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難コースでの勝利でカーマイケルはポイント・リーダーの座に |
'03年AMAスーパークロス第3戦は第1戦同様にカリフォルニア州アナハイムのエジソン・フィールドで開催された。しかし、同じアナハイムでも、今回のコースは開幕戦とはまったく異なっていた。滑りやすいコース・コンディションだったため、レースの勝敗はスタートで決まるといっても過言ではなかったのである。
CR250Rに乗るチームHondaのリッキー・カーマイケルは、作戦通りスタートから飛び出し、1コーナーの出口でトップに立ったあと、一度も首位の座を譲らず、今季初優勝を飾った。カーマイケルは、これでポイント・リーダーにも浮上したのである。
プラクティス終了後、コース・コンディションに関してはさまざまな意見が出された。チームHondaのマネージャー、エリック・キーホーは次のように語った。「滑りやすいコースなので、難しいレースになるだろう。ラインが一本になってしまい、追い越しが難しくなるからだ」。
CR125Rを駆って125ccレースに出場するクリス・ゴスラーも「スリッピーだけど、コース・レイアウトは簡単だね。誰でも速く走れるコースだよ」と語っていた。つまりレースの作戦としては、ホールショットを奪い、あとはただひたすら全開で逃げ切るという作戦しか存在しなかったのである。
250ccレースがスタートし、カーマイケルは作戦通り抜群のスタートを切ってトップに立った。かたやマイケル・ラロッコ(FACTORY
CONNECTION HONDA)の方はスタートで失敗した。しかし、その後のラロッコのダッシュは見事だった。1コーナーで信じられないようなラインを通ったラロッコは、一気に10名以上のライダーを抜き去ると、2コーナーでは6位に上がっていた。
ラロッコはさらに順位を上げて4位に浮上したが、その後、10周の間、順位に変動はなかった。コースのレイアウト上、各ライダーは一定のスピードで周回を重ねていくことになったのである。
とはいうものの、レースが心理戦で厳しいものであったことに変わりはない。カーマイケルはサインボードで後続ライダーとの差を確認しながらトップを独走していた。レース後、チーム・マネージャーのキーホーはカーマイケルの戦い方についてこう語った。「今日のリッキーは圧倒的に強かった。後続ライダーとの差を確認して、常に4−5秒の差を保ってトップをキープしたんだ」。
レースも後半に入り、それまで4番手につけていたラロッコが猛チャージを開始した。そのときの様子についてキーホーは言う。「マイクは本当に強靭なライダーだ。他のライダーにとっては、ラスト10周の時点で後方からマイクが追い上げてきたら恐怖だろうね。レース終盤の強さに関してマイクは定評があるからね」。
トップを独走するカーマイケルの後方では、ラロッコがエズラ・ラスク(カワサキ)やセバスチャン・トルテリ(スズキ)と2位争いを繰り広げていた。終盤まで他の二人にプレッシャーをかけ続けたラロッコは、18周目に一気にこの二人を抜き去り、優勝したカーマイケルに続いて2位でチェッカーフラッグを受けた。ホンダ・ライダーによるブリリアントな1−2フィニッシュが達成されたのである。
チームHondaのエルネスト・フォンセカは15周目に激しく転倒し、近くの病院に担ぎ込まれたが、レントゲン撮影の結果、背骨や首に異常は発見されなかった。腰の打撲ですんだフォンセカは、レース後、目の周りに黒あざを残した状態で再びスタジアムに姿を現したのである。また、ラロッコのチームメイト、マイケル・バーンは7位でフィニッシュし、貴重なポイントを稼いだ。
125ccレースでは前年度のチャンピオン、トラビス・プレストン(FACTORY CONNECTION HONDA)が前を行くライダーにブロックさせて苦戦し、6位に終わった。プレストンのチームメイト、ゴスラーの方は4位でフィニッシュしている。
●リッキー・カーマイケル (250cc 優勝)
序盤からトップに出るという作戦だった。その後は楽なペースで走れた。メカニックの出すサインボードで後続ライダーとの差を確認して、一定のアドバンテージを保つようにしたんだ。やっと今季初優勝することができて本当に嬉しいよ。過去2戦はついていなかったからね。でもそれもレースさ。今日は不運に出くわさないように最初から飛び出したから、すべてがうまくいったんだ。
●マイク・ラロッコ (250cc 2位)
今日はすごく調子が良かったから、4位では終わりたくなかった。絶対に表彰台に上がろうと思っていたんだ。前を行く二人を抜く自信があったから、背後につけてプレッシャーをかけ続けた。ライバルがミスするのを待っていたんだよ。コースが滑りやすかったから、あまりアグレッシブになりすぎると、ミスを犯したり、相手にぶつかったりしてしまうので慎重に追い越しをかけたんだ。時間が十分にあることは分かっていたしね。
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