MotoGPマシン「RC213V」の空力技術をフィードバックし、さらにCBR1000RR-Rの開発で培われたノウハウを投入したCBR600RRの車体デザイン。勝つための空力性能と機能美を合わせ持つ外観は、「マス集中フォルム」を基本とし、徹底した空力性能向上を追求したスタイリングとすることで、高い防風性能と俊敏なハンドリングの実現に寄与。さらに、ウイングレットを採用しコーナー進入時や加速旋回における車体安定感の向上を追求している。
MotoGPマシン「RC213V」の空力技術をフィードバックし、さらにCBR1000RR-Rの開発で培われたノウハウを投入したCBR600RRの車体デザイン。勝つための空力性能と機能美を合わせ持つ外観は、「マス集中フォルム」を基本とし、徹底した空力性能向上を追求したスタイリングとすることで、高い防風性能と俊敏なハンドリングの実現に寄与。さらに、ウイングレットを採用しコーナー進入時や加速旋回における車体安定感の向上を追求している。
フューエルタンクシェルターの上面を低くし、レーシングポジションでのライダーのヘルメット位置を下げることで前面投影面積を減少。さらにスクリーン角度を38°に設定し、フロントカウルを構成する各サーフェスを大きなRでつなぐことによりライダーの様々な姿勢に対応した防風性能を確保。またミドルカウル内側のタイヤハウスに導入する空気の流速や圧力の配分、アウトレットの排風効率追求の両面から空力をマネジメントすることによりラジエーターの冷却効率を最大化。リアタイヤ付近まで伸びているロアカウルは、空気を下方に流すことでリアタイヤにダイレクトに当たる空気量を減少。これらの空力マネジメントにより、CD値の低減も追求している。
左:ウイングレットエアフロー
CBR600RRには、効果的にダウンフォースを発生させるウイングレットを採用。さらにウイングレット上下の先端形状により、翼端の渦の発生を抑え、ロールモーメントを低減している。これによりコーナー進入時などにおいて、フロントタイヤの荷重の減少を抑制し、コーナー進入時の安定感の向上に寄与。また、旋回中も継続的に発生するダウンフォースにより、フロントタイヤに掛かる荷重が安定することで高い旋回性能に寄与している。
圧倒的なパワーフィールや力強いトルク感と高いレスポンス、そして常用域での扱いやすさを追求した599cm3・水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジン。高回転化技術や吸排気効率の追求などの高出力化テクノロジーやスロットルバイワイヤシステムなどにより、コントローラブルな特性を実現し、さらに最新の排出ガス規制*にも適合させつつ89kW/14,250rpmの最高出力を達成している。
※ 平成32年(令和2年)排出ガス規制。
排気効率向上を図るために、排気管各部のパイプサイズを最適化し高回転高出力化に寄与。排出ガス浄化にあたり必要となるキャタライザーは、リアサスペンションなど周辺部品の搭載位置や形状を成立させながら環境性能も追求。さらに排気管各部の板厚を適正化することで重量増を最小限に抑えている。
アシスト機能がクラッチレバー操作荷重の軽減に貢献するとともに、スリッパー機能がシフトダウン時に発生するエンジンブレーキによるショックをやわらげるアシスト&スリッパー®クラッチ*を採用。トルクを伝える側と受け取る側双方のアシストカムをアルミダイキャスト製とすることで軽量化に寄与するとともに、双方のカム間のクリアランスを最適化し、クラッチレバーの操作フィーリングを追求している。
*「アシスト&スリッパ―」は株式会社エフ・シー・シーの登録商標です。
緻密な車体コントロールを実現するため、車体姿勢推定システムを搭載。BOSCH製6軸IMU(Inertial Measurement Unit)で、車体の角速度、加速度を検出し、Honda独自のアルゴリズムによる車体姿勢角演算を1秒間に100回というスピードで行い、車体姿勢推定の精度を追求。車体姿勢情報をABS、HSTC(Honda セレクタブル トルク コントロール)と組み合わせることで、走行状況に応じた「操る歓び」を提供する。
スロットルグリップの操作に連動するアクセルポジションセンサーを右側ハンドルスイッチハウジングに内蔵。アクセルポジションセンサー内のリターンスプリングとフリクション発生機構により、従来のケーブル式スロットルの自然な操作フィーリングを再現。違和感のない緻密なスロットル操作を可能としている。
走行状況やライダーの好みに応じた、走行フィーリングが選択可能なライディングモード。パワーセレクター(P)、HSTC(T)、ウイリー挙動制御(W)、セレクタブルエンジンブレーキ(EB)の各制御レベルを、あらかじめ設定された3モードに加え、ユーザー側が組み合わせを任意に設定できる2モードの中から選択可能。この「ライディングモード」は、路面状況の変化などに素早く対応できるよう走行中でも切り替えが可能としている。
左:パワーセレクター出力特性イメージ
ライダーのスロットル操作に対する出力特性を任意に選択できる5段階のパワーセレクター。スロットル開け始めのトラクションが掛かるまでの扱いやすさは各段階とも同じとし、さらに加速する際の出力特性を5段階で設定。6速全てのギアでピーク出力まで引き出せるレベル1から、各ギアでの出力を制御し、加速時の出力、レスポンスを最も穏やかにすることでスロットルのコントロール性をスムーズにしたレベル5までを設定している。
サーキットにおけるコーナーの立ち上がりなどでのアグレッシブなライディングに貢献するHSTC。介入レベルはライダーの好みに応じて9段階の切り替えとOFFが可能。レベル1から9の順に、トルクコントロール介入度が大きくなり車体挙動を穏やかにする設定としている。
クラッチレバーの操作不要で、シフトアップ/ダウンができるクイックシフターを標準装備。オートブリップ機能によりスムーズで素早いシフトチェンジを可能とし、長距離運転でのライダーのストレス低減にも貢献する。
フューエルタンクシェルターの形状は、サーキット走行での機能性を重視し、テストライダーによるサーキット走行テストを重ねたもの。上面高を低い位置に設定することで高速度域でのヘルメットの固定をしやすくし、側面形状は腕の収まりやすさを重視した形状としている。さらに後端の形状をスリムに絞ることでハングオン時のホールド性を向上させ、ライダーとマシンの一体感や、旋回時の操作性を考慮し、操りやすさを追求した形状としている。
イメージCG
アルミツインチューブフレームは、4個のアルミダイキャストパーツから構成されたシンプルな構造。高強度のステアリングヘッドなどにより、高い剛性を確保。またエンジンを重心に近い位置に、そしてフューエルタンクも可能な限り下方にマウントすることで、マスの集中化を追求。さらに重心そのものをニュートラルなレスポンスが得られる位置とし、ライダーの走行感覚とマシンの動きに一体感を生み出す、高次元の操縦フィーリングを獲得している。
フロントサスペンションは、レースユースにおける車体姿勢セッティングの自由度を高めたインナーチューブ径φ41mmのショーワ(Astemo株式会社)製BPF*(ビッグ・ピストン・フロントフォーク)を装備している。
* BPFはAstemo株式会社の登録商標です。
イメージCG
ユニットプロリンクを採用したリアサスペンションはバネ下重量の低減に寄与。10段階のプリロード調整機構は設定を変更し、よりライダーの好みに合わせたセッティングを可能としている。また、排気系のデバイス廃止やリアサスペンションの最適化によりトータル1kgの軽量化を実施し、さらなるマスの集中化を追求。ハンドリングの性能向上に貢献している。
CBR600RR専用の小型・軽量の電子制御方式の油圧ステアリングダンパー、HESD(Honda Electronic Steering Damper)。車速と加速度をセンサーが感知してECUでダンパーの減衰特性を制御することで、低速走行時には軽快な取りまわしを、高速走行時では路面からの外乱を抑え、安心感の高いハンドリングを実現する。
ブレーキシステムは、フロントにラジアルマウント式の対向ピストン4ポットキャリパーとφ310mmのダブルディスク、リアには軽量なシングルポットキャリパーとφ220mmのディスクを採用。また、フロントブレーキには、ラジアルピストンマスターシリンダーを採用し、高いブレーキング効率とコントロール性を追求している。
直進時に加え、コーナリング時のブレーキ操作の安心感を高めるABS。このシステムはIMUから送られた車体姿勢の信号をECUが検知し、ABSモジュレーターを通じてブレーキ圧を制御。サーキット走行などハードなブレーキング時でのリアリフトを抑え、車体挙動とライン取りの安定感の向上に寄与。また、コーナリング中でも車体バンク角に応じ制動力をコントロール。ライダーの意志とシンクロするような自然な操作フィーリングを獲得している。
ブレーキング時に発生するIMUからの加速度信号を、ABSモジュレーター内のECUが演算することで車体挙動を検知し、ブレーキ圧を緻密にコントロール。これにより高い制動性能を発揮しながらリアリフトを抑え、サーキット走行などにおけるハードなブレーキング時の車体挙動を安定させライン取りの精度を向上させる。
IMUの情報からABSモジュレーター内のECUが算出した車体バンク角と、前後車輪速センサーからの車体減速度と前後輪スリップ率から、コーナリング中にブレーキをかけた時の車体バンク角に適した制動性能をABSがコントロール。これにより、コーナリング中の思いがけない状況でブレーキ操作をした場合でもライダーが意図しない車体挙動の発生を抑制し、旋回状態を保ちつつ自然な減速を行え安心感を向上させている。
多くの電子制御システムの状態をライダーに的確に伝えるため、メーターにはフルカラーTFT 液晶メーターを採用。画面情報は走行シチュエーションに応じてストリート、サーキット、メカニックの各モードを設定。加えて、メーター背景を白、黒、カーボン柄、アルミヘアライン柄の4種類から選択可能としている。また、従来はメーター側で行っていた画面操作をハンドル左側のスイッチハウジングに組み込むことで手元操作に変更。また、自動調光式の液晶バックライトにより視認性も追求している。
LED採用のヘッドライトは中央のラムエアダクト吸気口面積を確保しながら、コンパクト化を追求することで前面投影面積の低減を図っている。
前後ウインカーにもLEDを採用し、軽量・コンパクト化を追求している。
* エマージェンシーストップシグナルは急ブレーキをいち早く後続車に伝えるためのシステムです。運転するときは不必要な急ブレーキを避け、安全運転をお願いします。