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チームマネージャーと優勝の喜びを分かち合うカーマイケル |
「僕の目標はチャンピオンになることだ。僕にはそれができると思う。でも、レースでは何が起こるか分からないから、アクシデントに巻き込まれないようにして、自分のレースに専念するつもりだ。とにかく最終戦だから、レースを楽しみたいね」
5月3日にラスベガスのサムボイドスタジアムで行われたAMAスーパークロス・シリーズ最終戦を目前にして、Hondaのエース、リッキー・カーマイケル(AMERICAN HONDA)はこう語った。
AMAスーパークロス250ccクラスのチャンピオン争いが最終戦までもつれ込んだのは1997年以来のこと。それでもカーマイケルは冷静な表情で最大のライバル、チャド・リード(ヤマハ)との決戦を迎えようとしていた。
第15戦を終えた時点でカーマイケルとリードのポイント差は10点。たとえ最終戦でリードが優勝してもカーマイケルは5位以内に入ればチャンピオンを獲得できることになっていた。
1月にスーパークロス・シリーズが開幕して以来、4位以下になっていないカーマイケルにしてみれば5位以内でフィニッシュすることはさほど難しいことではない。このため3年連続タイトル獲得は確実なものと映っていた。
しかし、それでもカーマイケルはファンやメディアに対しては「レースでは何が起こるか分からない」と言い続けたのだった。
そんなカーマイケルの言葉が現実となったのは125cc東部/西部リーグ対決戦でのことだった。125cc西部リーグのチャンピオン、ジェームス・スチュワート(カワサキ)がホールショットを奪い、そのままスチュワートの独走レースになるかと思われたが、その直後に転倒。結局、アンドリュー・ショート(スズキ)が今季初優勝を飾ったのだった。
予選のヒートレースで楽勝したあと、125ccレースを観戦していたカーマイケルは、自分の言葉が現実となった125ccクラスのレース展開を見て、さらに身を引き締めたのである。
250cc決勝レースがスタートし、ホールショットを決めたのはリードだった。その後にCRF450Rに乗るラリー・ウォード(MotoXXX Yoshimura)が続き、カーマイケルは4番手で1コーナーに進入した。
リスクを犯さず、1周目の混乱が収まるのを待っていたカーマイケルは、2周目を終えた段階で2位に上がり、そのままの順位をキープすることに専念したのだった。
カーマイケルのチームメイト、エルネスト・フォンセカも、もう御馴染みとなった3位のポジションでフィニッシュした。第10戦デイトナ大会で11位に終わって以来、フォンセカは6戦連続で3位表彰台を決め、ランキングでもカーマイケルとリードに続いて3位に入ったのである。
表彰台の上で#1プレートを手にして満面の笑みを浮かべたカーマイケルはこう語った。
「チャド(リード)は本当に強敵だった。今年は素晴らしい走りをしていたよ。チャンピオンを取れたのはホンダのマシンが良かったのと、スタッフが頑張ってくれたおかげだ」
こうして‘03年AMAスーパークロス・シリーズはカーマイケルの250ccチャンピオン獲得とフォンセカのランキング3位という素晴らしい結果で幕を閉じたわけだが、すぐに来週からAMAモトクロス選手権シリーズが開幕する。
ちなみにアウトドアのモトクロスではデビュー以来無敵を誇るカーマイケルは、昨年CR250Rに乗って24勝も挙げているのだ。
●リッキー・カーマイケル (250cc 2位)
今日は我慢のレースだった。もちろん今日、優勝でチャンピオンを決めることができれば最高だったけど、一番の目的を達成することに専念した。シーズン序盤にたくさん優勝し、できるだけポイント・アドバンテージをつけて、あとはそのアドバンテージを守っていくというのが今年の作戦だった。来週からモトクロスが始まるけど、モトクロスはスーパークロスとはまったく別物だよ。僕の周りにいる人たちは、僕がスーパークロスよりモトクロスの方を得意としていることを知っている。今からモトクロス・シーズンの開幕が待ちきれないね。
●エルネスト・フォンセカ (250cc 3位)
僕がランキング3位になれたことも嬉しいけど、リッキーがチャンピオンを取って、Honda陣営に#1プレートがとどまったことも本当に嬉しいよ。
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