あきさんの食材エッセイ

第4回 片や高級食材、片や邪魔者?ズッキーニ

 私の偏愛する野菜、ズッキーニの季節がやってきた。

 今年も、スーパーの地元野菜コーナーでは、大きめのズッキーニが1本100円で売られている。採れすぎる時期になると「グリーンとイエロー2本セット」で100円になったりする。「八ヶ岳に来て良かった」と思わずニンマリする瞬間だ。スケール小さいけど。

 聞くところによると都会のスーパーではまだまだ高級食材として珍重され、1本298円するところもあるそうな。最近は随分と広く知られるようになり、周りにもズッキーニ畑が増えたように見えるのに、不思議だ。

 グリルしてマリネにしたり、パスタ料理に加えたり、ラタトゥユにしたり。クセが無く、柔らかいけれど歯が微かに感じる繊維のコシがなんとも心地良くクセになる。栄養価も高く、夏にはぜひたくさん食べたい野菜だ。

 私が初めて調理前の採れたてズッキ−二に出会ったのは、移住前、東京から八ヶ岳に遊びに来た時だった。陶芸家のM夫妻のお宅にお邪魔した際、人の腕ほどのズッキーニが飾って(?)あるのを見て仰天した。畑で成育中のズッキーニも見せていただいた。スーパーで、茄子くらいの太さのズッキーニしか見たことがなかった私は、その時は、「コンテストに出品するカボチャを育てるみたいに、きっとこのズッキーニも、特別な栄養をあげて大事に育てて大きくしたんだ〜」と思っていた。

 後に、自分でもズッキーニを育ててみて、再び仰天することになった。ズッキーニを人の腕ほどにするのは簡単で、むしろちょうどいい大きさで収穫する方がよっぽど難しい、ということを知ったからだ。

 ズッキーニというのは、人差し指くらいの実がついた状態で雌花を咲かせ、受粉した途端、もの凄い勢いで大きくなる。3日くらいで「スーパーのズッキーニ」の大きさになり、一週間もおくと「子どもの腕」程になってかなりお得感が出てくる。10日や2週間も放っておいたらもう大変。「レスラーの腕」くらいになって、皮も固くなり、中身の食感も変わってくる。「忘れてたけど、そういえばあなたはカボチャの仲間だったんですよね・・・・認めます。すいませんでしたっ」なんとなくそんな気持ちになる。それでも、よく煮ればそれなりにちゃんと美味しく食べられるのだから凄いけれど。

 「ちょっと畑に行きそびれてたら、ズッキーニが大変なことに・・・・」「4株も植えたから、きっともうすぐ大変なことに・・・・」といった声は、このあたりではすっかり夏の風物詩になっているようだ。「じゃあ小さいうちにどんどん食べれば」とか「1株だけ植えれば?」と思われるかもしれないが、そうは簡単にいかない。

 ズッキーニは雌花と雄花が同時に咲いて受粉が行われないと実が育たない。1株では受粉できる確率が低いから、3株くらいは育てたい。そのためには、病気でやられることも考えて保険をかけて、じゃあ5株植えておくか、となる。幸か不幸か、見事に全部の株が立派にに育ってしまい、毎日鮮やかな黄色い花がぽんぽん咲き続け、次々に実が太っていく。美味しくて日持ちもするズッキーニの唯一の難点(?)、それは、煮ても焼いてもカサが減らないこと。最初はキュウリくらいの大きさで収穫していても、やがて消費が追いつかなくなる。日持ちするので冷蔵庫にはいつもズッキーニが余っている。子ども達はアメリカの子どもみたいに「ズッキーニ?げ〜〜っ」とか言い出す。畑に行っても「また今度持って帰ろう」となる。

 かくして、畑には「レスラーの腕」や「大の男の腕」がごろごろしはじめ、かろうじて「小柄な女性の腕」くらいで救い出された立派なズッキーニが、いろんな所から「差し入れ」として我が家にやってきて、毎年私をニンマリさせるのだった。

 

recipe Cream of Zucchini soup with Tarragon
ズッキーニのクリームスープ、タラゴン風味

ズッキーニを大量消費・・・じゃなかった、たくさん摂って元気に夏を過ごしたい時にはこのスープがおすすめです。
ズッキーニだけでも充分美味しいのですが、これといった風味に欠けるので、(もしあれば)タラゴンを加えてみてください。
甘い芳香が、このクリーミーなスープをより上質な味わいにしてくれます。

冷たくても温かくても美味しくいただけます。

ズッキーニを育てている人は、ぜひ花のビールフリッターもお試しください。

スープ材料 4〜5皿分

ズッキーニ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3〜4本

玉ネギ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1個

にんにく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一片

チキンストック(または水とコンソメの素)・・・250cc

牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500cc

生クリーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・50cc

フレンチタラゴン(ドライ)・・・・・・・・・・ひとつまみ

バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g

塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々

胡椒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々

1.ズッキーニを2cmくらいの輪切りにし、鍋で10分ほどゆでて柔らかくする。

2.その間に、フライパンにオイルとバターを熱し、玉ネギのみじん切り、つぶしたにんにく、タラゴンを、焦げ目が付かないように、透き通るまで炒める。

3.ズッキーニのゆで汁を捨て、えぐみを除くため、冷水でざっと洗ったら、冷たい牛乳と一緒にミキサーに2、3回に分けてかけ、なめらかにする。炒めたタマネギも同様にする。

4.全て鍋に戻し、チキンストックと共に再び火にかけ、塩、胡椒で味を整える。最後に生クリームを加えて出来上がり。

花ズッキーニのビールフリッターの作り方

花付きのズッキーニの雌花を洗い、小麦粉をまぶしておく。小麦粉1カップに砂糖小さじ2、塩小さじ半分、ベーキングパウダー小さじ1を加えたものを冷たいビールで溶き(クレープの生地くらいのゆるさ)、なめらかに混ぜた衣をズッキーニにつけ、170度の油で揚げる。

ヤングコーンやアスパラガスなど、いろんな野菜もついでに揚げて、ハーブソルトでいただくのがおすすめ。