決まって6番手辺りまで浮上できましたが、急に頭痛がして、転ばないように走ることが精一杯でした。レース終了後、熱中症になっていたことが分かりました。このレースを通して、食事や水分をはじめ、レース期間中の自己管理が大切だと学びました」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 20 | 31'08.968 |
2 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 20 | +2.791 |
3 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS NH-6 | 20 | +4.955 |
4 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 20 | +9.629 |
5 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 20 | +18.193 |
6 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 20 | +19.643 |
7 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 20 | +21.666 |
8 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 20 | +29.095 |
9 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 20 | +30.323 |
10 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 20 | +30.570 |
11 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 20 | +32.016 |
12 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 20 | +32.103 |
13 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 20 | +43.673 |
14 | 46 | マルセル・ブレナー | H43 | 20 | +43.734 |
15 | 13 | アンソニー・ウェスト | FTR | 20 | +44.807 |
16 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 20 | +56.835 |
17 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 20 | +1'03.191 |
19 | 81 | アレックス・ベルナルディ | Suter | 20 | +1'17.320 |
20 | 4 | ギヨーム・レイモンド | FTR | 20 | +1'21.194 |
22 | 12 | アリ・ルフミプトロ | Kalex | 20 | +1'27.357 |
23 | 2 | アナ・カラスコ | MVR | 20 | +1'27.503 |
24 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 20 | +1'32.288 |
RT | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 13 | +7Laps |
RT | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 13 | +7Laps |
RT | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 8 | +12Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 19 | 30'29.952 |
2 | 42 | M.ラミレス | KTM | 19 | +0.088 |
3 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 19 | +0.308 |
4 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 19 | +0.713 |
5 | 92 | K.ハニカ | KTM | 19 | +3.584 |
6 | 62 | S.マンツィ | マヒンドラ | 19 | +8.846 |
8 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 19 | +9.363 |
9 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 19 | +9.580 |
10 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 19 | +13.066 |
14 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 19 | +21.489 |
15 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 19 | +21.621 |
18 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 19 | +33.708 |
22 | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() | 19 | +41.542 |
25 | 14 | マッテオ・ギディーニ | CR016H | 19 | +56.280 |
26 | 66 | エクトル・ガルソ | ![]() | 19 | +1'16.109 |
28 | 29 | リヴァン・ルーチェル | TSR Honda | 18 | +1Lap |
29 | 70 | ルーカス・ウェンデボーン | Robnor-Honda | 18 | +1Lap |
RT | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 18 | +1Lap |
RT | 13 | ワリド・ソッペ | ![]() | 18 | +1Lap |
RT | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 13 | +6Laps |
RT | 24 | チャンドラー・クーパー | Kalex | 12 | +7Laps |
RT | 41 | マルク・ガルシア | Beon | 9 | +10Laps |
RT | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 1 | +18Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 136 |
- | 2 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS NH-6 | 88 |
▲ | 3 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 85 |
▼ | 4 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 79 |
▲ | 5 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 50 |
▼ | 6 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 48 |
▲ | 7 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 46 |
▼ | 8 | 77 | リカルド・カルダス | Transfiormers | 45 |
▼ | 9 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex | 39 |
▲ | 10 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 39 |
▼ | 11 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 37 |
▼ | 12 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 37 |
▲ | 13 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 36 |
▼ | 14 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 35 |
▲ | 15 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 32 |
▼ | 16 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 29 |
▼ | 17 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | H43 | 26 |
- | 18 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 22 |
- | 19 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 18 |
▲ | 20 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 15 |
▼ | 21 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 10 |
▼ | 22 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 9 |
- | 23 | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | 6 |
▲ | 25 | 46 | マルセル・ブレナー | H43 | 3 |
- | 28 | 13 | アンソニー・ウェスト | FTR | 1 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 143 |
- | 2 | 42 | M.ラミレス | KTM | 107 |
▲ | 3 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 80 |
▼ | 4 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 65 |
- | 5 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 62 |
▲ | 6 | 11 | マヒンドラ | 58 | |
▲ | 7 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 55 |
▼ | 11 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 45 |
- | 13 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 39 |
- | 14 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 19 |
- | 15 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 17 |
▼ | 22 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() | 9 |
▼ | 23 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 6 |
長島哲太(Moto2 2位)
「レースは2位でしたが、自分にとってもチームにとっても、非常に内容の濃いレースになりました。今回は、フリープラクティスから予選、レースと、フルタンクで走り、タイヤも世界選手権で使われているハードコンパウンドをチョイスしました。前回のカタルニアでもハードコンパウンドを使い、レースではペースが上がらず苦戦しましたが、今回はしっかりタイヤを使うことができ、いいフィーリングを得られました。今後の課題はスタートと一周目です。まだまだライダーとしての仕事量が足りていないと思うので、この夏のインターバルの間に、少しでも向上できるようにがんばります」
山田誓己(Moto2 8位)
「今回はマシンの大幅な見直しをしたことで、問題だったリアのグリップ不足を改善でき、アベレージが上がりました。決勝日の朝の走行でも、ユーズドタイヤで7番手となり、いいレースができると思っていたのですが、序盤のミスが響いて、追い上げのレースになってしまいました。決勝は路面温度が上がったことで、アジャストしきれない部分が出てしまいましたが、次につながるレースができたと思います。今年は鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦させてもらいます。初挑戦ですが、Moto2に生かせる経験を積めればと思っています」