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ケン・モトニシ。今年30歳。日常的には大きな変化のない会計事務所に勤めていた5年前、レースに出場したことが彼の人生を一変させた。 |
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Honda車でサンデーレースに参加し、輝かしい実績を誇るボブ・エンディコットは、実はプライベートでもレースのアドバイザー役を引き受けている。彼はSCCA(スポーツカー・クラブ・オブ・アメリカ)が行っている、レース・ビギナーや助けを必要としている人たちのためのプログラムで、中心的な役割を担っており、アドバイザーとして活躍している。
5年前のある日に行われたソロ・シリーズ・レースに、シビックで出場したケン・モトニシという若いアマチュア・レーサーがいた。そのレースはケン・モトニシにとって生涯初めてのレースで、文字通り何をどうしていいのやらわからない状態だった。どうやれば速くクルマを走らせられるかもわからず、Honda自慢のVTECHエンジンを効率的に駆使するテクニックも知らず、大方の予想通り、彼は1位からは遠くかけ離れたタイムで堂々の最下位に終わった。
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| ソロ・シリーズ・レースで果敢にタイムアタックするケン・モトニシと彼のHondaシビックSiハッチバック。 |
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何度トライしてもタイムの縮まらないケン・モトニシに手を差し伸べたのがボブ・エンディコットで、ボブはケンのシビックに乗りこみケンを横に座らせて、どうすればタイムを削ることができるのかを具体的に、そして根気よく教えた。本来なら失意と絶望のうちに家路についたであろうケン・モトニシは、ボブ・エンディコットの能力や人柄に逆に勇気付けられ、次回こそはという決意を胸にレース場を後にしたのだった。
そしてその後、このSCCA(スポーツカー・クラブ・オブ・アメリカ)のプログラムに参加し、修練を積んだケン・モトニシは全米選手権に招待されるまでになる。
大学で経済学を学んだケン・モトニシはその時会計事務所に勤めていて、まじめで比較的変化の少ない毎日を送っていたが、この最初のレース場での出来事がきっかけで自動車の世界にのめりこむ。アマチュア・レーサーとしてレースを本格的に始めたばかりでなく、転職し、現在は新車をテストしたりリサーチしたりするマーケティング会社に勤めている。
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レースが開催されるカリフォルニアまでクルマで往復50時間。むろん自慢の愛車シビックSiで来て、シビックSiでレースに出場して、シビックSiで帰る。お金と時間を節約するために途中の食事もご覧の通り。まさに「レースこそわが命」。 |
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ケン・モトニシのマシンは1989年式シビックSiハッチバック、彼が出場するレースはストリート・ツーリングSクラスというカテゴリーで、排気系以外エンジンは一切いじってはならないが、サスペンションは自由に変えられるレギュレーションのもとに行われている。
ケン・モトニシに言わせると『平均的な収入を得ている人なら誰でも負担できるレベルのとても楽しいレース』とのこと。彼はあくまでも無理せずにレースを楽しみたいらしい。
なぜシビックでレースを始めたのか?との問いに答えて曰く、今年30歳になるケン・モトニシがカレッジにいたころ、まわりの友人やガールフレンドは皆シビックに乗っていて、とてもクールでかっこいいクルマだと思っていたし、いつかは自分もシビックに乗ってやろうと思っていた。したがってレースを始めるにあたって、迷わずシビックを選んだとのこと。
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| 中古車屋の片隅に眠っていたケン・モトニシの愛車シビック。買ったときの走行距離は17万8千マイル(約28万6千580キロ)、現在は19万マイル(約30万5千900キロ)。エンジンはまったく手を入れられておらず、購入後現在までトラブルもまったくないとのこと。驚くべきマシンである。 |
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現在ケン・モトニシは2台のシビックを所有している。1台は1993年式シビックで、通勤や暮らしの足として日常生活に使っている。もう1台が前述の1989年式シビックSiハッチバックで、ソロ・シリーズ・レースのために特別に仕上げたマシンである。
そしてケン・モトニシは驚くべき事実をさらりと教えてくれた。特別に裕福ではない彼がレースを始めるためには身銭を切ってクルマを購入しなければならなかった。中古車屋の駐車場でそのシビックをみつけて購入。払ったお金は3100ドル(約33万円)。走行距離計は17万8千マイル(約28万6千580キロ)を刻んでいた。
入手後、ショックやスプリング、ロール・バー、よりホールド性の高いシートと手を加えたが、エンジンは一度もリビルドしていないという。
「エンジンには触っていません。まったくの手付かず。タイミングすら変えてません」とのこと。彼のシビックの距離計はすでに19万マイル(約30万5千900キロ)を超えたが、一度も修理したことがないという。修理の必要がなかったのだと笑う。そしてその脅威のエンジンは好調を維持したまま昨年の秋、ケン・モトニシにソロ・シリーズの全米チャンピオンという最高の栄誉を獲得させた。
このエピソードもカリフォルニアで毎週末行われるアマチュア用サンデー・レースになぜたくさんのHonda車が出場するかという理由の一つを良く物語っている。(終わり) |
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