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●スポーツカーに乗る楽しみ(前篇)宮城 光
  スポーツカーに乗る楽しみ(前篇)宮城 光
躍動する機械を間近に感じ、一体になれるのがスポーツカー。

どんなスポーツカーが自分にとって楽しいかと聞かれたら、やっぱりS2000とNSXと答えますね。どちらにしても、コクピットに座ったときの感じがすごくいい。ちょっと古臭い言い方になりますけど、“男が仕事をする場所”、みたいな感じがあるんですよ。
S2000ならあの高性能の高回転型4気筒エンジンがフロントミッドシップに積まれていて、すぐ自分の前にある。太腿の横のがっちりとしたセンタートンネルにはトランスミッションがあるわけです。シフトレバーもすごく短くて、ミッションからの心地よい振動が伝わってくる。
シートもピタッとしていて、コクピット全体のタイト感とかホールド感があって、マシンのメカニズムと近いところに自分がいる。それが僕はスポーツカーのドキドキする感じを生み出していると思いますね。

NSXだったら、自分の真後ろにV6 VTECの8000回転まで回るハイパワーエンジンがあってその鼓動が伝わってくるんですよ。
メカが間近にあるという迫力とか緊張感があるのがスポーツカーの何よりの魅力じゃないかと。
ラグジュアリーなクルマはその逆で、エンジンが遠くにあって、自分までの間にたくさんの介在物があるわけです。なるべくメカの存在を遠ざけますよね。
たとえば、ジャンボジェット機のいちばんいい席って、2階のいちばん前じゃないですか。メカニズムから遠いんです。

躍動するメカが間近にあるのがスポーツカーの醍醐味と僕が感じるのは、やはり自分が二輪のライダーだったこともあるんでしょうね。ライダーって、常にエンジンを抱えて走っているんですよ。
スクーターなどは別ですけど、二輪には基本的にラグジュアリーってないですよね。アメリカンタイプのバイクにしたって、ライディングスタイルがアメリカンではあるけれど、大排気量のVツインが股の下にあるっていうのは、ものすごいスポーツ感ですよ。
たとえば、S2000だって、エンジンがフロントアクスルのずっと前にあったり、トランスミッションが前のほうにあって、ドライブシャフトだけが長い車だったりしたらスポーツカーと感じないと思います。自分の真横で何かが回ってるという迫力がなければね。


つまり、バイクのようにエンジンに跨がるような躍動感や緊張感を楽しむのがスポー ツカーに乗る魅力ですね。エンジンの鼓動と、人の鼓動がひとつになるという感覚が スポーツカーの楽しさだと思います。
後篇に続く



宮城 光(みやぎ ひかる)
元Hondaワークスライダー。全日本GPおよび全米選手権でチャンピオンを獲得し、四輪ではスーパー耐久シリーズチャンピオンとなっている。現在は、さまざまなスクールのインストラクターやMotoGPレース解説、鈴鹿8耐のHondaチーム監督など、多方面で活躍中。
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