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●Honda先進のテクノロジー(後篇) by ポール・フレール
■ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)、The Honda FCX
Hondaの燃料電池車FCX
Honda FCX(Fuel Cell Experimental)は日本で最初に公道走行のために認証登録された燃料電池車である。この優れた仕上がりを誇るコンパクト3ドア・ハッチバックは、私が今までに知る中で最も進んだ燃料電池車である。
燃料電池車のパワートレインは、ガソリン車に比べ構成要素が多く、しかも現段階では重量が重くスペースも必要とする。そこでパッケージングが重要であると考えたHondaは、プラットフォームを専用開発した。一方で、それぞれのシステムを可能な限り軽量・コンパクト化し、もっとも重量のある燃料電池スタック(最高出力78kW)をはじめとする発電部を床下中央に、水素タンク(2本のタンクで156.6リットルの容積に約350気圧の水素が充填可能)をリアシートの下に、そしてウルトラキャパシタ(後述)をリアシートの背後に設置する。これにより、充分なキャビンスペースや荷室スペースを確保しながら、低重心でFF車の理想的な前後重量配分を実現。実用的な居住性・走行性を確保した。
世界自然遺産である屋久島で公道テストを行ったFCX
燃料電池車は通常、水素と、大気中から取り込んだ酸素を燃料にして、燃料電池が発電した電気でモーターを回して走る。しかしHonda FCXは燃料電池のみならず、独自のパワーシステムをFCXに搭載している。
「ウルトラキャパシタ」という主電源の燃料電池をアシストする働きをする補助電源がそれである。減速した時などに発生するエネルギーを電気として回生・蓄電し、加速時など瞬発的にパワーが必要な時には、ここから電力をアシストする。燃料電池+ウルトラキャパシタで、スーパーチャージャーやターボのような高出力が可能となるのだ。FCXの最高時速は約150kmとのこと。変速機を必要とせず、トランスミッションを通して前輪を駆動するが、トルクが大きいため、発進・加速がパワフルで、実用には何ら支障はない。
 
過日、Honda栃木研究所のプルービンググラウンドで、FCXを試乗するチャンスに恵まれたが、クラッチもギアシフトもなく、アクセルとブレーキペダルのみ、電動ステアリング付きで運転はとても楽であった。
テストプロジェクトとして屋久島に設置された水素ステーション
試乗したクルマはすこぶる活発で、特に低速域でパワーがあった。この点では同じく低速域で最大トルクが発生するEVと変わらない。しかしFCXにはもっと広いレンジで実用的なパワーがあり、ガソリンスタンド同様、水素が補充できるステーションさえ街にあちこちに設置されれば充分日常の足として活躍できる。水素から発電された電気が消費されたあとに排出されるのはただの水であるから、生産コストさえなんとかなれば、これ以上理想的な“グリーン”カーはない。そして大量生産さえ可能になればその生産コストも自ずと下がる筈である。しかし水素が簡単に入手できない社会システム下で燃料電池車を売ることはむずかしく、燃料電池車が多く存在せず、利益が上がる目処もたたない現状では、水素ステーション・ネットワークを構築するために投資する企業も見つかりにくいであろう。だからこういうことこそ、政府主導のもと、国家レベルでのプロジェクトとして、あるいは国家間のジョイント・プロジェクトとして取り組むべき問題であろう。
(終わり)
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フッタ
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