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| ●父から受け継いだHondaスピリット 〜フランスに初めて上陸したNSX〜 [前篇] | ||||||
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| 「このNSXは父の形見なんです」 ウィリアム・ガンザンさんは開口一番にそう言って、NSXとの縁を説明してくれた。その一言で、このクルマに対する彼の思い入れを理解するのは、そう難しいことではなかった。 「1989年に父がジュネーブショーに僕を連れて行ってくれた際、画期的デビューを果たしたNSXを2人揃って見たんです。その時父が『このクルマを買うぞ!』と言ったのを覚えています。当時僕は8歳でした。毎日父は僕を学校に迎えに来てくれていましたが、翌年3月のことです。校門の前に父が真っ赤なNSXに乗って現れたんです!」
ウィリアムさんの父親は、フランス中部のヴィルフランシュ・シュール・サオンという町でHonda車の販売店をおよそ20年にわたって営んでいた、Honda車の専門家でありエンスージャストであった。そんな彼が、NSXを個人的に1台取り寄せたのだった。 「僕はHondaの世界で生まれたんです!」 そう断言するウィリアムさんは10歳でカートを始め、その後、フォーミュラカーにも乗るなど、プロのレーシングドライバーを目指して成長したらしい。ところが1996年に父親が他界。当時15歳だったウィリアムさんの人生は一変した。 「販売店の経営権を他人に譲り、建物を貸すという形をとりました。ところがレースを続ける資金がなくなり、プロのドライバーになる夢は諦めるしかありませんでした。精神的にもとても辛い時期でした。でも父は、僕にこのNSXを遺してくれたんです。プロドライバーの夢は諦めましたが、僕の中にある『走りたい!』という情熱は冷めたわけではなかったので、個人的にサーキット走行などは続けていました」 肉親の死と同時に、希望に溢れた青年の夢まで崩れ去った辛苦の深さは到底計り知れない。けれども、そんな彼の支えの1つでもあったのが、父が遺したNSXへ注ぐ深い愛情とモータースポーツに懸ける熱意だった。そして、その熱い想いが、彼の人生に新しい光と可能性をもたらすことになったのである。 |
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