Round12シアトル
2019年3月23日(土)・決勝
会場 : CenturyLink Field
MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権第12戦が、シアトルのセンチュリーリンク・フィールドで行われました。冬から春にかけて降水量が多い土地柄でありながら、このフットボール用スタジアムには屋根がないため、マディになる確率が高い会場です。したがってコースレイアウトは、雨を想定して極力トリッキーな設定を避ける傾向があります。今年は金曜の午後に小雨がぱらついただけで、土曜日のコースは好天の下、ドライコンディションとなりました。
Team Honda HRCの2人は、いずれも250SX時代にシアトルで優勝経験があります。ケン・ロクスンは2013年(当時KTM)、コール・シーリーは14年(当時Troy Lee Designs Lucas Oil Honda)、ポディウムの中央に立ってフラッシュを浴びました。そのあとは付近の工事などとの兼ね合いで、大会が開催されませんでしたが、17年の再開以降、シアトルでの450SXでは結果を残せていません。ロクスンは負傷により2年連続欠場。シーリーも負傷の影響で一昨年はリタイア、昨年も欠場という巡り合わせでした。それだけにチームが今大会にかける意気込みには、並々ならぬ物がありました。
ロクスンとシーリーは、そろって予選ヒート1に出走しました。ロクスンは3周目からリーダーを務め、トップでフィニッシュ。シーリーは4位で予選通過を果たし、決勝への期待がふくらむヒートレースとなりました。
メインレースでは、ロクスンがオープニングラップ3番手、シーリーが4番手と好スタートを決めました。2周目には各々ポジションアップを果たし、ポディウム圏内に2台のCRF450Rが走る展開になりました。レース中盤、ロクスンはリーダーのマービン・ムスキャン(KTM)とのギャップを0.7秒まで詰めましたが、終盤になると離され2.3秒差の2位でチェッカーを受けました。シーリーはイーライ・トマック(カワサキ)に3位の座を許したあと、ペースを乱し9位でレースを終えました。
なお、優勝したムスキャンは、赤十字フラッグ区間をジャンプで通過したため、7ポイント剥奪のペナルティーを受けました。ロクスンの順位に繰り上げはなく、2位(23ポイント)に変更はありません。シリーズポイントランキングでは、ロクスンは4位につけ、タイトル争いをかけた終盤戦に望みをつないでいます。
ケン・ロクスン(2位)
「今日はいつもより上出来でした。身体はまだ100%ではないし、不調の原因は分かっていないのですが、バイクに対しては感触もよくて終日乗れていました。レースに関しても同様で、とにかく楽しむことを心がけ、実際とても乗れていました。予選ヒートで勝ち、メインレースではスタートがうまく決まりました。マービン・ムスキャンが赤十字フラッグを無視してジャンプしたので、ちょっと差が広がってしまったのですが、彼とはとてもいいレースができました。今回のコースは非常にテクニカルで、特に長くて深いフープスが難所でした。僕はスキミング(タイヤを谷に落とさないように山の頂点をかすめて通過する)を多用してスピードを乗せ、マービンを1秒差まで追い詰めることができたのですが、バランスを崩してあわや転倒ということがあり、それ以降は安全を優先してジャンピング(山を数個ずつ飛び越し谷で加速する)に切り替えました。不調だったこのところの2戦から今回のように本来のレースに戻せたことは、正しい方向に踏み出した大きな一歩だと言えるでしょう。ようやく厄介な荷物を降ろして好成績を残せたので、チームスタッフも全員ハッピーだと思います」
コール・シーリー(9位)
「ようやくトップグループを走ることができるようになりました。率直に言うと今の体調はベストコンディションではありません。昨年ケガで休んでいる間にトレーニングできなかったつけが、今になって回ってきたようです。具体的には心肺機能と筋力が通常のレベルより低く、その影響を受けている感じがします。今でも平日にトレーニングをしていますが、シーズン中に瞬発力や持久力を高めるのは困難なのです。もちろんベストを尽くしていますし、その結果スピードをみせられたと思います。あんなに後方まで下がってしまうなんて、とても受け入れがたいことですが、現状なのです。シーズン中に体力作りと成績向上を強いられるようなことは、これまでに経験したことがありません。例年と違うアプローチをしなければならないのはたいへんですが、がんばって戦い続けます」
エリック・キーホー(Team Honda HRC監督)
「はるかにいい週末でした。ケニーは気分よく乗れていたし、ポジティブな収穫がたくさんありました。まず2人ともスタートが改善されたことが挙げられます。ケニーにとってはスタートの成功が自信につながったようで、予選から決勝まで好調でした。求められているポジションに戻ってきたと言えるでしょう。コールが序盤に見せてくれたスピードは彼本来の実力です。あとは自信を深めることで、フィニッシュまで上位を守れるはずです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 20'50.835 |
2 | 94 | ケン・ロクスン | ![]() | +02.361 |
3 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +07.407 |
4 | 2 | C.ウェブ | KTM | +08.673 |
5 | 17 | J.サバッチー | カワサキ | +17.291 |
6 | 15 | D.ウィルソン | ハスクバーナ | +19.910 |
9 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +36.024 |
13 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | +2Laps |
14 | 41 | ベン・ラメイ | ![]() | +2Laps |
15 | 805 | カーレン・ガードナー | ![]() | +2Laps |
18 | 99 | オースティン・ポリテッリ | ![]() | +3Laps |
22 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | ![]() | DNS |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | C.ウェブ | KTM | 262 |
2 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 248 |
3 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 243 |
4 | 94 | ケン・ロクスン | ![]() | 239 |
5 | 4 | B.バゲット | KTM | 200 |
6 | 15 | D.ウィルソン | ハスクバーナ | 180 |
10 | 14 | コール・シーリー | ![]() | 142 |
11 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | ![]() | 141 |
17 | 42 | ビンス・フリージー | ![]() | 65 |
19 | 41 | ベン・ラメイ | ![]() | 63 |
22 | 805 | カーレン・ガードナー | ![]() | 34 |
24 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | 26 |
26 | 27 | マルコム・スチュワート | ![]() | 17 |
31 | 99 | オースティン・ポリテッリ | ![]() | 8 |
37 | 941 | アンジェロ・ペレグリーニ | ![]() | 4 |
42 | 412 | ジャレド・レッシャー | ![]() | 2 |