Round02セントルイス
2020年1月11日(土)・決勝
会場 :
ザ・ドーム・アット・アメリカズ・センター
MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権第2戦が、セントルイスで行われました。開幕戦の翌週にカリフォルニアから遠く離れる日程は異例ですが、Team Honda HRCにとってはケン・ロクスンが3年ぶりとなる優勝を果たし、完全復活を誇示するラウンドとなりました。
この週末はアメリカ中西部を低気圧が通過したため、セントルイスでも降雪と氷点下になる寒さに見舞われました。会場のザ・ドーム・アット・アメリカズ・センター(旧称エドワード・ジョーンズ・ドーム)は、セントルイスのダウンタウンにあるコンベンションホールと連結された多目的競技場ですが、屋内はパドックも含めて暖房が行き届いていました。
セントルイスの土質は不純物が少ないキメの細かさが特徴で、ライダーからも常に高い評価を得ています。ジャンプが連なるリズムセクション、立体交差などを取り入れたコースレイアウトは、難易度が高めですがタイム的には差がつきにくいものでした。
開幕戦アナハイムではサスペンションのマッチングが浮き彫りとなりましたが、ロクスンとチームスタッフは早速テストコースで2日間を費やし、足回りのセッティングを修正しました。その成果は今回のセントルイスで明らかになります。
計時予選では、ロクスンが51秒309で4番手、僚友のジャスティン・ブレイトンは51秒922で11番手につけていました。ヒートレースでは、ロクスンがトップ通過。ところがブレイトンは、マシントラブルで予選ヒートをリタイアし、エンジンを載せ換えてラストチャンスに臨みました。実際エンジン交換にかかったのは21分37秒でしたが、Team Honda HRCの組織力によってブレイトンは決勝に進むことができました。
20分+1周のメインレースでは、スタートで前に出たザック・オズボーン(ハスクバーナ)を2周目にかわし、ロクスンが序盤からリーダーとなりました。2番手にジャスティン・バーシア(ヤマハ)が浮上した後も、2~3秒のマージンを保ちながら快走。レース前半は緊迫感がありましたが、時間が消化してハーフウェイポイントを過ぎると、ロクスンの独走は7~8秒差まで広がりました。
24周でチェッカーが振られた瞬間、ロクスンは久々の勝利に歓喜と安堵が入り交じった感情を露わにしました。振り返れば2017年、開幕2連勝と好発進を見せたロクスンが、第3戦アナハイムにおける転倒で戦線離脱。翌年カムバック後も負傷で低迷するなど、アウトドアで行われるAMAプロモトクロスでは勝利を収めたものの、スーパークロスでは3年間優勝から遠ざかっていました。
この久々の優勝により、ロクスンはポイントランキング2位に浮上。今大会8位でフィニッシュしたブレイトンは、9位にランクされています。
ケン・ロクスン(優勝)
「現実とは思えないほどの驚きです。長い間もがき苦しんできた末にやっとつかんだ優勝ですが、自分のモトクロス人生の中で最高の瞬間であることはもちろん、みんなの喜び方も尋常ではありません。今大会は我々が勝つべくして勝った日だと思います。アナハイムではサスペンションが少し硬かったので、テストを重ねてソフトに変更しました。フロントはジャスティン・ブレイトンに似た仕様を採用し、リアショックは昨年の自分のセッティングに近いものに戻しました。今大会ラッキーだったのは、金曜のプレスデーを走る機会があったことで、レース前のややソフトな路面でしたがサスペンションの動きを確認することができました。先週よりもフィーリングが向上したマシンで臨むことができたので、今回は終日好調でした。予選ヒートでもメインレースでも好スタートが決まったし、両レースとも非常に乗れていました。実際のところ、チームとしてはそれほどではないかもしれませんが、メインレースの展開には自分でも驚いています。我々が輝くときが来たのです。優勝するためにはなるべく早く前に出ることだと分かっていましたが、今夜は思い通りにスタートが切れました。早速ザック・オズボーンをかわしてトップに立ってからは、後続との差を広げるためにクリアラップで思いきり飛ばしました。ジャスティン・バーシアが少し接近してきたようなときがありましたが、とにかく自分のハイペースを保つことに集中しました。今回のコースレイアウトは1周が比較的短めだったので、レースがとても長く感じました。フィニッシュジャンプのすぐ先に電光表示タワーがあって、毎周飛びながら残り時間を確認していたのですが、レースが永遠に終わらないのではと思ったほどです。終盤になるとあちこちでミスするようになってきたので、本当にチェッカーを受けるまでは安心できませんでした。ミスをしないように堅実に走りながらも、ハイペースを保つことを心がけました。チーム全員でこの喜びを分かち合うことは確かですが、また来週は次のレースがあります。この優勝によって自信を深めることができたし、この勢いを保ち続けるためのモチベーションにもなっています」
ジャスティン・ブレイトン(8位)
「なんとも大荒れの一日でしたね。ラストチャンスには絶対に行きたくないものですが、今回は少し楽しむことができました。ああいった状況下ではベストを尽くすのみなのですが、実際にラストチャンスでトップになることは悪くありませんでした。さらにメインレース直前にコースを走れたことも…。とはいえラストチャンスいきは、これっきりにしたいものですけどね。スタートに間に合わせてくれたチームスタッフの努力に対しては、非常に誇りに思っています。メインレースに関しては、ゲートピックが不利で外側からスタートした割に、トップ10内のポジションを保ち、望む成績ではないものの8位でフィニッシュしました。不運続きだったことを思えば、悪くないシーズンインです。来週のアナハイム2では、もっとすっきりした形で5位以内に入り、それから表彰台も目指したいと思います」
エリック・キーホー(Team Honda HRC監督)
「ケンとチームにとって最高の夜でした。必要としていたこの1勝によって、彼は自信を深めていくことでしょう。今回の最も大きな収穫は、まだまだ勝てることを本人が再認識できたことです。もちろんこれまでもケンは自信に満ちていましたが、ずっと願っていた1勝を手にしたことによって、自信はもっと強固になったはずです。アナハイムの後、ケンのマシンセッティングに従事してくれたチームスタッフの手柄でもあります。今回のジャスティンに関しては、いいところもありましたが取り組むべきこともありました。トラブルによってラストチャンスに回ることになりましたが、スタッフのプロフェッショナリズムによって救われました。ピンチに直面した際に才能あるスタッフが問題を解決できる…つまり20分間でエンジン交換を完了できたのは、信じられない快挙でした。我々にはまだ課題がありますし、あまり先走りなどしないように心がけるつもりです。いずれにしても今回の勝利は関係者にとって特別なものでした」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 94 | ケン・ロクスン | ![]() | 21'41.091 |
2 | 51 | J.バーシア | ヤマハ | +04.794 |
3 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +08.742 |
4 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +12.713 |
5 | 16 | Z.オズボーン | ハスクバーナ | +15.059 |
6 | 27 | マルコム・スチュワート | ![]() | +19.864 |
8 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | ![]() | +22.780 |
11 | 46 | ジャスティン・ヒル | ![]() | +34.060 |
14 | 64 | ビンス・フリージー | ![]() | +53.722 |
18 | 49 | クリス・ブローズ | ![]() | +1Lap |
21 | 22 | チャド・リード | ![]() | +15Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 51 | J.バーシア | ヤマハ | 49 |
2 | 94 | ケン・ロクスン | ![]() | 43 |
3 | 9 | A.シアンサルーロ | カワサキ | 39 |
4 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 39 |
5 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 35 |
6 | 4 | B.バゲット | KTM | 33 |
8 | 27 | マルコム・スチュワート | ![]() | 31 |
9 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | ![]() | 30 |
12 | 46 | ジャスティン・ヒル | ![]() | 24 |
13 | 64 | ビンス・フリージー | ![]() | 22 |
17 | 49 | クリス・ブローズ | ![]() | 8 |
19 | 22 | チャド・リード | ![]() | 7 |