2016年のFIM CEVレプソルインターナショナル選手権は、2日間の非公式練習を終え、4月16日(土)に予選、17日(日)に決勝が行われました。MotoGPの最終戦が開催されることで知られるバレンシア・サーキットは、約4qのコースに14のコーナーを備え、観客は各コーナーのバトルを見渡せます。
Moto2クラスは19カ国から31名のライダーが参戦。昨年のランキング1位と2位が、ロードレース世界選手権(MotoGP)に参戦したことで、今季のタイトル争いは激しいものになると予想されます。日本からは長島哲太(Ajo Motorsport A.)と、Moto3クラスからステップアップした山田誓己(Nobby H43 Honda)が挑みます。
Moto2クラスは、今季のチャンピオン候補の一人である長島が3番グリッドを獲得し、フロントローに並びました。一方の山田は、Q2にエンジントラブルに見舞われると、その修復に追われたためにほとんど走行ができず、タイムを更新できず11番手に。4列目から決勝に挑みました。
山田誓己
長島哲太
レース1は、フロントローからスタートダッシュした長島が2番手で1コーナーに侵入。トップ争いに加わりますが、2ラップ目に後続車に追突されるアクシデントで激しく転倒してしまいます。その際、腕を負傷して救急車で運ばれ、レース2はキャンセルとなってしまいました。山田は決勝日の朝のウォームアップランでもエンジントラブルに見舞われますが、懸命に修復作業を行い、なんとかレース1のグリッドに並びます。スタート後、後続集団に飲み込まれますが、そこから追い上げて15位でチェッカーを受けました。レース2は、上位を目指して懸命に挑みますが、最終的にリタイアとなりました。
山田誓己
長島哲太(#45)
Moto3クラスは、13カ国から39名のライダーが参戦。Asia Talent T.からは、アジアタレントカップの2015年チャンピオンである佐々木歩夢、海外でのレース経験が豊富な鳥羽海渡、2015年の全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスでランキング2位となった真崎一輝が参戦します。
鳥羽海渡
真崎一輝
予選から好調な鳥羽は2番手タイムを叩き出し、佐々木は僅差の4番手、真崎は11番手となりました。
レース1は、スタート直後に転倒車が続出する波乱が起きます。マルコス・ラミレス(KTM)がトップに立ち、それを7台のマシンが数珠つなぎで追いかけます。激しいトップ争いは終盤まで続きますが、ラミレスが逃げ、デニス・フォッジャ(KTM)、佐々木、ジェレミー・アルコバ(Estrella Galicia 0,0)、ジャウメ・マシア(Estrella Galicia 0,0)が2番手争いを繰り広げながら追いかけました。そんな激しいバトルの中、最終ラップにマシアが転倒して戦列を離れます。結果、ラミレスが逃げきり優勝。2位にフォッジャ、3位にアルコバが入り、佐々木は僅差の4位でチェッカーを受けました。トップ争いに加わっていた鳥羽ですが、コースアウトし、その後は懸命に追い上げて10位。真崎はスタート直後に転倒を喫しますが、12位となり貴重なポイントを獲得しました。
真崎一輝(#33)
ジェレミー・アルコバ(右)
レース2は、序盤からラミレスと鳥羽の一騎打ちに。鳥羽がダブルウインを狙うラミレスをピタリとマークし、周回を重ねました。そして最終ラップに入ると、狙いすましたようにラミレスをパスしてトップに立つと、初優勝のチェッカーを受けました。この勝利は、鳥羽だけでなく、日本人にとって初の快挙となりました。なお、真崎は5番手争いの末に7位。佐々木は追い上げをみせるも、転倒リタイアとなりました。
鳥羽海渡(#32)
鳥羽海渡
鳥羽海渡(Moto3 10位/優勝)
「両レースとも、最後まで転ばずにプッシュしようと思い、グリッドに着きました。レース1はブレーキングのミスでポジションを落としてしまいましたが、ポイントを獲得できてよかったです。レース2は、2番手から順位を落とさないようにし、バトルを回避しながら後続との差を広げ、トップ争いをしようと思いました。最終ラップまで仕掛けずに、前の選手がどんなラインで走行しているかを観察し、狙い通りのコーナーでパス。最終コーナーで落ち着いてブロックし、うまく立ち上がれました。その瞬間に勝利を確信しました。全日本選手権での初優勝と同じか、それ以上にうれしかったです。昨年は結果を残せず悔しかったので、今回の優勝は格別です。簡単なことではありませんが、しっかり集中して落ち着いて、次も優勝を目指します」
佐々木歩夢(Moto3 4位/リタイア)
「テストから調子がよく、予選では4番手を獲得できました。レース1はフロントブレーキにトラブルがあり、思うように攻められない我慢のレースでしたが、4位でチェッカーを受けることができてうれしかったです。レース2はスタートをミスしてしまい、7番手までポジションを落としてしまいました。2周目には3番手までポジションを上げられたのですが、転倒してしまいました。自分の速さを披露できずに終わってしまいました。次は初心に戻って、一からがんばります」
真崎一輝(Moto3 12位/7位)
「予選でタイムアップができず、いいグリッドに着けなかったので、前に追いつくためには攻めるしかないと思っていました。序盤で転倒に巻き込まれてしまいコースアウト。28番手あたりから追い上げて12位となりました。レース2では、レース1の反省もあり、ラインを考えて走ったのですが7位でした。バレンシアは初めてのサーキットで、うまく攻略できなかったことが反省としてあります。次はもっとタイムアップして、いいグリッドからレースができるようにしたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 19 | 30'46.426 | |
2 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 19 | +7.898 | |
3 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS Tpro | 19 | +13.223 | |
4 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 19 | +31.669 | |
5 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 19 | +35.867 | |
6 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 19 | +36.106 | |
7 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 19 | +36.550 | |
8 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | H43-Honda | 19 | +40.460 | |
9 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 19 | +43.278 | |
10 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 19 | +43.626 | |
11 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 19 | +44.443 | |
12 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 19 | +50.672 | |
13 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 19 | +53.342 | |
14 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 19 | +54.077 | |
15 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 19 | +54.385 | |
16 | 46 | マルセル・ブレナー | H43-Honda | 19 | +1'08.647 | |
17 | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 19 | +01'27.928 | |
22 | 6 | マイケル・アキノ | Ariane | 18 | +1Lap | |
23 | 81 | アレックス・ベルナルディ | SUTER | 18 | +1Lap | |
RT | 87 | レミー・ガードナー | Kalex-Honda | 6 | +13Laps | |
RT | 47 | ポール・クラン | Speed Up | 3 | +16Laps | |
RT | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 2 | +17Laps | |
RT | 34 | ハビエル・ピンサック | Tech3 | |||
RT | 45 | 長島哲太 | Kalex | |||
RT | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | |||
RT | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | |||
RT | 2 | アナ・カラスコ |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 19 | 31'05.605 | |
2 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS Tpro | 19 | +3.751 | |
3 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 19 | +13.048 | |
4 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 19 | +24.646 | |
5 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 19 | +26.349 | |
6 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | H43-Honda | 19 | +33.076 | |
7 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 19 | +39.434 | |
8 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 19 | +39.632 | |
9 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 19 | +40.080 | |
10 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 19 | +40.201 | |
11 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 19 | +43.100 | |
13 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex-Honda | 19 | +49.903 | |
14 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 19 | +57.729 | |
15 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 19 | +1'02.859 | |
16 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 19 | +1'03.026 | |
17 | 46 | マルセル・ブレナー | H43-Honda | 19 | +1'03.276 | |
20 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 19 | +1'25.936 | |
21 | 6 | マイケル・アキノ | Ariane | 19 | +1'30.358 | |
23 | 2 | アナ・カラスコ | 18 | +1Lap | ||
RT | 34 | ハビエル・ピンサック | Tech3 | 18 | +1Lap | |
RT | 3 | ルーカス・ツロヴィッチ | FTR | 15 | +4Laps | |
RT | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 11 | +8Laps | |
RT | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 1 | +18Laps | |
RT | 81 | アレックス・ベルナルディ | SUTER | 1 | +18Laps | |
RT | 47 | ポール・クラン | Speed Up | - | ||
RT | 56 | トーマス・グラディンガー | FTR | - | ||
RT | 45 | 長島哲太 | Kalex | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 42 | M.ラミレス | KTM | 18 | 30'26.756 | |
2 | 71 | D.フォッジャ | KTM | 18 | +1.952 | |
3 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() |
18 | +2.118 | |
4 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() |
18 | +2.162 | |
5 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 18 | +5.070 | |
6 | 76 | M.ユルチェンコ | KTM | 18 | +9.856 | |
9 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() |
18 | +10.594 | |
10 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() |
18 | +16.062 | |
11 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() |
18 | +20.474 | |
12 | 31 | 真崎一輝 | ![]() |
18 | +21.023 | |
17 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() |
18 | +36.694 | |
20 | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() |
18 | +1'05.750 | |
21 | 98 | ウォルター・スリス | ![]() |
18 | +1'07.179 | |
23 | 9 | フランシスコ・ゴメス | ![]() |
18 | +1'19.751 | |
24 | 66 | エクトル・ガルソ | ![]() |
18 | +1'19.855 | |
25 | 29 | リヴァン・ルーチェル | TSR Honda | 17 | +1Lap | |
26 | 70 | ルーカス・ウェンデボーン | Robnor-Honda | 17 | +1Lap | |
RT | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() |
17 | +1Lap | |
RT | 13 | ワリド・ソッペ | ![]() |
10 | +8Laps | |
RT | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() |
6 | +12Laps | |
RT | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() |
- | - | |
RT | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() |
- | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() |
18 | 30'39.983 | |
2 | 42 | M.ラミレス | KTM | 18 | +0.449 | |
3 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 18 | +4.543 | |
4 | 76 | M.ユルチェンコ | KTM | 18 | +5.194 | |
5 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() |
18 | +9.437 | |
6 | 23 | R.フェルナンデス | ハスクバーナ | 18 | +10.683 | |
7 | 31 | 真崎一輝 | ![]() |
18 | +10.732 | |
10 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() |
18 | +15.114 | |
12 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() |
18 | +17.571 | |
15 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() |
18 | +21.272 | |
20 | 35 | ナカリン・アティラットプワパット | ![]() |
18 | +50.345 | |
21 | 55 | ヤリ・モンテッラ | ![]() |
18 | +50.506 | |
24 | 18 | アレイクス・ヴィウ | ![]() |
18 | +1'04.262 | |
27 | 66 | エクトル・ガルソ | ![]() |
18 | +1'32.705 | |
28 | 29 | リヴァン・ルーチェル | TSR Honda | 17 | +1Lap | |
RT | 98 | ウォルター・スリス | ![]() |
5 | +13Laps | |
RT | 9 | フランシスコ・ゴメス | ![]() |
5 | +13Laps | |
RT | 70 | ルーカス・ウェンデボーン | Robnor-Honda | 5 | +13Laps | |
RT | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() |
3 | +15Laps | |
RT | 34 | アンディ・イズディハール | ![]() |
- | - | |
RT | 5 | ジャウメ・マシア | ![]() |
- | - | |
RT | 13 | ワリド・ソッペ | ![]() |
- | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 44 | スティーブン・オデンダル | Kalex | 45 |
- | 2 | 89 | アラン・ティーチャー | NTS Tpro | 36 |
- | 3 | 22 | フェデリコ・フリーニ | Kalex | 29 |
- | 4 | 51 | エリック・グラナド | Kalex | 25 |
- | 5 | 18 | シャビ・カルダルス | Kalex | 20 |
- | 6 | 8 | ベルタン・ティボー | Suter | 19 |
- | 7 | 15 | トーマス・シグヴァートセン | H43-Honda | 19 |
- | 8 | 76 | サムエーレ・カバリエリ | Kalex | 13 |
- | 9 | 32 | マックス・エンダーライン | Kalex | 12 |
- | 10 | 36 | ジェイソン・ウリベ | Kalex | 11 |
- | 11 | 96 | ダビド・サンチス | Mir Racing | 11 |
- | 12 | 16 | ガブリエーレ・ルジュ | Tech3 | 11 |
- | 13 | 69 | ルイス・ロッシ | Transfiormers | 10 |
- | 14 | 93 | ラマダン・ロスリ | Kalex | 5 |
- | 15 | 71 | ポントゥス・デューランド | Kalex | 5 |
- | 17 | 87 | レミー・ガードナー | Kalex-Honda | 3 |
- | 18 | 20 | ディマス・プラタマ | Kalex | 1 |
- | 19 | 17 | 山田誓己 | Kalex-Honda | 1 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 42 | M.ラミレス | KTM | 45 |
- | 2 | 32 | 鳥羽海渡 | ![]() | 31 |
- | 3 | 48 | L.デッラ・ポルタ | ハスクバーナ | 27 |
- | 4 | 52 | ジェレミー・アルコバ | ![]() | 27 |
- | 5 | 76 | M.ユルチェンコ | KTM | 23 |
- | 6 | 71 | D.フォッジャ | KTM | 20 |
- | 8 | 33 | 佐々木歩夢 | ![]() | 13 |
- | 9 | 31 | 真崎一輝 | ![]() | 13 |
- | 10 | 21 | アロンソ・ロペス | ![]() | 13 |
- | 14 | 19 | ルフィノ・フロリド | ![]() | 9 |
- | 18 | 44 | トニ・アルボリーノ | ![]() | 1 |
山田誓己(Moto2 15位/リタイア)
「バレンシア・サーキットはテスト走行の回数がとても多く、CEVの開催地の中で、好きなサーキットの一つです。そのため、レースを楽しみにしていました。今年からMoto2クラスに参戦できることになり、しっかり結果を残したいと思っていたのですが、トラブルに見舞われ、思うようなレースができずに終わってしまいました。レース1は満足できる結果ではありませんが、それでも完走できたことで、見えてきた課題がたくさんあります。昨年とは違うチームなので、しっかり話し合って、反省点を改善しながら進んでいきたいです。ライディングの改善にもさらに取り組み、次はトップ争いに加われるようにがんばります」
長島哲太(Moto2 リタイア/欠場)
「今年はチームが変わり、勝てる環境を与えてもらい、優勝しかないと考えていました。いい流れでレースウイークを過ごしていましたし、調子もいいと感じていたのですが。後ろから突っ込まれ、ステップかなにかで腕がえぐられたようで、左手首の上の部分に穴が開いてしまいました。医務室では骨に異常はないと言われ、応急処置をしてもらい帰国。筋肉と腱の損傷と診断されました。左手の薬指が動きにくいので、リハビリとして、手を開いて閉じることを常にしています。次のレースまでには、しっかりケガを治します」