Round06マレーシアマレーシア

2018年11月3日(土)~4日(日)

会場:セパン・インターナショナル・サーキット

天候:3日/25℃、4日/32℃

路面温度:3日/28℃、4日/45℃

湿度:3日/96%、4日/56%

コンディション:3日/ウエット、4日/ドライ

西村が今季初勝利、チャンピオンはレース2を制したヴァン・エールデが獲得する


西村が今季初勝利を挙げる


セパン・インターナショナル・サーキットで開催されたIATC最終戦マレーシア大会で、西村硝が今季初勝利を挙げました。ライダーズタイトル獲得に向けて現在トップに立つビル・ヴァン・エールデは転倒リタイア、ランキング2位の埜口遥希は4位入賞を果たし、点差を縮めました。自身にとってのホームレースとなったダニエル・シャリルは2位、インドネシア人ライダーのマリオ・アジは3位につけました。

ポールポジションからレース1に挑んだシャリルはホールショットを奪いますが、雨により難コンディションとなったレースでは、最初の数コーナーでトップが何度も入れ替わります。序盤は多くのライダーが数珠つなぎ状となって周回を重ねていましたが、徐々にシャリル、アジ、そして西村が形成するトップグループが後続との差を広げていきました。
その後、アジが一時は先頭に躍り出ますが、路面コンディションに苦戦し、すぐに後続のライダーにポジションを明け渡します。先頭グループとのギャップを縮め始めていたアデナンタ・プトラとアグン・ファクルール含め、大勢のライダーがウエットコンディションの路面に足をとられ、転倒を喫します。タイトル獲得に向けてアドバンテージのあるヴァン・エールデが5番手、その背後に影のようにピタリとつけた埜口は6番手を走行していましたが、突如としてフロントのコントロールを失ったヴァン・エールデが転倒。この結果、埜口にポイント差を縮めるチャンスが巡ってきました。

ヴァン・エールデが転倒したのとほとんど同時に埜口は4番手へ浮上しますが、トップ集団とのギャップはこの時点ではほとんど変わらずでした。しかし、周回を重ねるごとに徐々にペースを上げた埜口は、いよいよトップ集団を射程圏内に入れ始めます。好走を続けた埜口は、最終コーナーの手前でトップを走るシャリルの背後につけますが、ここで西村がシャリルのインを突き、トップに浮上。シャリルも負けじとプッシュしますが、ラインを塞がれて叶わず、西村がトップのままチェッカーフラッグを受けました。

シャリルが2位に入り、ホームで表彰台を獲得。最終ラップではトップを争う2台に遅れを取っていたアジでしたが、チェッカー間近で後すばらしい追い上げを見せ、3位表彰台を獲得しました。埜口は4位に入り貴重な8ポイントを獲得。転倒後、後方から追い上げてきたヴァン・エールデは11位となり、ランキング上でのトップ、2位の順位は変わらずとなりました。

レース序盤、トップ集団とそん色ないペースで周回を重ねていたラッキー・ヘンドリアンシャーは、中盤から失速したものの、トップ5でチェッカーを通過。6位に松山拓磨、7位にポールシッターのタットチャコーン・ブアラシ、8位にワリット・ソングノパクン、9位にアグン・ファクルール、10位にセナ・アギアスが入りました。ヴァン・エールデは11位でチェッカーを受けたものの、ポイントランキング上では貴重なポイント獲得を果たしています。

西村硝(#3)


劇的なレースで勝利を挙げたヴァン・エールデがチャンピオンに輝く


IATCの2018年シーズン最後のレースとなった最終戦マレーシア大会レース2で、勝利を挙げたヴァン・エールデがチャンピオンに輝きました。ブアラシがわずか0.5秒差で2位に。埜口はアクシデント発生の一因となるライディングをしたとみなされてペナルティーを受け、12位となりました。

レース2では、これで6回連続のホールショットを決めたシャリルを先頭に、埜口、ヘンドリアンシャー、インドネシア人ライダーのアジがフロントグループを形成。ヴァン・エールデはわずかに遅れて5番手を単独走行していましたが、徐々に各グループの差は縮まり、レースの大部分で約10台が数珠つなぎ状になってポジションを争う接戦が展開されていきました。

レースでは、タイトルを巡ってし烈な戦いを繰り広げる2人に注目が集まりました。埜口はヴァン・エールデを上回るペースを見せていたものの、ヴァン・エールデには4ポイントのアドバンテージがあり、埜口にとって、少しでも上のポジションでレースを終えることがタイトル獲得の必須条件でした。フロントグループでポジションを争うのはシャリル、ヘンドリアンシャー、埜口、そして西村。ヴァン。エールデはトップグループからは少し離されていたものの、ペースとしてはそん色ありません。

ラップが進んでいくにつれて、仕掛けたのは埜口でした。最終ラップに好位置で突入するべく、シャリルとの一騎打ちに持ち込みましたが、そのわずかに後方ではブアラシをかわしたヴァン・エールデがつけます。この時点では、最終ラップで勝敗が決するイデミツ・アジア・タレント・カップ特有のエンディングが、ここでも見られるかに思えました。

しかし、その直後にトップを争う2台の間でアクシデントが発生します。トップを走行中の埜口がラインを外れて走行してしまい、そのわずかに後ろを走っていたシャリルがそれに接触して転倒。埜口もペースを崩してしまいます。

レース後の調査により、埜口はこのアクシデント発生の一因となる無責任な走行をしたとみなされ、タイムに27秒を加算するペナルティーを科されてしまいます。これは転倒を喫したシャリルにとってのみでなく、タイトルの行方をも左右する重大な出来事となりました。この結果、ペナルティーによりタイムが加算された埜口は、リザルト上は12位フィニッシュとなり、レース2を制したヴァン・エールデのタイトル獲得が決定しました。

後方グリッドから劇的な追い上げを見せたブアラシが2位、ヘンドリアンシャーが3位となり表彰台を獲得。松山が4位、アジが5位、千田俊樹が6位、西村硝が7位、平間光司が8位、山田尚樹が9位、プトラが10位となりました。

最終戦を終え、ヴァン・エールデはオーストラリア人ライダーとして同カテゴリーで初のチャンピオンに輝きました。総合2位に埜口、3位には西村硝がつけました。

IATC マレーシア大会レース2

コメント

アルベルト・プーチ タレント・プロモーション監督
「イデミツ・アジア・タレント・カップでは、シーズンを通して多くのライダーが進化を遂げるカテゴリーです。ヴァン・エールデは一歩ずつではありましたが、着実に進化を続け、ついにチャンピオンを獲得するまでになりました。彼におめでとうと言いたいです。最終レースでのアクシデントは奇妙なものではありましたが、ランキング上で彼がチャンピオンということには変わりありません。それが最も重要なことです。今シーズンの各ライダーたちの戦いぶりには満足しています。来年は新たなシーズンが幕を開け、競争は続いていくのです」

リザルト

レース1

順位 No. ライダー マシン タイム/差
13西村硝日本28'36.443
221ダニエル・シャリルマレーシア+0.238
37マリオ・アジインドネシア+0.849
49埜口遥希日本+5.122
513ラッキー・ヘンドリアンシャーインドネシア+6.818
611松山拓磨日本+15.518
75タットチャコーン・ブアラシタイ+15.558
88ワリット・ソングノパクンタイ+43.820
922アグン・ファクルールインドネシア+45.199
1012セナ・アギアスオーストラリア+59.688
1119ビル・ヴァン・エールデオーストラリア+1'22.522

レース2

順位 No. ライダー マシン タイム/差
119ビル・ヴァン・エールデオーストラリア25'43.944
25タットチャコーン・ブアラシタイ +0.064
313ラッキー・ヘンドリアンシャーインドネシア +0.287
411松山拓磨日本 +0.407
57マリオ・アジインドネシア +0.706
610千田俊樹日本 +0.851
73西村硝日本 +1.202
88平間光司日本 +1.81
914山田尚樹日本 +12.402
1016アデナンタ・プトラインドネシア +12.498
1122アグン・ファクルールインドネシア +13.367
129埜口遥希日本 +26.521
138ワリット・ソングノパクンタイ +37.755
1412セナ・アギアスオーストラリア +40.650
1518トロイ・アルバートフィリピン +40.764

ポイントランキング

順位 No. ライダー 総合ポイント
119ビル・ヴァン・エールデオーストラリア199
29埜口遥希日本174
33西村硝日本150
421ダニエル・シャリルマレーシア147
57マリオ・アジインドネシア123
65タットチャコーン・ブアラシタイ108
711松山拓磨日本101
813ラッキー・ヘンドリアンシャーインドネシア87
922アグン・ファクルールインドネシア75
104アフリザ・ムナンダルインドネシア59
1116アデナンタ・プトラインドネシア59
1210千田俊樹日本56
1323コップチャイ・セイリゥタイ54
14平間光司日本51
158ワリット・ソングノパクンタイ42
1614山田尚樹日本40
1712セナ・アギアスオーストラリア38
1820イブラヒム・パウィマレーシア34
1918トロイ・アルバートフィリピン21
202木内尚汰日本15
2117ニティポン・セインサワンタイ15
2215ベンジャミン・ベイカーオーストラリア8

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