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語り継ぎたいこと 〜チャレンジの50年〜

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ふるさとの森づくりスタート / 1977

人と自然と工場との調和のシンボル

ふるさとの森づくりスタート / 1977

"鎮守の森"構想がヒントに

西田通弘(当時、副社長)が宮脇昭・横浜国立大学教授(当時)の"ふるさとの森づくり"理論を初めて聞いたのは、1976年の同窓会でのことだった。宮脇教授も西田と同じ、旧制横浜高等工業学校(現、横浜国立大学工学部)出身で、西田の後輩に当たる。それまで聞いたことのなかった"鎮守の森"構想に西田はいたく感激し、終わると思わず宮脇教授の所へ飛んでいって握手を求めた。

そして、早速、著書を何冊も買い込み、むさぼるように読んだ。宮脇理論は、昔から日本の自然を形成してきたその土地の樹木を植え、いわゆる鎮守の森を作ることで、本来の生態系を生かした自然を維持しようというもの。高木、亜高木、低木と、自然は厚みのある層を形成しており、その中に種々雑多な樹木が共存している。この"雑多な"というところに西田は引かれた。

「これは社長の本田さんが日ごろからおっしゃっていた企業の在り方と同じではないか」。

強い木、弱い木、高くそびえる木もあれば、その根元を固める低木もある。会社にもいろいろな人間がいる。同じような考え方の人間ばかりを集めれば、最初はうまくいくかも知れない。が、その会社は変化に弱く、必ず駄目になる。それが本田宗一郎の持論だった。企業に役立つと思われる人間ばかりではなく、多様な人間をそのまま抱え込むことで組織は活性化し、強い企業になる。

「ふるさとの森は、環境面でも人事面でも真に役立つ理論だ」。
そう直感した西田は、宮脇教授を会社に招き、役員室で話をしてもらった。本社だけでなく各事業所を回ってもらい、講演会を実施した。こうして、宮脇理論はいろいろな角度からHondaに採り入れられ、浸透していった。

「私は宮脇さんの思想を紹介しただけ。考え方が行き渡れば、あとはあれこれ言わなくても自然と走り出した」(西田)。

本田が常々言っていた考え方がベースとなり、ふるさとの森という形ができてきたのだ。

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