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●S800で雪と氷のラリーに挑む (後篇)
1980年代、ジャン=フランソワさんは、ワークス・ドライバーとしてパリ・ダカールラリーに参戦した経歴の持ち主である。一方、プライベートではS800との付き合いが非常に長い。
S800が鮮烈なデビューを飾って間もなく、ジャン=フランソワさんは1968年に2台のS800を購入した。ところが翌年、1台はエンジンを壊してしまい、ガレージに持ち込んだものの、当時20代前半の彼は修理代を支払うことができず、そのS800を泣く泣く手放すことになってしまったらしい。
「もう一台はずっと所有し続けていて、走行距離は37年で75,000km程度。常に状態も良いですね。それが今回ラリーで走らせているこのS800クーペなんです。
 

果敢にコーナーを攻めるジャン=フランソワさんのS800に、間近で声援を送るファンのみなさん。
S800がデビューした当時、特にエンジンのテクノロジーの進歩に僕たちは驚かされました。ただしS800は、小型でありながらスポーツタイプと呼ぶに相応しい完成度の高さは理解されていても、なかなか手を出そうとする人はいませんでした。というのも、その高い技術は未知の領域でしたし、S800をメンテナンスできるメカニックは誰もいませんでしたから、きっとみんな不安だったんです。しかし、S800のポテンシャルの素晴らしさが具体的に明らかになるにつれて、一気に人気が爆発しましたね」
 
そんな当時の魅力は現在でも色褪せることはないようだ。抜けるような青空を背景に、雪で覆われた白銀の世界を次々とレトロカーが駆け抜けていく中、S800もしっかりと雪の路面を捉え、コーナーも安定した状態で通過していった。
「例年より積雪量が少なく、アスファルト状態の路面が多かったのが悔やまれます。S800の性能の良さは、特に雪上で発揮されますからね。排気量は全エントリーの中で最小だったのですが、S800は自分の思い通りに駆ることができますから本当に楽しいんです」
 
その言葉を証明するように、ドライビングの正確さが求められるこのラリーで、ジャン=フランソワさんは1000cc以下のクラスで優勝を成し遂げた。
「アシスタント・メカニックやレースに必要なパーツ、タイヤ等の環境が整えば、このようなイベントにどんどん参加していきたいですね」
S800のオーナーになって37年、Hondaの初代スポーツカーの新しい魅力を開拓したことに、ジャン=フランソワさんは心より満足している様子だった。
真っ赤なポルシェが駆け抜けるこの路面は、すっかり雪が解けている状態です。ジャン=フランソワさんが悔しがっていたのはこんな路面ですね。 アスファルトのコーナーを駆け抜けるS800。横から見たボディラインが美しい。
雪が降る夜の道。ジャン=フランソワさんによれば、雪の中こそS800はアドバンテージを築けるとのことです。 S800のバックショット。いかにも滑りやすい路面でコントロール性がいいのは、クルマとしてのバランスがいいからでしょう。
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フッタ
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