Honda 純正アクセサリー

Honda ACCESS

DEVELOPERS 開発者が注いだ想いDEVELOPERS 開発者が注いだ想い

普遍的な造形を取り入れ、
新しい価値観と
所有する喜びに満ちた
スポーツカーをつくりたかった。

株式会社 ホンダアクセス
商品企画部
S660 Neo Classic デザイン担当

山田 真司

「社内からアイデアを募って、東京オートサロンにコンセプトカーを出そう」。そんな声を掲げて、2015年の夏、社内プロジェクトが立ち上がりました。デザイナーだけではなく、営業部門など、業務領域を超えてあらゆる従業員が参加できる、社内啓発の取り組みです。スケッチと説明を書いたアイデアシートを社内ネットで共有し、「これは面白い、つくってみたい」と思ったものに一人ひとりが投票するというもので、全部で100以上もアイデアが集まりました。一次投票でぐっと数が絞られ、改めてプレゼンテーションをする場が与えられ、再度の投票で選ばれた2台のうちのひとつが「S660 Neo Classic」でした。

制作が決まってからは、私と、このプロジェクトを立ち上げたモデラー、ふたりの共同作業です。スケッチを立体に起こすのですが、賛同してくれた他部門のメンバーも含めて意見交換会を何度か開き、そこで得たアドバイスも参考にしながら、つくりあげていきました。S660の純正用品パーツを開発するために使っていた1/4スケールのクレイモデルがありましたので、それを土台に粘土を盛ったり削ったりしながらイメージを形にしていったんです。

オートサロンに出展する際の出展者名ですが、あくまでも社内啓発活動ということもあって、あえて社名は出さず、「N lab.(エヌラボ)」の名前で出しました。出展するや思いがけず反響が大きく、東京国際カスタムカーコンテストでもグランプリをいただきました。「今までにない新しいスポーツカーをつくりたい」。関わったみんながそう思って頑張ってきましたので、その想いがお客様の心に響いたことを実感できたのは大きな喜びでした。受賞もあっていろいろと記事にしていただく中で「ホンダアクセス」の名がたくさん出るようになり、N lab.が純正用品メーカーだと知ったお客様から市販化を待望されるお声が多数寄せられました。私たちのスポーツカーの夢に、新たに、お客様の想いに応えたいという夢が加わって、実現に向けて一気に加速していったという経緯です。

デザインの発想としては、スポーツカーといえばシャープで尖ったシルエットを持ったクルマがもっぱらですが、そうではなく、風景にも仲よく馴染むようなものもあっていいのではという想いがありました。私が物心ついた頃にはもうありませんでしたが、かつてのS800とか。ああいう世界観や、デザインにしても普遍的でシンプルなものが新鮮に思え、同じように感じる若者も多いのではないかと。ファッションの世界でもビンテージやレトロといった世界があって、それを取り入れたライフスタイルにマッチするデザインを持った商品が数々ある中で、クルマではあまりなかったので、あればいいなと思っていました。S660にクラシックなテイストを入れて、若い人たちのスタイルの一部に取り入れられるような新しいスポーツカーを提案したいと思いました。

ボンネットは往年のクーペスタイルの丸みを踏襲して、丸目のライトを持ったフロントマスクはS800やS600からのインスパイアです。小さな子でもひと筆で絵が描けるような顔にしたいと思い、両目を横一文字でつないでぐるっと囲んだ、愛嬌のあるアイコニックな表情にしました。リアも、ノスタルジックカーファンの心をつかむリアフェンダーやリアコンビまわりのデザインにこだわりました。また、今回市販する仕様では、ヘッドライトの光の温かみにこだわって、あえてハロゲンにしています。ハロゲンはライトユニットの寸法がLEDよりも大きく、ボンネット内の狭いスペースに収めるには不利なんですが、電装担当の創意で実現しました。こうした古典的なものが持つ良さや美しさを様々に取り入れながらも、中身のメカニズムは先進の技術であったりと、ただ古いだけではないところが「Neo」なんです。コンセプトカーは赤い色で仕立てましたが、その赤もソリッドではなく、メタリックにすることで「Neo」を表現していました。

コンセプトカーはデザインスタディーの意味合いが強く、切った貼ったで実車化した車両です。翌年のオートサロンでは市販化を見据えたプロトタイプを出展しましたが、まだ道半ばという仕上がりでした。しかしその後、ピュアな想いが詰まったコンセプトカーを開発スタジオに置いて、常にそれを目指しながら課題を一つ一つ解決し、最後の最後までデザインを磨ききってきました。新しい価値観と所有する喜びに満ちたスポーツカーとして、お乗りいただく方々の毎日を少しでも心豊かなものにできれば嬉しいです。

あのデザインを商品として
世の中に送り出す。
無理だと言われるほど、心に火が付いた。

株式会社 ホンダアクセス
技術評価室
S660 Neo Classic 開発責任者

秋月 久

2016年の東京オートサロンでS660 Neo Classicのコンセプトカーが出展され、ぜひ市販化をとのお声がホンダアクセスに届き、会社として動き出した始点が、このクルマとの縁の始まりです。私自身は技術評価室という部署に属していて、技術検証や量産品質に関することを専門にしています。また、以前は本田技術研究所で四輪製品のバンパーなど外装パーツの設計開発に携わっていました。そうしたことで、「果たしてこれは世の中に出せるものかどうか」をまず探る先行検討の業務指示が私にあてられたんです。東京オートサロンが終わって3カ月め、2016年4月のことでした。

コンセプトカーは、あくまでもデザインの方向性をご覧いただくものですので、デザインを優先して「ここが干渉するから」とクルマのフレームの一部を切ったりもしていました。そうしたクルマを量産が可能なように変えられるかをリサーチする業務です。作業が始まった頃、以前の仕事仲間に「今度、これを出そうとしている」とコンセプトカーの写真を見せると、即座に「これは無理だよ」という人もいました(笑)。鉄板でやると思ったらしいんです。量産といっても少量ですから、確かに鉄製にするとスーパーカー並の高額車になってしまう。私は経験上、樹脂を使えば実現はできるとすぐに思いましたが、問題はデザインとコストでした。私どもは用品パーツの会社ですので、クルマの骨格は一切いじらずにボルトオンで交換できるキットにすることが大前提です。そのうえで、市販化を望まれたお客様が魅入られたコンセプトカーのデザインを守り抜くこと。さらに、現実的な価格でお届けすること。これらの両立は難題でしたが、新しいスポーツカーを提案する醍醐味と、発売を待っていてくださるお客様の喜びを気持ちの支えにして挑みました。

2016年のコンセプトカーは実は軽自動車の規定サイズを超えていましたが、これを規定内に収めるところからの出発です。ドアパネルもコンセプトカーはワンオフ製作でしたが、換装の工数やコストを考えると、ドアパネルはベース車のものを活かすのが現実的で、そうなると前後のフェンダーのデザインから変わってきます。また、冷却性能のためにフロントの開口部を広げたり、後方視界を広げたりと、数々の点を変えて2017年の東京オートサロンに出展したのがプロトタイプでした。しかし、出展までの時間的制約でデザイナーに泣いてもらった部分があり、本音を言えば私も100%納得できるものではありませんでした。でもこのクルマで量産ができるメドが立ったことで、本格的な量産開発がここから始まり、全社的な取り組みとしてチームの人数も増えたんです。

そこから1年以上をかけて、デザインはコンセプトカーの印象にいかに迫れるかをひたすら追求してきました。コンセプトカー、プロトタイプ、市販仕様。この3つは一見似てはいますが、まったく別物です。そして、デザインとともにこだわり抜いたのは、パーツそのものの品質です。今回、外装パーツはFRPというガラス繊維に樹脂を含浸させたものを使っていますが、一般的にイメージされるFRPとは違います。普通のFRPは雌型に繊維基材を敷いて、その上から刷毛やローラーで硬化剤を混ぜた樹脂を塗布してつくるんです。そのため裏面がギザギザしていますし、強度などにもバラつきが出る。対してこの商品は、雄雌両方の型をつくり、雌型に基材を敷いて雄型を合わせ、間を真空にしながら樹脂を注入するL-RTMという手法を使っています。これによって、造形の精度や強度・耐久性などを高い品質で安定させることができ、裏側もツルツルに仕上がるんです。

今回市販化が決まって営業担当者が販売店にご説明にあがった時、FRP製ですとご案内すると「FRPがどれだけ難しいと思っているんだ」と言われたこともあるそうなんです。サードパーティーの外装部品は大概FRPなんですが、クルマに取り付けようとすると、パーツの穴を広げたり、部品の一部を削ったりしないと合わないことがままあり、それへの懸念があるんです。でも純正用品メーカーの私たちが出す以上、そんな商品は出せない。トライ&エラー、テストを何度も繰り返して品質を高め、そうした精度についても非常に満足のいくものができたと自負しています。3年間6万kmのメーカー保証は、このような工程があってこそできるんです。

ご自分のガレージでDIYなさるような、それほどにクルマへの想いが深い方に、この「S660 Neo Classic」を愛していただければ本望ですね。

※製品(S660 Neo Classic KIT)のホンダアクセスによる保証。
塗装と取り付け(合わせ、建て付け含む)に関する保証内容は、施工した販売店の基準に基づきます。

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