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「品質に限界なし」。少量生産ラインのマザー工場をめざす。
佐藤 実 完成車組立管理ブロック 生産技術主幹
「私は、今回の移管で現場の取りまとめ役を務めました。移管は5月の連休を使って実施。高根沢工場が生産を終えたのが2004年4月27日のことです。その2日後には高根沢工場の生産設備の、鈴鹿への移設を開始したのです。5月5日までの8日間で設備の移動を終えて大半を据え付け、連休明けから設備を調整し、まずS2000のテスト生産をスタートさせました。6月1日がS2000の生産開始でしたので、それまでに従来と同じクオリティーを実現すべく品質を高めていきました。それが移管プロジェクトのアウトラインです。NSXは7月1日から、インサイトは9月27日からと、徐々に生産を立ち上げていきました。
工場では、生産の移管は珍しいことではないのですが、ラインそのものを移管することはあまりありません。治具(じぐ)といって、車種専用の生産補助道具のみの移管がほとんど。しかし今回はラインごと、しかも3車種同時でしたので、相当大規模なものになりましたね。
そして今回の移管のポイントは、高根沢工場で生産していた品質をきちっと受け継ぐことです。そのためには、母体となるボディが重要です。ボディがまったく同じに組み上がっていなければ、取り付けるパーツ全体に影響を及ぼしかねませんから。そこで、事前に高根沢工場でS2000のボディを組み、そこに治具を取り付けて目安となる穴を開けます。次に鈴鹿製作所で、目安となる穴がピタリと一致するように治具を組み上げるわけです。そうしたキメ細かなことを繰り返し実践しながら、NSXやインサイトのボディまでを造り込んでいきました。
とにかく皆が一丸となって取り組んでくれたので、スムーズにラインを立ち上げることができたと実感しています。『高根沢ではこうだった』、『いや、鈴鹿ではこう』といったギクシャクした雰囲気はまったくなく、『Hondaを代表するスポーツカーを鈴鹿で造る』という想いでチーム全員が一体となってくれました。皆、この仕事が好きで、情熱のある者ばかりです。このレポートに紹介されている通り、全員の努力のおかげで高根沢工場のクラフトマンシップを受け継ぐことができたと考えています。これこそがHondaのものづくりの魂です。
鈴鹿製作所独自の取り組みとしては、これまでS字型だったラインをストレートにし、ひとり当たりの作業スペースにゆとりを与え、より気持ちよく仕事ができる環境を整えたりしています。さらにこれからも“鈴鹿製作所のパワー”で、さらなる技術を採り入れ、品質を高めていきたいと考えています。品質には、『これでいい』という終りはありませんから。
また私たちには、TDラインをHondaの少量生産ラインのマザー工場にしたいという強い想いがあります。東南アジアなどの工場にはTDラインと同じように少量生産のラインがあり、今後は、各国の少量生産ラインに携わる人が鈴鹿で最高峰の技術を学べるよう、さらに品質を高めていきたいと考えています。そのためには、自己満足ではない、各国のラインを視察したうえで、良いところは活かしつつ進めていきたいと考えています。
少量生産ラインは、ひとりの担当者が幅広い作業に携わることで、製造のスキルを学ぶために最適な場所です。Hondaのものづくりのこだわりを継承していくためにも、絶え間ない進化に取り組んでいきたいと考えています」。
クラフトマンシップを受け継いだ鈴鹿製作所TDラインは、まさに携わる人たちの情熱で稼動していることを、取材を通じて強く感じることができた。ものづくりで大切なのは、造る人の情熱やこだわりなのだと改めて実感した。
さて、このレポートには続きがある。TDラインと同様の情熱で、鈴鹿の地に引き継がれたNSXのリフレッシュプランの紹介だ。
リフレッシュプランは、鈴鹿製作所に隣接したサービスセンターですでに行われており、鈴鹿でリフレッシュを行ったNSXオーナーはとても満足されているという。このリフレッシュの現場にも、熱きこだわりを持つメンバーがいた。
次回のレポートにもご期待いただきたい。 |
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