technology close upヘ 50cc用PGM-FI
 

たくさんの人々が乗る車種にこそ、積極的に環境技術を取り入れていきたい。そうすることで、少しでも地球環境の向上に役立ちたい。燃費や排出ガスのクリーン化など、環境テクノロジーに対するHondaの基本姿勢がここにある。朝霞研究所は、125ccなど小排気量エンジンのために開発したPGM-FIの技術を進化させ、現在Hondaがクリーン4として4ストローク化をすすめている50ccスクーターへの搭載を可能とした、新たな電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を開発した。

世界初4stroke50ccエンジン用PGM-FI
燃費の向上と排出ガスのクリーン化に加え、始動性に優れた電子制御燃料噴射装置 (PGM−FI)を、量産車として世界で初めて、4ストローク50ccエンジン用に開発した。この技術により、国内で最も販売量の多い50ccクラスにおいて、さらなる低燃費化と排出ガスのクリーン化を促進していく。
ECUシステム図
技術的特徴
最大の特徴として、32bitという高速CPUを搭載することで、ACGスターター制御とPGM-FI制御を一つのECUに統合したことが上げられる。そのほか、新型インジェクターや超小型燃料ポンプ、キック始動のための新たな回路システムなど、50ccスクーターへの搭載をめざして新技術を開発。各機能部品の統合化やセンシング機能の集約化、燃料ポンプをはじめとする主要部品の新設計など、大型機種用PGM−FIに比べ、15部品から8部品へと大幅に部品点数削減。低コストで小型・軽量な電子制御燃料噴射システムを実現した。
部品点数大幅削減
機能統合ECU
32bit高速CPUを採用し、ACGスターター制御ECUに、PGM−FI制御ECUを統合することで、機能の集約化を図り低コスト化を実現している。従来の16bitCPUに対し、処理速度を3.5倍、記憶容量は2倍とすることで、FI制御とACGスターター制御を一つのECUに統合した。また、従来の50ccスクーター用ECUと比較し、21%の小型化も実現している。
ECU 32bitCPUの能力
■32bit新型ECU
■32bitCPUの能力
小型燃料ポンプ
50ccスクーターのフラットフロアを維持するために、フロア下に配置された扁平ガソリンタンク内に収まる超小型燃料ポンプモジュールを新開発。世界最密の10μm1次フィルターを採用することで部品点数を大幅に削減し、小型、軽量化を実現した。さらに消費電流1Aの省電力高効率化をも達成している。
燃料ポンプの小型化
新型インジェクター
50ccなどの小排気量エンジンは、その小さな排気量ゆえに燃焼のために必要となるガソリンの量が極めて少なく、さらに少量のガソリンをできるだけ効率良く燃焼させなければならない。そのための燃料噴射用インジェクターには、微少な噴射量と噴霧の微粒化の両立が求められる。従来、微粒化の為には噴射ノズルの多孔化が一般的であったが、今回開発した50cc用インジェクターは、その噴射量を当社125ccスクーターに対し1/3にするため2孔でありながら、内部流路形状を最適化することで世界最高水準の微粒化も達成した。
インジェクター ■最小噴射量比較
最小噴射量比較
■2孔インジェクター
■世界最高レベルの微粒化性能
世界最高レベルの微粒化性能
アイドルエアコントロールバルブ
アイドリング時などの最小制御空気量も、当社125ccスクーターと比べ1/3にする必要がある。今回開発した50cc用エアバルブは、超小型ステップモーターで高精度のバルブを30μm単位で精密に作動させることにより、始動・暖機・アイドリング等エンジンの運転状態に応じた最適な空気量を制御することが可能となった。その結果、始動性とアイドリング性能の大幅な向上と経年変化に対するメンテナンスを不要としている。
エアバルブ
エアバルブ構造
キック始動制御
従来のキャブレター方式のエンジン始動は、セルモーターまたはキックによってピストンが動き、その負圧とメカニカルなスロットルの動作によって、燃料が吸い出されていた。しかし、電子制御燃料噴射システムではエンジンを始動する際、燃料を噴射するために電力が必要となる。そして50ccスクーターなどの小型二輪車においては、長期放置等でバッテリーが完全放電した場合でも、キックで始動できることが求められる。新開発の50ccスクーター用PGM-FIでは、従来のFIシステムにおいては困難であったキック時のわずかな電力によるエンジン始動を実現。キック時の0.2秒間に発電されるわずかな電力を、始動に必要な回路にのみ重点供給するシステムと、省電力燃料ポンプの開発により、バッテリーが上がった場合でもキックで確実なエンジン始動が可能となった。
キック始動制御
キックによってACGが発電。その時に発生したわずかな電力を、バッテリーや灯火類への回路を遮断して、点火と燃料噴射のための回路を優先して供給する。そのための有効時間は、約0.2秒、吸入/圧縮/爆発/排気の約1行程、キックによるクランク回転の2.5回転分に相当する。
PGM-FIのメリット
新開発の50cc用PGM-FIを搭載したエンジンは、排出ガスのクリーン化に貢献し、燃料消費率を大きく向上させた。開発時のデータでは、排出ガスについてはCOとHCが国内規制の1/2レベルを達成し、燃費は定地燃費で7%、実走行モード燃費*で10%の向上を実現した。さらに、高い動力性能と、安定した始動性・アイドリング性能も実現した。
*実際の使用状況を想定した社内テストモード
朝霞研究所の開発チームは、1999年に発表した“Hondaは、2005年までに50ccスクーターのFI化”という目標に向かって開発を進め、当初の目標よりも1年以上も早く、その夢を実現させることができた。さらにこの技術は、Hondaが全世界で発売するすべての2輪車にPGM-FIを搭載することを可能とするものである。そしてHondaは、「2007年度までに、国内で発売するすべてのスクーターにPGM−FIを採用」、「2010年末全世界で大半の機種にPGM−FIを搭載」という新たに目標を設定。世界中で大勢の人々に愛されているHondaのモーターサイクル。Hondaは、環境技術を磨くことで、地球規模の環境向上に役立っていきたいと考えている。
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