Round10デイトナ
2018.03.10(土)・決勝
会場:SX Daytona International Speedway
デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された、Monster Energy AMA Supercross/FIM世界選手権第10戦で、ジャスティン・ブレイトン(Smartop MotoConcepts Honda)が初優勝を飾り、CRF450R勢をポディウムに導きました。また、クリスチャン・クレイグ(GEICO Honda)は4位でフィニッシュし、自己ベストリザルトを更新しました。
クレイグは本来、250SXクラスに参戦するGEICO Hondaの所属ライダーですが、ケン・ロクスンとコール・シーリーの負傷欠場に対応するため、Team Honda HRCに抜てきされました。当初のプランでは第9戦アトランタと今大会のみのスポット参戦でしたが、その後の調整により、最終戦まで450SXクラスに出走することになりました。
20分+1周のメインレースでは、クレイグがホールショットを獲得。背後にはブレイトンがつけ、オープニング早々からHonda勢が1-2態勢を形成します。急角度にレイアウトされた今大会の1コーナーで前に出るためには、有利なグリッドを選ぶことも重要でしたが、クレイグとブレイトンは、メインレース進出をかけて行われた2組の予選ヒートで各々トップ通過を果たし、この条件をクリアしていました。
1周目を終えるところで、トップはクレイグからブレイトンに入れ替わりました。4周目にはマービン・ムスキャン(KTM)に一時、先行されるも、コースアウトによって脱落したことで5周目にはブレイトンがリーダーに返り咲き、2~3秒のビハインドでクレイグがそれを追いかける形になりました。
レース終盤になると、ブレイトンに離されたクレイグが、イーライ・トーマック(カワサキ)とクーパー・ウェブ(ヤマハ)に抜かれ、4番手まで後退。ラスト2周に差しかかるころには、トーマックの接近を察知したブレイトンがスパートをかけます。レースの進行とともに、ギャップが増えたサンド路面で、1周目と同等の1分13秒台を出したブレイトンがトーマックの追撃を振りきって初優勝。クレイグはCRF450Rを駆ってまだ2レース目にして、ベストリザルトを更新する4位入賞を果たしました。
Team Honda HRC(2012年当時:Honda Muscle Milk)に在籍中は優勝経験がなかったブレイトンですが、今回はキャリア初勝利という快挙に加え、450SXにおける最高齢ウイナー記録を塗り替えるなど、話題性に満ちたレースとなりました。シリーズ第10戦まで消化した現時点で、ブレイトンはランキング3位に躍進しています。
ジャスティン・ブレイトン(優勝)
「いろいろな感情が渦巻いていて、どう説明したらいいのか分かりませんが、まず第一に由緒あるデイトナで勝ったということです。ここで好成績を収めることを想像したことなどなく、せいぜいトップ10が妥当だと考えていたほどです。今回はリッキー・カーマイケルによるコース設定がとても素晴らしく、ライン選びにのたくさんのオプションがあったので、いいレースができました。終盤になってイーライ(トーマック)に追い詰められたときは、必死でスパートしました。以前は20周でしたが、今年は結果的には18周でしたか? もし20周だったらどうなっていたかなんて考えたくありませんが、自分としてはこの結果を受け入れるだけです。どっちだったとしても、我々はチェッカーフラッグを目指していたわけですから。アイオワ州で生まれ育ったので、冬は練習できなくて、走れるのは1年のうち半年ぐらいしかありませんでした。2002年に初めてデモインのアリーナクロスに出場したときは高校生でしたが、2018年のデイトナで優勝するなんて夢にも思いませんでした。今は33歳ですが、今度の水曜日(3月14日)には34歳になります。スーパークロスウイナーとして最高齢記録なんだそうで、自分への最高の誕生日プレゼントになりましたね」
クリスチャン・クレイグ(4位)
「この1週間はとても充実したテストができました。先週アトランタでレースを終えたあと、チームスタッフもカリフォルニアへ戻らずフロリダに移動し、総力でマシンテストに取り組んでくれたので、セッティングを進めることができました。練習時間が増えて450SXクラスに慣れるだけでも、非常に意味があることだったと思います。デイトナでのレースにも自信を持って臨むことができました。前日の金曜日にはプレスデイ(全チームが出席する開幕戦以降は、各チームが持ち回りで事前取材を受ける)に参加しました。以前は撮影用の走行セッションがコースのほんの一部で行われていたようですが、今年はフープスを除いたほぼ全周を走ることができたんです。だからコースレイアウトを予習できて、公式予選が始まるとすぐにタイムアタックすることができました。結果(計時予選11位=1分11秒859)には表れていませんが、マシンやライディングについては好感触でした。とにかく楽しむことがすべてで、今夜、レースで見せた走りがその成果です。予選ヒート2ではリードしたあと、3番手まで下がってしまいましたが、前の2人が転倒したため、トップでフィニッシュできました。ラッキーなどと言われるかもしれませんが、他人のミスで勝てたのも、自分がいいポジションにいたからです。この予選ヒートの結果により、ゲートピック順も有利になったので、メインレースには自信を持って臨むことができました。ホールショットが決まって、1周目のコントロールラインまで前を走りましたが、ブレイトンに抜かれてからもベストを尽くし、かなり長い間2番手をキープしました。終盤になって2人のライダーにかわされ、4位でチェッカーを受けました。コースコンディションはとてもタフでしたね。デイトナを走った経験は浅く、今回が2度目なんですが、去年はうまく行かなかったので、今年はなんとしてもリベンジしたいと思っていたんです。先週よりもリザルトは1ポジションアップしたし、表彰台も見えてきました。あとは毎週上がって行くだけですね」
エリック・キーホー|Team Honda HRC監督
「デイトナに備えるためにフロリダで過ごした1週間は、すべてが順調でした。第一の目的は、クリスチャンのマシンテストと練習でしたが、ケンとコールと一緒に過ごすことも大事でした。最近はチームにつらいことが続いていたので、みんなで集まって士気を高めたかったのです。クリスチャンの活躍ぶりは、まさに我々が望んだ通りでした。彼は常に安定していて、スタートすればホールショットを決めてくれました。マシンに対する習熟度も上がっていて、今夜は非常に乗れていたと思います。予選ヒートでの勝利、メインレースでの4位というのは、ものすごい成績です。表彰台に立ちたかった気持ちは分かりますが、堂々と胸を張っていい成績です。そしてジャスティン・ブレイトンとモトコンセプツのチームスタッフ全員に対し、祝福の言葉を贈りたいと思います。Hondaがポディウムに登壇するのはうれしいことですし、彼らは本当にすごいことを成し遂げたのです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | 21'49.985 | |
2 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +04.450 |
3 | 2 | C.ウェブ | ヤマハ | +10.182 |
4 | 32 | クリスチャン・クレイグ | +15.985 | |
5 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +22.342 |
6 | 34 | W.パイク | スズキ | +27.182 |
17 | 55 | ビンス・フリージー | +1Lap | |
20 | 907 | ベン・ラメイ | +2Laps | |
21 | 805 | カーレン・ガードナー | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 223 |
2 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 183 |
3 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | 170 | |
4 | 4 | B.バゲット | KTM | 164 |
5 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 160 |
6 | 34 | W.パイク | スズキ | 153 |
9 | 14 | コール・シーリー | 124 | |
11 | 94 | ケン・ロクスン | 102 | |
14 | 55 | ビンス・フリージー | 87 | |
20 | 907 | ベン・ラメイ | 45 | |
22 | 32 | クリスチャン・クレイグ | 37 | |
23 | 6 | ジェレミー・マーティン | 36 | |
29 | 722 | アダム・エンティクナップ | 12 | |
35 | 12 | ジェイコブ・ワイマー | 5 | |
37 | 981 | オースティン・ポリテッリ | 4 | |
39 | 805 | カーレン・ガードナー | 2 |