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「より少ない燃料でより多くの仕事をさせる」ことは、省エネという観点からも、あらゆるエンジンの開発における永遠の課題です。
この課題に対し、Hondaは約130年前に開発された高膨張比エンジン(アトキンソンサイクル)の原理を、独自の複リンク機構を用いて実現。これにより吸気行程よりも膨張行程のストローク長を長くすることで、圧縮比よりも高い膨張比を得る革新的なエンジン「EXlink」を小型エンジンとしては量産世界初の技術として完成させました。
従来型のエンジン(オットーサイクル)では、全ての行程が同じストローク長となるのが一般的ですが、「EXlink」では独自の複リンク機構によって、「吸気・圧縮時」「膨張・排気時」でピストンストローク長が変化。圧縮比の1.4倍以上という高膨張比を実現しつつ、ポンピングロス(吸気抵抗)も低減することで、従来型のエンジンに対して熱効率を大きく向上させています。
EXlinkの原理となったアトキンソンサイクルは、およそ130年前にジェームス・アトキンソン氏によって考案された「アトキンソンの第二号機関」に用いられた技術です。
当時としては非常に優れた燃費で脚光を浴びましたが、構造が複雑で小型化が困難だったことから、その後のエンジンの進化の主流から外れてゆきました。
(右図 :アトキンソンの第二号機関 1886年)

EXlinkでは、従来型エンジンのコンロッドとクランクシャフトの間にトリゴナルリンクを新たに配置。スイングロッドを介してエキセントリックシャフトと結合することで複リンク機構を構成します。このエキセントリックシャフトを、クランクシャフトに対し、2分の1の速度で回転させると、ピストンのストロークは長短を繰り返します。
短いストロークを吸気/圧縮行程に、長いストロークを膨張/排気行程に割り当てることで、110cm3の吸気を163cm3まで膨張させる高膨張比エンジンを実現。
「使う空気と燃料はより少なく、取り出す仕事はより大きく」というアトキンソンサイクルの原理を、シンプルかつコンパクトな構造で再現したことが、EXlinkが燃費に優れる理由です。
従来型のエンジンにおいて、原理的にエンジンの熱効率は「膨張比」で決まります。しかし、一般的な従来型エンジン(オットーサイクル)の「膨張比」は「圧縮比」と同じであるため、効率を上げるために膨張比を高めると、圧縮比も大きくなりノッキングが起こりやすくなってしまいます。
一方、EXlinkは「圧縮比」と「膨張比」が異なるため、圧縮比はガスエンジンとして十分にノッキングを回避できる12.2としながら、膨張比のみを17.6まで拡大。
少ない燃料と空気を圧縮し、燃焼させたガスをより大きな体積に膨張させることで、燃料エネルギーを最大限取り出すことができます。
さらに吸気行程が短いことで、空気と燃料を吸い込む際のポンピングロスも低減できるなど、従来のエンジンに対して熱効率を向上させています。


EXlinkは複リンク機構のため、従来エンジンに比べフリクション(エンジン内部で生じる摩擦によるエネルギー損失)による燃費ロスが懸念されますが、それを低減する工夫を行っています。
従来型エンジンでは、膨張行程でピストンが燃焼ガスの圧力を受けると、シリンダー壁面に向かってサイドフォースが発生し、ピストンとシリンダーの間に大きなフリクションが生じます。
サイドフォースはコンロッドの傾斜角によって大きく変わるため、新エンジンでは膨張行程中のコンロッドがほぼ直立した姿勢を保つように設計。
これにより、ピストンのサイドフォースによるフリクションは従来型エンジンの半分以下に抑えられています。この結果、リンク部品によるフリクションを加えても、従来型エンジンと同等レベルを実現。アトキンソンサイクルによる燃費向上のメリットを、余すところなく燃費向上に繋げています。
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