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VTEC
(Variable Valve Timing & Lift Electronic Control System )
1995/07/05


VTECの原理
DOHC VTECエンジン
VTECエンジン
VTEC-Eエンジン
3STAGE VTECエンジン



■VTECの原理

エンジンの性能に大きな影響を与えるポイントに、バルブの開閉タイミングとバルブのリフト量があります。バルブの開いている行程を長めにして、リフト量も高く設定すれば、高回転・高出力を引き出すことができますが、低・中速域では吸入した混合気が吹き抜けてしまい、トルクが不足し、燃焼は不安定になってしまいます。
一方、バルブの開いている行程を短くすれば、豊かな低・中速トルクが得られますが、おのずと高出力化に限界が生じてきます。このように、高速域と低・中速域では求められるバルブタイミングとリフト量は異なっています。いわば、バルブタイミングとリフト量により、エンジンの性格が決定されるのです。
ホンダ独創の可変バルブタイミング・リフト機構は、このバルブタイミングとリフト量をエンジンの回転域に合わせて切り換えることで、求める出力特性の高次元での実現を図る画期的なものです。
この機構をベースに、ホンダはこれまで3つのエンジンを開発してまいりました。 ひとつは、ハイパワー、高トルクをねらい、吸・排気それぞれバルブタイミングとリフト量を切り換えるDOHC VTECエンジン。 そして、実用域のバランスを重視し、低速バルブタイミング・リフトと、高速バルブタイミング・リフトに切り換え、吸気バルブを駆動するシングルカムシャフトのVTECエンジン。
さらに、中・高速域の実用バルブタイミング・リフトによる駆動に加え、低速域において1バルブ休止させることで燃焼室に最適なスワール(渦)を生成、希薄燃焼(リーンバーン)を可能にし大幅な燃費向上を図ったVTEC-Eエンジンです。 これらVTEC機構の進化を核に、ここに3ステージVTECエンジンが生まれたのです。

 


■DOHC VTECエンジン
一般に、レーシングエンジンのように高回転・高出力を追求すると、逆に低速域での性能が不安定になりやすく、また低・中速域での性能を重視すれば、おのずと高出力化に限界が生じてきます。ホンダの先進技術が可能にしたDOHC VTECは、どちらかの領域を重視するのではなく、低回転域と高回転域とで、吸気及び排気バルブともにそれぞれに最適なバルブタイミングとリフト量に切り換えることで、吸排気効率を極限まで高めて全域高性能を実現したものです。DOHC VTECは、その優れた資質にいっそう磨きをかけ、全域にわたり従来をしのぐ高性能を身につけました。たとえば、圧縮比をさらに上げて、高圧縮比10.4に。またバルブタイミングの見直しとバルブリフト量の変更を行なうとともに、吸排気抵抗の低減により吸排気効率を向上させています。その結果、自然吸気エンジンのなめらかなレスポンスとダイナミックな走りをもった、まさにスポーツ・エンジンに仕上がっています。
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▲DOHC VTECエンジン

■VTECエンジン
「VTEC」は、シリーズのなかでも走りと低燃費を最も高度にバランスさせ、これまでの常識を一気に打ち破ることに成功。実用領域においてきわめて高い価値をもち、これからのエンジンの基本ともなる、まさにニューベイシック・エンジンと言えます。
その最大の特長は、基本性能を飛躍的に高めた吸気側バルブタイミングとバルブリフトの切り換えにあります。ホンダはこのエンジンを実現するために−−−− (1)低燃費化(2)高出力化(3)軽量コンパクトを技術の核として設定しました。まず、低燃費化については、低速カムの採用により低速トルクの向上、動弁系のフリクションの低減、さらに低速域での安定燃焼によって具体化。
一方、高出力化のためには、高速カムの採用と吸気バルブの大径化で対応。しかも、これらを従来のハイパー16バルブエンジンと同等レベルの軽量・コンパクトさで達成しています。その結果、低回転域では充分なトルク特性と低燃費を達成するとともに、高回転域ではDOHCエンジンをしのぐ出力特性を実現しています。


VTECの作動原理

このエンジンは、吸気側に3つのカムをもつ1本のカムシャフトと、このカムに対応して、油圧ピストン内蔵のプライマリーロッカーアームとミッドロッカーアーム、さらにはセカンダリーロッカーアームとで構成。
低回転時には3つのロッカーアームがそれぞれ独立して作動していますが、このときミッドロッカーアームによる吸気バルブの駆動は行なわれず、他の2つのロッカーアームの低回転バルブタイミング・リフトで作動します。
一方、高回転時には、ECUからの指示により内蔵の油圧ピストンに圧力がかかり、ピストンが移動することで、それぞれ独立していた3つのロッカーアームが連結されて一体となり、ミッドロッカーアームの動きに追従します。これにより2本の吸気バルブは高回転バルブタイミング・リフト状態で駆動するしくみです。
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▲VTECエンジン

■VTEC-Eエンジン
「VTEC-E」エンジンに採用された新技術は、1988年に開発されたホンダ独自の可変バルブタイミング・リフト機構(VTEC)をベースに、希薄燃焼のための新たな技術を加え、高い出力性能を維持しながら大幅な燃費改善を達成したものです。
このVTEC-Eエンジンは、希薄混合気の急速燃焼と安定燃焼による燃焼効率の向上で、燃料消費の大幅な改善を図りながら、低速性能と高速性能の両立を果たし、実用車としての十分な出力特性を確保したエンジンです。
VTEC-Eエンジンに採用されている可変バルブタイミング・リフト機構は、低回転時において2本の吸気バルブの1本をほぼ休止させスワール(混合気の渦流)を生成し、燃焼室のコンパクト化、着火位置の最適化、燃料噴射タイミングの最適化、並びに高精度の空燃比コントロールによって、急速かつ安定した希薄燃焼を実現しています。一方高回転時には2本の吸気バルブが働き、4バルブエンジンの出力特性を活かすものとなっています。
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▲VTEC-Eエンジン

■3STAGE VTECエンジン
3ステージVTECエンジンの特長は、吸気側で低・中・高速時に3つのカムを使い分け、バルブタイミングとリフト量を文字どおり3ステージに切り換える機構にあります。そのため、ロッカーシャフト内に3つのカムを制御する2つの油圧ピストンを内蔵している点がこれまでのVTECエンジンの構造と大きく異なります。
低速時は、1バルブ休止状態となり、最適なスワールを生成させることにより希薄燃焼を可能にし、超低燃費を実現します。
中速時には、ECUの信号により油圧回路が開き、2つのロッカーアームが連結。プライマリーロッカーアーム側のカムによって2つの吸気バルブが駆動され、中速トルクを確保します。さらに、高速時にはもうひとつの油圧回路が開き、3つのロッカーアームが連結。ミッドロッカーアーム側のカムによって高速バルブタイミング・リフトとなりハイパワーを生み出します。
しかも、これら低速時の1バルブ休止、中速時と高速時におけるバルブタイミング・リフト切り換えのモーションを行なう、ロッカーシャフト内の2系統の油圧供給路の形成には、新製法により大幅な合理化を図っています。
このように、これからのエンジンに求められる低燃費・豊かな中速トルク・高出力を、より高いレベルで実現するVTEC技術の進化、それが3ステージVTECエンジンに結実したのです。


高出力と燃費向上のための具体化技術


(1)吸気ポートの新設計
高出力を実現するには、高い吸入効率を確保する必要があります。一方、低燃費化につながる急速燃焼には、スワールを生成させ、シリンダー内の混合気の流速を上げることが最も有効であり、そのためには吸気ポートやバルブ径を小さくせざるを得なく、結果的に吸入抵抗が増大し、出力の低下を招いてしまいます。 3ステージVTECエンジンは、この相反する課題をいかに両立させるかという観点から吸気ポートに着目し、その最適化を追求しました。その際、まずバルブ径をφ30と大径化、合わせてポート径も大きくし、吸入効率を大幅に向上させ、高出力化を図りました。
そして、これを前提に、最もバランスのとれたスワール比(1行程あたりの渦の回転数)2.5の確保をめざし、エンジンおよびポート内の吸入混合気の流れのパターンや燃焼をスーパーコンピュータで解析、さまざまな試験を繰り返した結果、吸気ポートの取り回しや内部形状などを新設計。 吸気ポートやバルブの断面積を小さくすることなく効果的にスワールを発生させることを可能にしました。同時に、隣接するポートが干渉しないよう、隔壁の形状も見直し、希薄混合気下における急速燃焼を安定させています。

(2)新リーンバーンコントロールシステム
最も効率よく, 低コストなシステムの選択。それが今回の開発におけるひとつの指針でした。そこで、より高精度な空燃比コントロールをシンプルな構造で可能にする、独自のリーンバーンシステムを実現しました。
これは、LAF(Linear Air Fuel Ratio)センサーに代え、O2センサーとクランク角度センサーを採用したもので、混合気が希薄化していくとクランク軸の角速度変化が増大することをセンサーで検知し、リーンコントロールを行ないます。

(3)現代制御理論を用いた空燃比制御
3ステージVTECエンジンは、あらゆる運転状態で適正な空燃比を精度よく得るために、制御を行なう際の演算式に予測という概念を取り入れた現代制御理論を適用しました。
そのひとつとして、燃料噴射量の最適制御があります。通常、噴射された燃料の一部は、吸気ポートの壁面に付着し、次の行程の燃焼に使われます。その付着比率は、さまざまな運転状態によって変わってくるため、加減速時などの空燃比制御に乱れを生じる原因となります。
この付着比率をシミュレート計算により精度よく演算し、燃料噴射量に反映することで、高精度で安定した空燃比制御を可能にしました。
また、この制御は、加減速時の燃費の向上と排出ガス中のNOxの低減にも大きく寄与しています。

(4)EGRの採用
リーンバーンを行なわない時は、必要に応じてEGR(排気ガス再循環)を大量に入れ、いっそうの燃費向上を果たしています。

(5)新ノックコントロールの採用
つねにタイミングのよい点火を可能にする、あたらしいノックコントロールシステムを採用しました。
これにより、低速トルクを向上させています。
また、ガソリンのオクタン価のちがいにも、きめ細かい点火タイミングのコントロールで対応します。
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▲3STAGE VTECエンジン


VTECエンジン適応表

  VTEC DOHC VTEC 3-Stage VTEC VTEC-E 新VTEC
CIVIC      
CIVIC COUPE            
ACCORD      
ACCORD COUPE      
ACCORD WAGON          
DOMANI         
PRELUDE         
INTEGRA         
CR-X      
NSX         



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▲3ステージVTECエンジン出力特性




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▲低速時(1バルブ休止)のスワール生成



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