“BULLDOG STYLE”のルーツ、
ホンダ シティ。
デートのマストアイテムとして、クルマが若者カルチャーのひとつだった1980年代。一大ブームを巻き起こす一台が1981年11月に発売された。トールボーイといわれた背の高いスタイリングは、当時主流のセダンやハッチバックとは一線を画す、斬新なデザインで多くの若者の心をつかんだ。
1980年代、
“ブルドッグ”の愛称で
親しまれたクルマがあった。

デートのマストアイテムとして、クルマが若者カルチャーのひとつだった1980年代。一大ブームを巻き起こす一台が1981年11月に発売された。トールボーイといわれた背の高いスタイリングは、当時主流のセダンやハッチバックとは一線を画す、斬新なデザインで多くの若者の心をつかんだ。

シティの魅力は、その斬新なデザインだけではない。シティ搭載用に同時開発された50ccの原付バイク、モトコンポもそのひとつ。クルマにバイクを積んで目的地へ。その先は、バイクで自由に移動するという、カーライフの新しい楽しみ方を提案した。
キャッチコピーは「シティは、ニュースにあふれている」。イギリスのネオ・スカバンド“マッドネス”を起用。彼らの楽曲に合わせて、メンバーが踊る“ムカデダンス”が話題を集めた。




たちまち人気を得たシティは、Hondaの最新技術を満載したシティ・ターボを1982年9月に発売。翌年10月には、その性能にさらに磨きをかけたシティ・ターボIIを発売。超ワイドトレッドのボディーに、ダイナミック・フェンダー、ビッグパワーバルジなどの力強い走りをイメージさせるデザインは、大地に足を踏ん張り、今まさに走り出さんと身構えるブルドッグを彷彿とさせることから、“ブルドッグ”の愛称が与えられた。
一切の飾りを排し、機能を追求して生まれたダイナミック・フェンダー。ワイドなタイヤを包み込むように、左右に張り出したフォルムは、精悍そのもの。

もうひとつ特徴的なのが、ビッグパワーバルジ。空冷式インタークーラーやエアクリーナーなどを包むその姿は、まさに大きく盛り上がった筋肉そのもの。ひと目で、シティ・ターボIIのパワーが伝わってくるデザインになっている。

シティ・ターボIIが誕生した1983年は、Hondaが15年ぶりにF1®に復帰した年。この年から始まる挑戦は1992年まで続き、日本では1980年代後半〜90年代前半にかけて一代ブームが起こった。シティ・ターボIIに搭載された、空冷式インタークーラーは、HondaF1®マシンにも搭載されている技術だった。シティ・ターボに搭載されたハイパーターボエンジンの排気量はそのままで、出力・トルクをアップするために採用されたのが、空冷式インタークーラーだ。これによって、より多くの燃料と空気をシリンダーに送り燃焼効率を上げることで、シティ・ターボIIでは無鉛ガソリン車で当時世界最高の過給圧0.85kg/cm2を達成。1.2Lエンジンから最高出力110馬力、最大トルク16.3kg-mというパワーを引き出した。

超ホットハッチとして若者を虜にした、シティ・ターボII。その熱狂ぶりを物語るのが『ブルドッグレース』と呼ばれるシティ・ターボIIのワンメイクレースだ。舞台となったのは、日本のモータースポーツの聖地といわれる鈴鹿サーキット。1984年3月に開催された全日本F2選手権(現スーパーフォーミュラ)の前座レースとしてスタートした。その後も人気を集め、1/1タカラチョロQ号の参戦でも話題になった。
シティ同様、シティ・ターボIIもテレビCMが話題になった。CMでは、まるで鉄の鎧をまとったかのようなブルドッグのキャラクターが登場。このキャラクターデザインを手がけたのが、国内外から高い評価を得たアニメ映画『AKIRA』発表前の、大友克洋氏だった。
めざしたのは、
心から楽しめるEV。

2025年のジャパンモビリティショーで出展されたSuper-ONE Prototypeが、間もなく量産車としてデビューする。クルマ好きからはシティ・ターボIIの再来と囁かれ、SNSでも話題になっている一台だ。その要因のひとつは、見た目のデザインにある。ロー&ワイドスタンスを際立たせるブリスターフェンダーは、シティ・ターボIIのダイナミック・フェンダーを思わせる。もうひとつはHondaが考えるFUNなEVというSuper-ONEの位置付けにある。シティ・ターボIIもHondaの小型でFUNなクルマという考えから生まれた。まさにボディー&ソウルの両面でシティ・ターボIIのDNAを継承したニューモデルといえる。

Super-ONEのデザインコンセプトは「キモチタカブルメイカイ エクステリア」。それをカタチにするためにデザイナーが最初にラフスケッチで描いたのは、四角く横に張り出したフェンダーが特徴的なシティ・ターボIIを彷彿とさせるフォルムだった。しかし、それは新しさを感じるまでには至らなった。EVということを考えれば、当然のことながら新しさも必要だ。そこで、シティ・ターボIIを知る50代の世代と、その子どもである20歳前後の若い世代の両方に共感されるデザインを追求していった。

※本文はSuper-ONEのデザイナーインタビューの内容を再編集しています。
インタビュー記事はコチラ
懐かしさと新しさを追求した結果生まれた、特徴的なデザインのひとつが、ブリスターフェンダーだ。足回りのワイドトレッド化に合わせて、バンパーコーナーの張りや下部の絞り量をバランスよく構成し、ワイド&ローなグッドスタンスを表現している。

※本文はSuper-ONEのデザイナーインタビューの内容を再編集しています。
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HondaのFUNと
シティ・ターボIIの
DNAを、さらにBOOST!

クルマ好きの間で、シティ・ターボIIの再来と話題のSuper-ONE。そのFUNを、シティ・ターボIIらしさを、さらにBOOSTさせたのが、BULLDOG STYLEだ。LEDフォグライト(バイカラー)、デカール BULLDOG、テールゲートスポイラー、ブラックエンブレムが、BULLDOG STYLEを彩る主なアイテム。果たして、BULLDOG STYLEはどのようにして生まれたのか?

※本ページ以降の文章は、アクセサリー開発者へのインタビューを元に作成しています。
開発チームによれば、当初は「何から手を付けるべきか分からない」という戸惑いがあったという。Super-ONEがすでにFUNの塊であり、さらにEVであることから、アクセサリーによってどこまでFUNを広げられるのか、確信が持てずにいたのだ。そこでヒントを求めて、シティやシティ・ターボIIのアクセサリーカタログをひもといてみた。そこに並ぶアイテムは、どれも遊びゴコロにあふれ、当時の開発陣が自由な発想で、そして心から楽しみながらモノづくりに向き合っていたことが伝わってきた。その瞬間、開発チームは気づかされた。悩み続けるのではなく、自分たちが楽しんで造ることこそが大切なのだと。そうすれば、お客様にも新しいモノを手にする高揚感を届けられるはずだと。 “REIWA BULLDOG”というコンセプトのもと、開発は一気に軌道に乗っていく。まずはアイデアをできる限り広げていくことからスタート。その後、ターゲットニーズなどと照らし合わせ、アイテムを丁寧に絞り込んでいった。そしてBULLDOG STYLEとして形になったのが、ここに紹介する主な4つのアイテムである。
BULLDOG STYLEをフロントから見た時、シティ・ターボIIを彷彿とさせる存在として目を引くのがLEDフォグライト(バイカラー)だ。シティ・ターボIIのフロントにも、イエローフォグライトが力強く配され、その個性を際立たせていた。1980年代のクルマのカタログを見ると、イエローフォグライトが広く採用されていたことが分かる。機能性に加え、フロントまわりに存在感を与える要素として、多くのモデルに取り入れられていた。こうした背景を踏まえ、BULLDOG STYLEにもフォグライトが採用された。当初は、シティ・ターボIIへのオマージュとして四角いデザインが検討されたが、Super-ONEのフロントフェイスにはめると、しっくりこない。そこで発想を転換し、形状は丸型に。さらに、イエローとクリアを切り替えられるバイカラー仕様とした。単に形をなぞるのではなく、シティ・ターボIIのヘリテージを象徴するイエローを継承しながら、EVのSuper-ONEにふさわしい現代性をクリアで表現する——。そんな考えのもとで生まれたアイテムである。
フロント、サイド、リアの3カ所にレイアウトされたデカール BULLDOGは、シティ・ターボⅡのヘリテージを最も色濃く映し出すアイテムのひとつ。なかでも開発チームがこだわったのが、サイドデカールの配置だ。2ドアボディーのシティ・ターボⅡに対し、Super-ONEは4ドア。どこまで同じバランスと印象で見せられるかが大きなテーマとなった。当初は、シティ・ターボⅡ同様にリアフェンダー寄りの位置に配置。しかし、フロントドアとリアドアを跨ぐ形となり、視覚的なまとまりに欠けた。そこでフロントドア側へ配置するとシティ・ターボII同様、デカール中央付近にドライバーが位置する構図が生まれた。このバランスこそがBULLDOGの世界観を自然に、そして力強く表現できると判断し、この位置に決まった。デカール文字が「BULLDOG」に決まるまでには、有力な対立候補があった。それが「TURBO Ⅲ」。当初は「BULLDOG」で固まるかに思われたが、いざ開発チーム内で決を取ると、意見は真っ二つに分かれた。議論を重ねた末、選ばれたのは多くのお客様に親しまれたシティ・ターボⅡの愛称「BULLDOG」だった。その背景には、新たに誕生するSuper-ONEもまた、お客様にとって心から楽しめる――そんな“FUNな存在”であってほしいという想いがある。


BULLDOG STYLEの存在感を際立たせているのが、テールゲートスポイラー。大胆な造形が生まれた背景には、ボディーに対して強い張り出しを持つSuper-ONEのデザイン思想がある。フェンダーをはじめとする各部位はボディーになじませ、全体の調和を図るのがセオリー。しかしSuper-ONEは、あえてストレートな面構成とシャープなエッジを強調し、力強い個性を表現している。その中で、テールゲートスポイラーを埋もれない存在にするためには、Super-ONE同様にストレートで大胆な表現が求められた。その起点となったのが、デザインコンペである。クルマ好きな20代女性デザイナーが描いたスケッチは、直線一辺倒ではない、特徴的なM字型フォルムのテールゲートスポイラーだった。形状以上に、伸びやかでエネルギーに満ちたそのスケッチが、開発チームの心を動かした。このアイデアをベースに、最終的な造形へと昇華させたのが、長年「Modulo」を手がけてきた60代のデザイナーだ。シティ・ターボIIを知るベテランと、その子ども世代にあたる若手。2世代の感性が交差し、力強く存在を主張するテールゲートスポイラーが生まれた。
左テールランプの右下横に、さりげなくレイアウトされた車名ロゴのブラックエンブレム。BULLDOG STYLEでは、あえて立体感のあるバッジタイプを採用。シティ・ターボIIがデビューした時代のクルマづくりを意識した結果だった。開発チームが強くこだわったのは、その配置。Super-ONEのどのボディーカラーを選んでもエンブレムが美しく映え、全体の印象を損なわないことが求められた。また、ボディー形状の中で最もバランスよく見え、さりげなく個性を主張できる位置であることも重要なポイントだった。これらの条件を踏まえ、検証と検討を重ねた結果、左テールランプの右下横というポジションに決めた。主張しすぎることなく、しかし確かに目に留まる。その絶妙な距離感が、BULLDOG STYLEの世界観と心地よく呼応している。
