MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSSの第15戦は、4月23日(土)にマサチューセッツ州フォックスボロのジレット・スタジアムで開催されました。フォックスボロでの開催は26年ぶり。表彰台獲得を目標に臨んだTeam Honda HRCですが、結果はトレイ・カナードが5位、コール・シーリーは7位。目標達成はなりませんでしたが、両者がトップ10フィニッシュを果たしたことにチームスタッフは満足しています。
トレイ・カナード
コール・シーリー
カナードは、2回目のタイムアタック予選で全体2番手となる1分01秒813をマーク。4戦ぶりにケガから復帰したシーリーは、1分02秒385で5番手、GEICO Hondaのジャスティン・ボーグルは8番手でした。
予選ヒートレース。1組目に出走したカナードは、オープニングラップ5番手から2周目4番手に順位を上げると、4周目にさらに1つ順位を上げて3番手に浮上。このポジションを保って3番手でチェッカーを受けたカナードは、ファイナルへ進出しました。同組ではボーグルがオープニングラップから2番手を走行、そのまま2番手でフィニッシュし、カナードとともにファイナルへの進出を果たしました。また、ヒートレース2組目に出場したシーリーは、オープニングラップを4番手でクリアするも、中盤にミスで順位を落とし9番手。セミファイナルもDNSとなったシーリーは、ラストチャンスに臨むとオープニングラップ2番手から2周目にトップに浮上してチェッカーを受け、第11戦デトロイト以来となるファイナル出場を果たしました。
トレイ・カナード
コール・シーリー
ファイナル決勝レース。Honda勢ではボーグルが6番手、カナードがボーグルに続く7番手、大きく出遅れたシーリーは18番手でオープニングラップをクリアしました。レース序盤、カナードは5番手に浮上しましたが、前半から周回遅れが出るレース展開となり、後半懸命に表彰台を目指しましたが順位をキープする結果となり、4位と2.6秒差の5位でチェッカーを受けました。ボーグルは6位。一方、ケガで4週間戦列を離れていたシーリーにとって、復帰戦は厳しい内容となりました。ラストチャンスを経由してようやくメインレース進出を果たしたシーリーは、ほぼ最後尾で1コーナーをターン。その後、前半10番手までばん回したシーリーは、後半も確実に順位を上げて、7位でフィニッシュ。この結果、ポイントランキングでシーリーは7位、カナードは8位となっています。
トレイ・カナード
コール・シーリー
また土曜日の競技開始に先立って、カナードとボーグル、RJ・ハンプシャー、マルコム・スチュワートは、ビッグ・セント・チャールズ・モータースポーツで毎年行われるディーラー主催のスーパークロスパーティに出席し、サイン会などを行いました。
過去、AMAスーパークロスがフォックスボロで開催されたのは、1983年、84年、90年の3度。最初の2戦ではデビッド・ベイリー、そして90年にはジャン・ミッシェル・バイルとそのすべてでHondaが優勝しています。
フォックスボロ・スーパークロスは、フォックスネットワークの放送時間に合わせて昼間のスケジュールで開催されました。これはライダーとチームにとって今シーズン2度目のことです。全体のプログラムは通常よりも4時間早く始まり、レースは夜7時に終了しました。
レース当日、モーターサイクル技術大学の卒業生であるシーリーのメカニック、リッチ・シモンズとボーグルのメカニックのグラット・ハッチンソンは、ファクトリーの技術者がどんな一日を送っているかみせるために、地元キャンパスの学生グループの訪問を受けました。この日の夕方、シモンズには、450SXクラスセミファイナル2組目の1コーナーでクラッシュしたシーリーのマシンを短時間に修復してみせたことに対して、MMI最高技術賞の1000ドルが授与されました。
トレイ・カナード
コール・シーリー
シーリーとカナードは、4月28日(木)にニュージャージー州のイーストラザフォードで行われる記者会見に出席するために、急いで移動。次のレースは4月30日(土)に行われます。
ほとんどのファンが、すでにレースにおけるスタートの重要性を理解されていると思います。タイムアタック予選、ヒートレースを通じて、有利なゲートを選択するところから戦いは始まります。それくらいゲートの良し悪しが結果を大きく左右します。
「いつもトップ3か4番目にいれたらいいですね。ゲートの選択肢が多ければ、その分有利になります。メインイベントでいろんなオプションを持つことができるので、ヒートレースで勝つこと、あるいは2番手に入ることが重要です。この順位次第で、選択肢が少なくもなってしまうわけですから」とカナードは説明します。
ゲート選びに関してカナードは、イン側かアウト側のどちらがいいか見極めるためには、非常に重要なポイントがあると言います。
「ゲートを見るときに、最初に行うのはその先に"わだち"があるかどうかの確認です。多くの場合、地面がえぐれていたり、角が立っていたりします。そうするとホイールが跳ね上がったり、振られたりします。次にゲート手前のわだちです。スムースで真っ直ぐ、しかもできるだけトラクションがかかる土の固さが理想です。皆さんもメカニックがゲートの土を蹴ったり踏み固めたりするのを見たことがあると思います。あれは、わだちの内側からフレッシュな土を取り出して底に敷くことで、よりトラクションがかかるようにしているのです」
トレイ・カナード(5位)
「絶対に表彰台を獲得できると思っていたので、上がれなかったことに本当にがっかりしています。チームがすばらしい仕事をしてくれて、マシンは信じられないくらい、いい仕上がりでした。自分のライディングも悪くなかったと思います。だから来週は、今まで以上の結果を出して、みんなの前に立つ必要があると思っています。今回、完ぺきとは言えませんが、スタートもよくなりました。あとは自分が上手く乗りきるだけです。言葉にするのは簡単ですが、それ以外に自分がやるべきことはありません」
コール・シーリー(7位)
「復帰初戦ということもあり、かなり大変なレースでした。練習のときはかなりよかったと思います。すごくテクニカルでタイムは遅かったですが、楽しめました。タイムアタック予選は5番手。でもここから急降下でしたね。ヒートレースではコースアウトして順位を落とし、セミファイナルを走ることになったのですが、今度は1コーナーでだれかのステップが自分のフロントホイールに入ってスポークが折れてしまい、リタイアとなりました。数週間前に背中をケガして、今回は肩と首から着地したので、直後はラストチャンスに出るべきか迷いました。でも多少の痛みはありましたが、プッシュして切り抜けることができました。気合をみせたかったのにリタイアすることになってしまいました。でも、おかげでアドレナリンが出て走りきることができたのです。ラストチャンスを走るのはいつだって神経質になりますが、結果的にメインレースに進むことができました。メインレースではゲートが悪くて、もちろんいいスタートが切れるという期待もしていませんでしたが、案の定、最後尾。とにかく前だけを見て追い上げを開始しました。走り自体は悪くなかったと思います。すごく大変な一日でしたが、なんとかそこそこのポジションを得ることができました」
ダン・ベトリー | Team Honda HRC監督
「表彰台獲得が目標でしたので、今回の結果を素直に喜ぶことはできませんが、ライダーががんばってこそのトップ10フィニッシュだったと思います。トレイは一日調子がよかったのに、今回も最高のスタートとはなりませんでした。5番手に浮上したとき、トップからはかなり離れていて、守りの走りになってしまいました。コールは非常に気持ちのこもった走りをみせてくれました。復帰戦で、しかもセミファイナルでクラッシュし、再び走れるかどうかわかりませんでした。しかし彼はラストチャンスを切り抜け、メインでもしっかりと結果を残してくれました」
ブレント・プレスネル | トレイ・カナード担当メカニック
「今夜は決して悪くなかったと思います。メインイベントでは先週ほど乗れている感覚やスピードがなくて、リードできるペースではありませんでした。残り5周くらいでリズムを掴み始めて、数周いいラップを刻んで(ジェイソン)アンダーソンとの差を詰めたのですが、ちょっと間に合いませんでしたね。スタートも完ぺきではありませんでした。でも理由があったと思います。ラインの先にキラージャンプがあって、ストレートの中ほどで集団に先を越されてしまったようにみえました。残りのレースはまだ少なくありません。上手くいけば、私たちの目標は必ず達成できると信じています」
リッチ・シモンズ | コール・シーリー担当メカニック
「コールのカムバックと再びレースをするこの週末を、我々は心待ちにしていました。彼がトラックに戻って来るだけで十分で、表彰台に上がるどころか5位以内のリザルトさえ全く期待してはいませんでした。全体的に大変な一日でしたね。でも、それらのことを思うと、7位フィニッシュというのはすごい結果です。走りもよかったと思います。ただ、ここに来るまでには長い道のりが必要でした。ヒートレースはタイムアタック予選と同じポジションでしたが、ミスがあって順位を落としてしまいました。それでセミファイナルに臨むことになったのですが、セミファイナルでは1コーナーで、ほかのライダーと絡んで転倒し、フロントホイールが壊れてしまいました。それでラストチャンスに行くことになりました。勝ってファイナルに進めたのですが、1番外側の遠いゲートしか選べませんでした。1コーナーはほぼ最後尾でした。そこから7位まで挽回できたんですから、本当によかったです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 19'35.153 |
2 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +09.022 |
3 | 1 | R.ダンジー | KTM | +25.054 |
4 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +29.422 |
5 | 41 | トレイ・カナード | ![]() | +32.048 |
6 | 19 | ジャスティン・ボーグル | ![]() | +48.879 |
7 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +51.406 |
8 | 28 | W.パイク | ヤマハ | +52.540 |
9 | 22 | C.リード | ヤマハ | +55.451 |
10 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +1Lap |
13 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | +1Lap |
16 | 55 | ビンス・フリージー | ![]() | +2Laps |
17 | 761 | ケイド・クレイソン | ![]() | +2Laps |
20 | 314 | アレックス・レイ | ![]() | +5Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 348 |
- | 2 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 305 |
- | 3 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 278 |
- | 4 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 248 |
- | 5 | 22 | C.リード | ヤマハ | 220 |
- | 6 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 199 |
- | 7 | 14 | コール・シーリー | Honda | 187 |
- | 8 | 41 | トレイ・カナード | Honda | 170 |
- | 9 | 10 | J.ブレイトン | KTM | 170 |
- | 10 | 28 | W.パイク | ヤマハ | 115 |
- | 12 | 800 | マイク・アレッシ | Honda | 113 |
- | 13 | 19 | ジャスティン・ボーグル | Honda | 109 |
- | 16 | 55 | ビンス・フリージー | Honda | 81 |
- | 28 | 761 | ケイド・クレイソン | Honda | 15 |
- | 34 | 314 | アレックス・レイ | Honda | 5 |
- | 35 | 801 | ジェフ・アレッシ | Honda | 5 |
- | 39 | 11 | カイル・チゾム | Honda | 2 |
- | 40 | 291 | カイル・ホワイト | Honda | 1 |
- | 42 | 722 | アダム・エンティクナップ | Honda | 1 |