ROUND 04
フェニックス
University of Phoenix Stadium
2017.01.28(土)・決勝
カリフォルニア州での3連戦を消化したMONSTER ENERGY AMA SUPERCROSSは、戦いの場をアリゾナ州に移しました。会場のユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアムは、昨年初めてスーパークロスを誘致したばかり。ほかのスタジアムのような伝統はありませんが、これから新しい歴史が作られていくことでしょう。
必要に応じて、天然芝を格納できる仕組みを持つこのスタジアムは、スーパークロスのコースを設営するには好都合で、リトラクタブルルーフ(開閉式の屋根)の下では、今シーズン初めてのベストコンディションが実現しました。立体交差、270度サンドコーナー、そしてスタートから1コーナーまで100メートル以上あるストレートは、同スタジアム特有のフロア面積を利用したもので、フェニックス戦ならではの見どころとなっています。
開幕当初は、障害物となるセクションが比較的易しく作られていましたが、今大会からは連続ジャンプやフープスの難易度が上がっています。具体的にはセクションの高さや角度などが険しいのですが、ドームスタジアムなので降雨の影響がなかったことも、難易度を上げる一因となりました。日中に行われるプラクティスが、今季初めてスケジュール通りに実施されたこともあって、会場には、スーパークロスがようやく始動したような雰囲気が漂っていました。
20分+1周のメインレースでは、イーライ・トーマック(カワサキ)に続いて、ジャスティン・ブレイトン(Honda)、コール・シーリー(Team Honda HRC)が好スタート。2周目にブレイトンをかわしたシーリーは、レース前半はライアン・ダンジー(KTM)の追い上げを受けながらも、2番手の座を守っていました。
レース中盤になると、シーリーはダンジーを相手に抜きつ抜かれつのバトルを展開しましたが、後方で機をうかがっていたチャド・リード(ヤマハ)にすきを突かれ、先行を許してしまいました。レースはトーマックが勝利。リードが2位、ダンジーが3位となりました。シーリーは、表彰台に惜しくも届かず4位でフィニッシュしましたが、テクニカルなハイスピードコースで、CRF450Rを上位に導きました。そしてブレイトンは、今季自己ベストとなる、6位入賞を果たしました。
なお、前戦での転倒により左腕を負傷したケン・ロクスン(Team Honda HRC)は、コロラド州デンバー郊外ベイルにある、ステッドマン・クリニックでドクター・ランディ・バイオラによる手術を受けました。ドクター・バイオラは整形外科の中でもヒジや手首などの権威で、アルペンスキーやスノーボードのアメリカ代表チーム、そのほかNFLチームであるデンバー・ブロンコスの担当医を務めています。
ロクスンは左前腕(とう骨)の複雑骨折およびヒジと手首の脱きゅうと診断されました。先週、複数回に分けて手術が行われ、カムバックへ向けたプログラムを順調にこなしています。Team Honda HRCのテントの下には、メンテナンスが整ったロクスンのマシンが準備されています。
コール・シーリー(4位)
「今夜はいいことがありそうでなかった感じです。土質がとてもトリッキーで、うまく走れたときもあればそうでないときもありました。プラクティスのときから、ヒート、セミファイナル、メインレースに至るまで、刻々と変化する路面状況に翻ろうされました。いいラインを見つけたと思ったらすぐに変化するので、それが今夜の出来に響いたようです。今回は一人で臨んだ最初のレースでした。ケン(ロクスン)とはチームメートになって意気投合してきたのですが、彼がしばらく欠場することになってしまい残念でなりません。クラッシュシーンを見るのはつらいことでした。ケンとはメッセージやビデオチャットでやりとりしています。彼は元気ですよ。僕はメンタル的には今までよりも強くなったように感じています。優勝したいという純粋な気持ちに変わりはなく、次戦のオークランドがどんなレースになるのか楽しみです」
ダン・ベトリー | Team Honda HRC監督
「我々の目標は毎戦ポディウムに登壇することなので、その点では今回のリザルトは少し残念です。でも総合的に見れば、まずまずの結果だったのではないかと思います。今回はジャンプが連続するリズムセクションが多く配置されていましたが、コール(シーリー)は終日、その攻略に手こずっていました。ただしメインレースでは、(ライアン)ダンジーを相手にとてもいいバトルを見せてくれたので、その点では満足しています。シーリーはどんどん新しいマシンになじんできており、そこが重要なポイントです。我々はケン(ロクスン)が負傷したことで少し動揺していたような気がしますが、それでも先週より、まだいくらか立ち直ったと思います。今のチームの状況は、私が知る限り最高の環境にあります。スタッフはお互いに信頼し合い協力を惜しみません。個々がチームにどれほど貢献しているのか、とても説明できないほどです。ケンとコールは以前にも増して絆を深めているようです。今のコールに必要なのは、自信を持ち続けることです。あのレベルのハイペースをキープできるポテンシャルがあるのですから」
リッチ・シモンズ | コール・シーリー担当メカニック
「コール(シーリー)は走るたびに進化していましたが、2つある大きなリズムセクションだけは一貫した安定感がなく、それが表彰台を逃した要因になったようです。トータル的には好ましい部分がいくつかありました。彼はトップを走れるスピードがあることを示してくれたし、あとほんの少し、安定した判断力と自信があれば勝てるでしょう。メインレースの前には、コールも我々も自信がありました。スタートはよかったのですが、リズムセクションで思いきり攻められなかったことが響きましたね」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 21'23.734 |
2 | 22 | C.リード | ヤマハ | +11.817 |
3 | 1 | R.ダンジー | KTM | +16.429 |
4 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +22.876 |
5 | 18 | D.ミルサップス | KTM | +23.268 |
6 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | ![]() | +28.851 |
7 | 4 | B.バゲット | KTM | +30.939 |
8 | 2 | C.ウェブ | ヤマハ | +34.445 |
9 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +38.651 |
10 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +39.926 |
15 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | +1Lap |
16 | 61 | ビンス・フリージー | ![]() | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 89 | |
2 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 74 | |
3 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 69 | |
4 | 14 | コール・シーリー | ![]() | 69 | |
5 | 18 | D.ミルサップス | KTM | 55 | |
6 | 94 | ケン・ロクスン | ![]() | 51 | |
7 | 22 | C.リード | ヤマハ | 49 | |
8 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 47 | |
9 | 33 | J.グラント | カワサキ | 46 | |
10 | 2 | C.ウェブ | ヤマハ | 44 | |
13 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | ![]() | 33 | |
18 | 61 | ビンス・フリージー | ![]() | 20 | |
22 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | 7 | |
25 | 40 | フレデリック・ノレン | ![]() | 2 | |
27 | 722 | アダム・エンティクナップ | ![]() | 1 | |
28 | 80 | カデ・クラソン | ![]() | 1 |