キャドウェルパーク・サーキットで開催された第9戦は、ラスト3戦でチャンピオンを決める「ザ・ショーダウン」進出をかけた重要な戦いとなりました。今大会は休日の月曜日に決勝レースが行われる英国独特のスケジュール。さらに、豪雨のために中止になっていた第7戦オールトンパークの第2レースを併催する変則スケジュールとなり、日曜日の予選終了後に第7戦の第2レースを実施、月曜に第9戦の決勝2レースが行われました。
3日間を通じて、まずまずの穏やかな天候となったキャドウェルパーク。前戦ブランズハッチで総合首位をキープ、第9戦を待たずにチャンピオン決定戦への進出を決めていたバーン(HM Plant Honda)は、チャンピオン獲得に向けてCBR1000RRを仕上げるためのテスト的意味合いの強い3レースとなりました。
HM Plant Hondaは大会前に当地で2日間のテストを実施。レースウイークに入ってもバーンは、いくつかのテストパーツと、異なるセッティングにトライしました。そのため、フリー、予選ともにセットアップに専念して予選は6番手でした。そして3レースが行われた今大会は、日曜日に行われた第1レース(第7戦第2レース)で3位、月曜日の第2レースで3位、第3レースで4位と安定したスピードを見せました。
この3レースで、チャンピオン決定戦に向けて、安定したマシンを仕上げることに成功。最終戦は、トミー・ヒル(ヤマハ)が2勝2位1回という成績を残したため、「ザ・ショーダウン」は総合首位から総合2番手にポジションを落としての進出になりましたが、チャンピオン決定戦に向けて「準備は整った」と3回目のタイトル獲得に自信を見せました。
バーンとは対照的に、ここまで思うような走りができなかった清成龍一(HM Plant Honda)は、今大会、「ザ・ショーダウン」進出を最大の目標にミスのない戦いに集中しました。しかし、ハーフウエットになった初日のフリー走行では、不安定なコンディションの中で転倒、日曜日の予選もニューパーツを投入したことが裏目に出て16番手と、思うような走りができませんでした。
こうして、不安の中で迎えることになった予選終了後の第1レースは、第7戦の第1レースの結果から15番手という厳しいグリッドから決勝に挑み、闘志あふれるすばらしい追い上げで5位でフィニッシュ。月曜日の第2レースは16番グリッドから思うように追い上げられず9位。第3レースは、総合6位を争う最大のライバル、マイケル・ルター(ドゥカティ)がケガのために欠場、第3レースを7位でフィニッシュすれば総合6位をキープできるために、着実に走って7位でフィニッシュ。厳しい戦いが続いていた今シーズンですが、「ザ・ショーダウン」進出を決めました。
「ザ・ショーダウン」進出を決めた上位6選手には、それぞれ500点が与えられ、それに、表彰台ポイント(1位3点、2位2点、3位1点)が加えられます。総合首位はヒルで529点。2位のバーンは522点。3位には518点のジョン・ホプキンス(スズキ)、4位にはマイケル・ラバティ(ヤマハ)で510点、ジョシュ・ブルックス(スズキ)が509点で5位。そして6位の清成は、508点でラスト3戦7レースのチャンピオン決定戦に挑むことになりました。
昨年も、最終戦で15点差を逆転してタイトルを獲得している清成は、2年連続4回目。バーンは、08年以来、3年ぶり3回目のタイトル獲得に闘志満々。ラスト3戦は、HM Plant Hondaの両選手の走りに大きな注目が集まっています。
シェーン・バーン(3位/3位/4位) 「今回はチームのホーム大会なので、いいリザルトを残すことが目標の1つでしたが、自分はすでにザ・ショーダウン進出を決めていたので、ラスト3戦のチャンピオン決定戦に向けてマシンを仕上げることに焦点をしぼりました。レースウイークを通じて、マシンのいろいろなセットアップを試しました。ニューパーツも使いました。その結果、マシンの状態はすごくよくなったし、たくさんのフィードバックを得ることができました。今大会はヒルが速かったけれど、レースをこなすごとに、その差を縮められました。ラスト3戦の準備はできました。ここからは1レース1レースが勝負になります。タイトルを獲得するために全力を尽くしたいです」
清成龍一(5位/9位/7位) 「前戦ブランズハッチを終えたときに、第9戦は厳しい戦いになると思っていました。とにかく、何人かの選手たちのポイントが詰まっていたので、総合6位をキープするためには、どのレースもミスのできない戦いをしなければなりませんでした。それなのに、フリー走行で転んだり、予選でセッティングが決まらなかったりバタバタした部分もあります。しかし、ザ・ショーダウン進出に向けて、最後は計算通りに走ることができました。今回は表彰台に立つチャンスもあったけれど、それよりもチャンピオン争いに生き残ることが最も大事だったので、無理はしませんでした。正直、いまはホッとしています。残り3戦7レース。逆転チャンピオンを決められるようにがんばりたいです」
レース1
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | M.ラバティ | ヤマハ | 11 | 16:13.225 |
2 | 33 | T.ヒル | ヤマハ | 11 | +0.214 |
3 | 67 | シェーン・バーン | Honda | 10 | +1Lap |
4 | 10 | J.カーカム | スズキ | 10 | +1Lap |
5 | 1 | 清成龍一 | Honda | 10 | +1Lap |
6 | 101 | G.メイソン | カワサキ | 10 | +1Lap |
8 | 60 | ピーター・ヒックマン | Honda | 10 | +1Lap |
9 | 45 | グレン・リチャーズ | Honda | 10 | +1Lap |
11 | 81 | グレーム・ゴウランド | Honda | 10 | +1Lap |
13 | 16 | ジェームス・エリスン | Honda | 10 | +1Lap |
18 | 24 | パトリック・マフ | Honda | 10 | +1Lap |
レース2
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 33 | T.ヒル | ヤマハ | 18 | 26:23.316 |
2 | 7 | M.ラバティ | ヤマハ | 18 | +1.700 |
3 | 67 | シェーン・バーン | Honda | 18 | +3.460 |
4 | 2 | J.ブルックス | スズキ | 18 | +6.067 |
5 | 60 | ピーター・ヒックマン | Honda | 18 | +6.581 |
6 | 10 | J.カーカム | スズキ | 18 | +18.892 |
8 | 81 | グレーム・ゴウランド | Honda | 18 | +24.300 |
9 | 1 | 清成龍一 | Honda | 18 | +24.424 |
11 | 16 | ジェームス・エリスン | Honda | 18 | +33.534 |
13 | 45 | グレン・リチャーズ | Honda | 18 | +36.832 |
16 | 19 | スティーブ・ブロガン | Honda | 18 | +57.517 |
18 | 24 | パトリック・マフ | Honda | 18 | +1:06.134 |
レース3
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 33 | T.ヒル | ヤマハ | 15 | 22:00.965 |
2 | 2 | J.ブルックス | スズキ | 15 | +0.632 |
3 | 7 | M.ラバティ | ヤマハ | 15 | +1.582 |
4 | 67 | シェーン・バーン | Honda | 15 | +2.013 |
5 | 60 | ピーター・ヒックマン | Honda | 15 | +2.664 |
6 | 10 | J.カーカム | スズキ | 15 | +3.622 |
7 | 1 | 清成龍一 | Honda | 15 | +8.039 |
9 | 81 | グレーム・ゴウランド | Honda | 15 | +18.386 |
10 | 16 | ジェームス・エリスン | Honda | 15 | +20.465 |
14 | 45 | グレン・リチャーズ | Honda | 15 | +28.180 |
18 | 24 | パトリック・マフ | Honda | 15 | +52.693 |
DNF | 19 | スティーブ・ブロガン | Honda | 3 | +12Laps |
ライダー
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | T.ヒル | ヤマハ | 529 |
2 | シェーン・バーン | Honda | 522 |
3 | J.ホプキンス | スズキ | 518 |
4 | M.ラバティ | ヤマハ | 510 |
5 | J.ブルックス | スズキ | 509 |
6 | 清成龍一 | Honda | 508 |
10 | ピーター・ヒックマン | Honda | 128 |
16 | ダン・リンフット | Honda | 49 |
17 | グレン・リチャーズ | Honda | 47 |
19 | グレーム・ゴウランド | Honda | 40 |
21 | ジェームス・エリスン | Honda | 22 |
25 | スティーブ・ブロガン | Honda | 8 |
27 | ジェイク・ゼンケ | Honda | 8 |
31 | パトリック・マフ | Honda | 6 |
※上位6名(ザ・ショーダウン進出)のポイントは第9戦までの表彰台獲得回数に応じて算出されています
マニュファクチャラー
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | ヤマハ | 365 |
2 | Honda | 348 |
3 | スズキ | 334 |
4 | カワサキ | 216 |
5 | ドゥカティ | 173 |
6 | BMW | 24 |
7 | アプリリア | 9 |