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エアバッグ・システム / 1987

NASAの技法に学び、築き上げたシックスナインの信頼性

エアバッグ・システム / 1987

手探りでスタートした独自開発

スルスルとダミー人形を乗せた台車が動き出す。その一瞬を見逃すまいと、スタッフたちの視線が一斉に台車に注がれる。そして時速30マイル。
「ドカーン!」。
大きな音とともにダミーが大きく揺れる。離れていても、衝撃が伝わってくる瞬間だ。

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衝突から作動までの連続写真

「よしっ!これならいいだろう」。
不安を飲み込み、自分自身を納得させるかのように、だれかがつぶやいた。だが、その期待はすぐに打ち消されてしまう。どうしてもエアバッグが膨らむよりも先に、ダミーが突っ込んでしまうのだ。目標の時間内にバッグが膨らんでくれない。その時間とは、わずか1000分の30秒。瞬く間だ。もう何度、こんな思いを繰り返しただろうか。毎回のことながら、期待する分だけ、ついバッグの膨らむ時間の判断が甘くなってしまう。それでもだれにも落ち込んでいる暇はない。目の前のハードルを越えていくためには、自分たちがやるしかないのだから。

1975年、Hondaはエアバッグ・システムの独自開発を本格的にスタートさせた。
「おい、この資料に目を通しといてくれ」。
開発責任者の岡田元浩はチームメンバーの本田潔に、1冊のレポートを手渡した。そこに書かれていたのは、バッグを展開する時の、あの『ボン!』という音の大きさを測定するテストについてだけであった。独自開発はいつも暗中模索の中から始まるのだ。

しかし、エアバッグ・システム開発に対する機運は高まっていた。アメリカ議会では、1970年に受動拘束装置(装着動作が不要なパッシブベルトやエアバッグ等)の義務付けが検討されて以来、度々、法制化の議論が行われてきた。そして、1972年にフォードが、1973年にはGMが、それぞれフリートテストを実施していた。安全では飯が食えないという時代は終わろうとしていたのである。

独自開発に当たって、Hondaでは併行異質自由競争主義が採られた。外気吸い込み式と全ガス式の二つが競い合ったのである。どちらもバッグを膨らませる第1段階はクリアしたが、最終的には機構のシンプルさで優る全ガス方式によって開発が進められていた。

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400気圧、1500ccのボンベを搭載した全ガス式両席エアバッグ・システムの構成図

――もっとガスの噴出効率を上げていかなければだめだ――。
台車衝突テストの結果を受けて、高圧ガスボンベの圧力は400気圧まで上げられた。もうここまでくると、既存の知識だけでは対応できない。自分たちで考え、試してみる他はない。

「新しい技術に挑戦する時、当然、知りたい情報を持っている人はいない。だからそれぞれの分野の専門家に聞くことはできても、システム全体として完成させていくには、自分たちで考えるしかない」(本田)。

開発スタッフたちは、専門家を探し出しては学び、何度も図面を引き直した。時には自らの手で溶接し、板金に取り組むことも度々であった。この間に衝突スピードは時速35マイルに引き上げられていた。そして1979年1月、3回目の評価会でようやく時間内にバッグを膨らませることに成功した。

Hondaのチャレンジングスピリット

エキスパートを生み出すシステム
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  2. 技術研究所の分離・独立 / 1960技術研究所の分離・独立 / 1960
  3. 私の記録、資格制度の導入 / 1960私の記録、資格制度の導入 / 1960
ついに果たした四輪業界への進出
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  2. S360・T360発表 / 1962S360・T360発表 / 1962
  3. 4輪車の販売体制づくり / 19664輪車の販売体制づくり / 1966
  4. N360発表 / 1967N360発表 / 1967
  5. Honda1300発表 / 1968Honda1300発表 / 1968
  6. CVCCエンジン発表 / 1972CVCCエンジン発表 / 1972
  7. シビック発表 / 1972シビック発表 / 1972
  8. アコード発表 / 1976アコード発表 / 1976
世界に市場を求め、需要のある所で生産する
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  2. アメリカン・ホンダ・モーター設立 / 1959アメリカン・ホンダ・モーター設立 / 1959
  3. ベルギー・ホンダ・モーター設立 / 1963ベルギー・ホンダ・モーター設立 / 1963
  4. ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング設立 / 1980ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング設立 / 1980
展開期に向けての爽やかなバトンタッチ
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  2. 本田・藤澤両トップ退任、河島社長就任 / 1973本田・藤澤両トップ退任、河島社長就任 / 1973
先進性・独創性にあふれた技術・商品群
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  2. 長円形ピストン・エンジン / 1979長円形ピストン・エンジン / 1979
  3. ホンダマチック・トランスミッション / 1968ホンダマチック・トランスミッション / 1968
  4. カーナビゲーションシステム / 1981カーナビゲーションシステム / 1981
  5. エアバッグ・システム / 1987エアバッグ・システム / 1987
  6. 舵角応動型4輪操舵システム(4WS) / 1987舵角応動型4輪操舵システム(4WS) / 1987
  7. VTECエンジン / 1989VTECエンジン / 1989
  8. MEエンジン(G100・150・200・300・400)シリーズ / 1977MEエンジン(G100・150・200・300・400)シリーズ / 1977
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  10. DREAM CB750FOUR / 1969DREAM CB750FOUR / 1969
  11. CG125 / 1975CG125 / 1975
  12. ロードパル / 1976ロードパル / 1976
  13. シティ / 1981シティ / 1981
  14. NSX / 1990NSX / 1990
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