FIM CEVレプソルインターナショナル選手権の第3戦は、モーターランド・アラゴンで開催されました。2009年、アルカニス郊外に誕生したこのサーキットは、アップダウンの豊かな、5qを超えるロングコースで、7の右コーナーと、10の左コーナーが連続。それもブラインドコーナーが多く、攻略の難しいコースとして知られています。2010年からは、ロードレース世界選手権の舞台となっています。
長島哲太
長島哲太(#45)
Moto2クラスでは、開幕戦で転倒し、左腕の負傷が心配されていた長島哲太(Ajo Motorsport A.)が元気な姿を見せました。長島は予選から好走。3番グリッドを獲得し、フロントローに並びました。山田誓己(Nobby H43 Honda)は7番手、3列目からのスタートとなりました。
1レース目、長島はスタートからトップ集団を走ります。トップに立ったのはアラン・ティーチャー(NTS T Pro project)、それを追う4台がセカンドグループを引き離し、激しいトップ争いを繰り広げます。長島は積極的に仕掛け、5ラップ目に自身のファステストラップを叩き出して2番手に浮上。ティーチャーの背後に迫ります。レース中盤、勢いを増したスティーブン・オデンダル(AGR TEAM)がトップに立ち、ティーチャー、長島、アウグスト・フェルナンデス・グエッラ(TARGOBANK CNS MOTORSPORT)が追います。長島はティーチャーとのバトルを展開しながらトップを追いますが、オデンダルは逃げ、15ラップを走りきって優勝。長島が2番手争いを制してチェッカー、3位にティーチャーとなりました。山田は数珠つなぎの5番手争いに加わりますが、接触でポジションダウンの末、11位となりました。
長島哲太(左から2人目)
長島哲太
レース2はオデンダルがホールショットを奪ってレースをリード。長島はトップ争いに食い込みます。そんな中、2ラップ目に転倒車のタンクから漏れたガソリンに引火して火災が発生。多重クラッシュが起きて赤旗中断に。15ラップのレースが10ラップに短縮されて再スタートとなりました。
レースは、再スタートで飛び出したオデンダルと、それを追う4台によってトップ集団が形成されました。長島は4番手につけ、激しいバトルを繰り広げます。一方の山田は8番手につけ、トップ集団を追いました。レース中盤になると、トップ集団はオデンダル、元ロードレース世界選手権のチャンピオンである、ワイン・ガードナーの息子であるレミー・ガードナー(RACE EXPERIENCE)、ティーチャー、長島、グエッラ、エリック・グラナド(PROMORACING)の6台に増えます。長島はファステストラップを記録しながら2番手に浮上しますが、ラインを外して4番手にポジションダウン。そこから追い上げを図りますが、オデンダルが逃げきりダブルウインを達成。2位にティーチャーが、3位には長島が入りました。ディマス・プラタマ(ASTRA Honda Racing Team)と8番手争いを繰り広げていた山田が8位、プラタマは9位となりました。
山田誓己
山田誓己
Moto3クラスでは、Asia Talent T.から参戦している鳥羽海渡が5番手、真崎一輝が7番手、佐々木歩夢が12番手からのスタートとなりました。
鳥羽海渡
佐々木歩夢
決勝で飛び出したのはマルコス・ラミレス(KTM)。鳥羽は4番手、真崎は8番手、佐々木は11番手でオープニングラップをクリアしました。ラミレスが逃げ、それを5台が追う、6台によるトップ争いが展開します。その後方では、6台のセカンド集団がバトルを繰り広げながらトップグループを追いかけました。
鳥羽はトップ集団で果敢に前へ出て、首位に立ったアロンソ・ロペス(JUNIOR TEAM ESTRELLA GALICIA 0,0)の背後に迫ります。7ラップ目には、鳥羽がロペスを捕らえてトップに立ちます。ですが、集団から抜け出すことはできず、激しいトップ争いを続けることに。
鳥羽海渡(#32)
佐々木歩夢
終盤に主導権を握ったのはラミレスで、そのまま優勝。2位にロペス、3位にロレンソ・デッラ・ポルタ(ハスクバーナ)、鳥羽は4位となりました。最終ラップまで続いたバトルの末、佐々木が9位、真崎が10位でチェッカーを受けました。
佐々木歩夢(#33)、真崎一輝(#31)
真崎一輝(#31)
鳥羽海渡(Moto3 4位)
「スタートがうまくいきました。ただ、トップに立ったあとにペースをなかなか上げられず、後続を引き離せませんでした。最終ラップに向けて、ほかのライダーの後ろにつき、バックストレートで何番手にいるのがいいのかなど、作戦を立てました。1コーナーは、2番手で入ろうと決めました。しかし、ラスト2周で2番手を走行していたライダーが、最終コーナで大きく体勢を崩したことが影響して作戦が失敗。トップとの差が開いてしまいました。バックストレートエンドの最終コーナーで抜こうと決めましたが、それはかなわず、4位となりました。今回は、レースをリードすることができ、落ち着いてレースに挑めていてよかったです。ですがトップに立ち、単独でコンスタントに速さを発揮できなかったのが反省としてあります。次戦からはもっと速く、コンスタントに走れるようにがんばります。次戦カタルニアは、好きなサーキットですので、この悔しさをぶつけていきたいです」
佐々木歩夢(Moto3 9位)
「第3戦はとても難しいレースになりました。練習走行は調子がよく、集中して走れましたが、予選1回目の3周目に転倒してしまい、マシンの修復などがあったため、走行は4周だけで終わってしまいました。予選2回目は焦りや不安もあって予選12番手。決勝に向けて気持ちを切り替え、いつもの自分に戻り、日曜日の朝を迎えました。朝のフリーで調子を取り戻すことができ、レースではスタートから追い上げたかったので全力を尽くしました。3周目に7番手まで追い上げましたが、トップグループには引き離されていました。少しでも上の順位でフィニッシュしようとしましたが、9位という結果でした。望んでいた順位ではありませんが、開幕からの3戦は、すごくいい勉強になっています。今の自分になにが足りないのかをしっかり考え、次のレースでは、過去の自分よりも強くなっていたいです」
真崎一輝(Moto3 10位)
「コースの印象は難しく、ブレーキングポイントなどに苦労しました。予選の結果がよかったので、レースではトップグループについていくのを目標に挑みました。しかし、実際はそう簡単にはついていけず、第2グループでのバトルが長引いたため、トップグループと差がついてしまいました。次回はもっと早い段階で速いライダーについていき、タイムを出し、オープニングラップでトップ争いに加われるようがんばります」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 15 | 29'08.156 |
2 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 15 | +2.374 |
3 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS Tpro | 15 | +2.427 |
4 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 15 | +4.324 |
5 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 15 | +17.952 |
6 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 15 | +22.138 |
7 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 15 | +22.478 |
8 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 15 | +24.305 |
9 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 15 | +24.340 |
10 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 15 | +24.450 |
11 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 15 | +28.503 |
12 | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | 15 | +32.676 |
13 | 93 | マダン・ロスリ | Kalex | 15 | +35.401 |
15 | 46 | マルセル・ブレナー | H43-Honda | 15 | +45.671 |
17 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 15 | +58.180 |
18 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 15 | +1'04.821 |
19 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 15 | +1'05.687 |
20 | 2 | アナ・カラスコ | MVR | 15 | +1'05.825 |
21 | 4 | ギヨーム・レイモンド | FTR | 15 | +1'21.180 |
23 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 15 | +1'25.330 |
RT | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 13 | |
RT | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 9 | |
RT | 87 | レミー・ガードナー | Kalex-Honda | 8 | |
RT | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 4 | |
RT | 6 | マイケル・アキノ | Ariane | 2 | |
RT | 34 | ハビエル・ピンサック | Tech3 | ||
RT | 81 | アレックス・ベルナルディ | SUTER |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 10 | 19'18.683 |
2 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS Tpro | 10 | +0.156 |
3 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 10 | +0.484 |
4 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 10 | +4.249 |
5 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex-Honda | 10 | +4.464 |
6 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 10 | +4.925 |
7 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex | 10 | +11.791 |
8 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 10 | +12.648 |
9 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 10 | +12.746 |
10 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 10 | +22.476 |
11 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 10 | +22.516 |
12 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 10 | +22.646 |
13 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 10 | +23.327 |
14 | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | 10 | +23.471 |
15 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 10 | +33.506 |
16 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 10 | +33.780 |
17 | 93 | マダン・ロスリ | Kalex | 10 | +33.974 |
18 | 46 | マルセル・ブレナー | H43-Honda | 10 | +36.223 |
20 | 2 | アナ・カラスコ | MVR | 10 | +51.895 |
21 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 10 | +52.115 |
22 | 4 | ギヨーム・レイモンド | FTR | 10 | +52.911 |
23 | 81 | アレックス・ベルナルディ | SUTER | 10 | +1'27.143 |
RT | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 5 | |
RT | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 42 | M.ラミレス | KTM | 15 | 30'23.306 |
2 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 15 | +1.151 |
3 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 15 | +1.195 |
4 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 15 | +1.26 |
5 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 15 | +1.358 |
6 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 15 | +1.576 |
9 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 15 | +6.885 |
10 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 15 | +7.927 |
12 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 15 | +8.258 |
13 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 15 | +8.313 |
17 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 15 | +18.249 |
18 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() | 15 | +18.271 |
19 | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() | 15 | +27.967 |
22 | 13 | ワリド・ソッペ | ![]() | 15 | +29.545 |
24 | 96 | マニュエル・パリアーニ | GEO | 15 | +30.132 |
25 | 43 | ビセンテ・ペレス | Beon-Honda | 15 | +30.179 |
30 | 14 | マッテオ・ギディーニ | CR016H | 15 | +51.206 |
31 | 98 | ウォルター・スリス | ![]() | 15 | +1'14.790 |
32 | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() | 15 | +1'14.896 |
33 | 66 | エクトル・ガルソ | ![]() | 15 | +1'15.020 |
35 | 4 | シモン・ジェスパーソン | ![]() | 15 | +2'03.399 |
36 | 29 | リヴァン・ルーチェル | TSR Honda | 14 | +1Lap |
37 | 70 | ルーカス・ウェンデボーン | Robnor-Honda | 14 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 95 |
- | 2 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS Tpro | 72 |
▲ | 3 | 45 | 長島哲太 | Kalex | 36 |
- | 4 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 35 |
▲ | 5 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 33 |
▼ | 6 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 29 |
▲ | 7 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 28 |
- | 8 | 37 | アウグスト・フェルナンデス・グエッラ | Tech3 | 26 |
▼ | 9 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 26 |
- | 10 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 23 |
▼ | 11 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | Kalex | 20 |
▲ | 12 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 18 |
- | 13 | 7 | イケル・レクオーナ | Kalex-Honda | 18 |
▲ | 14 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex-Honda | 14 |
▲ | 15 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 14 |
▼ | 16 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 12 |
▼ | 17 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 11 |
▼ | 18 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 11 |
▼ | 19 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 10 |
▼ | 20 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 8 |
- | 21 | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | 6 |
▼ | 22 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 5 |
▼ | 24 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 3 |
- | 26 | 46 | マルセル・ブレナー | H43-Honda | 1 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 42 | M.ラミレス | KTM | 83 |
- | 2 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 68 |
- | 3 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 64 |
- | 4 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 41 |
- | 5 | 71 | D.フォッジャ | KTM | 40 |
▲ | 6 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 36 |
- | 8 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 27 |
- | 10 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 26 |
▲ | 13 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 13 |
▼ | 16 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() | 9 |
▼ | 17 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() | 9 |
- | 20 | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() | 3 |
長島哲太(Moto2 2位/3位)
「アラゴンの印象はよく、自分にとって好きなサーキットの一つです。開幕戦では1周目に転倒してしまったので、とにかく落ち着いてレースをするように心がけました。風がとても強かったので、序盤は後ろについて、最後に勝負しようとしていたのですが、ライバルを抜くのが難しく、勝負どころが少ないのに気づきました。1レース目は、無理を少しするとフロントが切れ込んでしまっていたので、無理せず確実に走りきりました。2レース目では少しよくなったのですが、トップとの差が開いてしまいました。マシンのフィーリングはとてもよく追い上げたのですが、あと一歩届かず悔しかったです。開幕戦で転倒してしまったこともあり、今回のレースは転倒のリスクを意識しすぎてしまい、攻めきれない部分がありました。慎重になりすぎました。それでも、とにかく完走し、表彰台に上がってチームやスポンサー、応援してくれたファンの方々に元気な姿を見せられたことが一番うれしかったです。次のレースでは、今回得られたものをしっかりフィードバックして、確実に優勝できるようにウイークで詰めていきます」
山田誓己(Moto2 11位/8位)
「レース1では、途中で接触があり、大きくポジションを落としてしまいましたが、レース2では開幕戦と違い、しっかりレースができたと感じました。ウイークを通して大きなトラブルがなく、走り込むことができ、今回のレースで大きく前進できたと思います。ただ、まだまだトップグループとの差は大きいので、次のカタルニアまでに自分のレベルを上げてレースに臨みます」