3ステージVTECエンジンの特長は、吸気側で低・中・高速時に3つのカムを使い分け、バルブタイミングとリフト量を文字どおり3ステージに切り換える機構にあります。そのため、ロッカーシャフト内に3つのカムを制御する2つの油圧ピストンを内蔵している点がこれまでのVTECエンジンの構造と大きく異なります。
低速時は、1バルブ休止状態となり、最適なスワールを生成させることにより希薄燃焼を可能にし、超低燃費を実現します。
中速時には、ECUの信号により油圧回路が開き、2つのロッカーアームが連結。プライマリーロッカーアーム側のカムによって2つの吸気バルブが駆動され、中速トルクを確保します。さらに、高速時にはもうひとつの油圧回路が開き、3つのロッカーアームが連結。ミッドロッカーアーム側のカムによって高速バルブタイミング・リフトとなりハイパワーを生み出します。
しかも、これら低速時の1バルブ休止、中速時と高速時におけるバルブタイミング・リフト切り換えのモーションを行なう、ロッカーシャフト内の2系統の油圧供給路の形成には、新製法により大幅な合理化を図っています。
このように、これからのエンジンに求められる低燃費・豊かな中速トルク・高出力を、より高いレベルで実現するVTEC技術の進化、それが3ステージVTECエンジンに結実したのです。
高出力と燃費向上のための具体化技術
(1)吸気ポートの新設計
高出力を実現するには、高い吸入効率を確保する必要があります。一方、低燃費化につながる急速燃焼には、スワールを生成させ、シリンダー内の混合気の流速を上げることが最も有効であり、そのためには吸気ポートやバルブ径を小さくせざるを得なく、結果的に吸入抵抗が増大し、出力の低下を招いてしまいます。
3ステージVTECエンジンは、この相反する課題をいかに両立させるかという観点から吸気ポートに着目し、その最適化を追求しました。その際、まずバルブ径をφ30と大径化、合わせてポート径も大きくし、吸入効率を大幅に向上させ、高出力化を図りました。
そして、これを前提に、最もバランスのとれたスワール比(1行程あたりの渦の回転数)2.5の確保をめざし、エンジンおよびポート内の吸入混合気の流れのパターンや燃焼をスーパーコンピュータで解析、さまざまな試験を繰り返した結果、吸気ポートの取り回しや内部形状などを新設計。
吸気ポートやバルブの断面積を小さくすることなく効果的にスワールを発生させることを可能にしました。同時に、隣接するポートが干渉しないよう、隔壁の形状も見直し、希薄混合気下における急速燃焼を安定させています。
(2)新リーンバーンコントロールシステム
最も効率よく, 低コストなシステムの選択。それが今回の開発におけるひとつの指針でした。そこで、より高精度な空燃比コントロールをシンプルな構造で可能にする、独自のリーンバーンシステムを実現しました。
これは、LAF(Linear Air Fuel Ratio)センサーに代え、O2センサーとクランク角度センサーを採用したもので、混合気が希薄化していくとクランク軸の角速度変化が増大することをセンサーで検知し、リーンコントロールを行ないます。
(3)現代制御理論を用いた空燃比制御
3ステージVTECエンジンは、あらゆる運転状態で適正な空燃比を精度よく得るために、制御を行なう際の演算式に予測という概念を取り入れた現代制御理論を適用しました。
そのひとつとして、燃料噴射量の最適制御があります。通常、噴射された燃料の一部は、吸気ポートの壁面に付着し、次の行程の燃焼に使われます。その付着比率は、さまざまな運転状態によって変わってくるため、加減速時などの空燃比制御に乱れを生じる原因となります。
この付着比率をシミュレート計算により精度よく演算し、燃料噴射量に反映することで、高精度で安定した空燃比制御を可能にしました。
また、この制御は、加減速時の燃費の向上と排出ガス中のNOxの低減にも大きく寄与しています。
(4)EGRの採用
リーンバーンを行なわない時は、必要に応じてEGR(排気ガス再循環)を大量に入れ、いっそうの燃費向上を果たしています。
(5)新ノックコントロールの採用
つねにタイミングのよい点火を可能にする、あたらしいノックコントロールシステムを採用しました。
これにより、低速トルクを向上させています。
また、ガソリンのオクタン価のちがいにも、きめ細かい点火タイミングのコントロールで対応します。
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▲3STAGE VTECエンジン |