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CVCCエンジン発表 / 1972

世界のビッグメーカーに先んじた低公害エンジンの開発

CVCCエンジン発表 / 1972

希薄燃焼の実現に向けた試行錯誤

AP研がまず始めたことは、当時、他社が研究していた排出ガス対策の検証実験と排出ガスに関する調査・研究を行うこと、そして研究所内への広報活動であった。

ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの改善・改良はもとより、ロータリーエンジン、ガスタービンなどの代替エンジン、さらに酸化触媒(キャタライザー)や再燃焼(サーマルリアクター)などの後処理装置、アルコールや水素などの代替燃料と、さまざまな可能性の調査・研究が行われた。

広報活動としては、AP研独自で『APニュース』という広報誌を作成し、技術研究所、および関係する所外の部門へ配布。同誌には、国内や米国での排出ガス規制によって、自動車の設計、製造、整備など、各段階における仕事のやり方などが今後、いかに変わっていくかなどに関する情報が掲載されていた。

当時、エンジン性能ブロックの設計者だった大谷淳示によれば、本田は研究所員に対し、
「排出ガス対策で、今あるガソリンエンジンをなくすということは、大変なことだ。自動車会社の生産設備などを全部捨てなくてはならない。そのような対応ができるわけがない。既存エンジンへの規制だから、そのエンジンで達成可能な規制であるべきだ。だからこそ、既存のレシプロエンジンを改造しなきゃだめだ」
と語り、既存エンジンでの対応を主張した。AP研では、排出ガス対策は吸気と燃焼の制御を基本とし、それでも、なお排出される有害物質を後処理装置で処理しようと考えた。

当時の酸化触媒装置は、工場ばい煙などの固定施設に対応したシステムで、ペレット状の触媒を筒に入れたものであり、触媒としてはマスキー法を十分クリアできるレベルにはあった。しかし、自動車に装着した場合、振動で擦り減ったり、エンジンの燃焼具合では触媒装置そのものが焼失するような状態で、耐久性に大きな問題があった。

また、再燃焼装置は、燃焼室で燃え切らなかった不完全燃焼物を、排気の途中で再燃焼させるもので、再燃焼を確実に行うためには、濃い混合気を供給する必要があり、燃費が悪くなった。

本田は、AP研のメンバーに、いろいろとアドバイスをした。その中の主なものは、吸気の際に新機構のペーパーライザーによる燃料の蒸発促進や、燃料噴射装置による適正吸気であった。

当時、技術的立場から指導をしていただいていた東京大学の浅沼強教授は、毎月1、2回技術研究所を訪れていた。研究メンバーは同教授との意見交換を行う中で、有害物質であるCO・HC・NOxの発生量を同時に低減する方法としては、燃料を完全燃焼させる希薄燃焼しかないとの思いを強くしたが、当時の技術レベルでは到底クリアできるとは思えなかった。

しかし、本田がいつも言っている
「やらんで、何が分かるか」
という言葉を実践すべく、希薄燃焼の実現に向けた基礎研究が始まった。

レシプロエンジンは、燃焼室に混合気を入れ圧縮させた後に点火し、その爆発力でピストンを下げるという往復運動を、クランクを使って回転運動に変えるものである。ガソリンエンジンの理論混合比は、A/F(空気と燃料の重量比)で、約14・7であるが、理論混合比より希薄な混合気では燃焼が不安定になりやすいため、通常では理論混合比より濃い混合気を使う。この濃い混合気では理論混合比で運転する場合よりも燃費が悪化し、不完全燃焼による有害物質の生成が避けられなかった。低燃費を維持しつつ有害成分の発生を抑制するためには理論混合比、あるいは、さらなる希薄な混合気による安定した燃焼を実現する技術が必要であった。

混合気の加熱、気筒内ガス流動の強化に始まり、点火エネルギーの増大、多点点火(プラグを複数付ける)など、あらゆる方策を考えてテストを行った。しかし、どれも良好な結果を得ることはできなかった。

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